ずいぶん前に書いて(何年か前),下書きに入れっぱなしだったやつ。まだ未完だし、この時から思考はもう少し整理されているけれど、まずはあげてから少しずつ修正しよう(少し修正した)。
「学級」はゆくゆくはなくなっていくとよい、と考えているけれど、現実的にはしばらくなくならなそうなので、ではその場をどう考えていくかは一方で大切。というわけで、学級をステキにする10のこと(独断と偏見)。
前提
学級づくり=学びのコミュニティ(あるいはラボ)づくり=学校づくり=25年後の社会のプロトタイプ
①安心安全の関係づくり
先ずは知り合う段階。様々な場面で多様なメンバーと学んだり、暮らしたり、プロジェクトを共にすることを通して、「どの人ともそれなりにうまくやれそうだ」「私とあなたって本当に違うのね」の感覚をつかむ。
流動性を生むための関係のつなぎ直しの場。
どうしても「いい関係をつくる」こと自体に視線を向けがちだけれど、楽しいことや、やりがいのあること、没頭するプロジェクト等の「本物の場」を通して、結果としていい関係ができた、というのがいいなあと思う。ことがらを通したゆるやかな関係性を編む。ゆるやかな関係性の中で、でも一人でいるのが好きだなあももちろんあり。
そういう意味では、後述する教室リフォームプロジェクトはスタートにおすすめ。
できれば、学校、学年のスタートに野外キャンプをするとステキね。ホームとしてのケアしあえる関係性。異年齢もステキね。
②「つくり手」になる経験。子どもこそがつくり手。
例えば学級(学校)リフォームプロジェクト。
自分(たち)の場を自分(たち)でつくっていく。場へのオーナーシップ(当事者性)。学びのコントローラーを自分で操作する典型的な体験。
居心地の良さ、成長できそうな場は自分たちで創っていけるんだ、という経験の積み重ねができるといいなあ。
③サークル
小さな民主主義。そのコミュニティはここを基点に動く。コミュニティへのチェックインと共に、共有したいこと、提案したいこと、解決したいことを対話する民主主義の場。(子どもの参画を本気で求めるなら、どこまで試行錯誤や失敗を許容できるか。子どもは大人の本気をよく見ているなあと思います)
いや、そんな難しいことではなく、毎朝「きのうどうだった?今日どんな感じ?」を自然に共有できること。そんな時間が日常的に大切にされていることでいい。
この時間に読み聞かせを続けるのもステキ。
物語の共有は、ステキな共通体験。絵本には力があるので、ぼくらの下手な話より(失礼)ずっと子どもに届きます。
ボクが4月によく読み聞かせする絵本。その1iwasen.hatenablog.com
④コミュニケーションの量をまずは増やす(会話)
教育心理学者の鹿毛さんは学級の「空気」について、
教室や学校が持つ「空気」は、それぞれに固有の文化や風土を背景として、その場に存在するメンバーの振る舞いを規定し彼らの状態レベルの動機づけに影響を及ぼすことになる。もちろん場に特有な文化や雰囲気は固定的なものではない。それらは、場とメンバーによる現在進行形の相互作用を通してダイナミックに創出されていく。 (鹿毛 2013)
と述べています。ではそのためにどうすれば?
日常的なコミュニケーションと相互に関わりあう心地よい体験の積み重ねによって相互理解が深まるとともに信頼感が互いに構築されることによって、自分の存在が受け入れられているという感覚が促され、その場が当人にとっての「居場所」となる。 (鹿毛 2013)
ここで大切なのは、「日常的なコミュニケーションと相互に関わりあう心地よい体験の積み重ね」です。先生が説教したから、語ったから、信頼感が育まれるわけではなく、そこにいるメンバー同士が、心地よいコミュニケーションの積み重ねをすることが重要です。とはいってもこれは残念ながら自然発生はしません。
教室を眺めていると、実は子どもたちはごく少数の相手としかコミュニケーションをとっていないことがわかります。授業中はもし一斉授業ならほとんどコミュニケーション場面はありません。休み時間は仲のよい数人と。給食のときにグループの人とちょこっとしゃべるだけで、あとは基本的に仲のよい子とコミュニケーションをとっているに過ぎないのです。うちの娘に聴いても、ほとんど2人の友だちの名前しか出てきません。ずーっとその子といるみたい。これってかなり広く普通のことです。
その場が居心地がよくなるには、そこにいるメンバーのできるだけ多くの人と心地よいコミュニケーションをとる機会が必要になります。あまり話したことのない相手とコミュニケーションをとる、子ども自身にこれを任せるのは最初は難しい。リスクがあるからです。大人でもそうですよね。大学院の授業ですら、皆さん最初は「コミュニケーションをとったことのある安全な相手」と固まって座っていました。だからこそ「より多くの人と心地よいコミュニケーションをとる機会のデザイン」が重要になります。ぼくはそのことを「教室のコミュニケーションを混ぜる」と表現していますが、関係のつなぎ直しが必要なのです。
その方法の1つとして、「信頼ベースの学級ファシリテーション」を提案しています。メソッドですから、必ずしもこれじゃなくてもできることです。状況と目的に応じてメソッドは選べばいい。とはいえぼくは、信頼ベースの学級ファシリテーションや、詳しい解説は省きますがプロジェクトアドベンチャーは優れたメソッドの1つだと考えています。ぼくの中では「学級ファシリテーション」はどちらかというと言葉を介した関係づくり、プロジェクトアドベンチャーはどちらかというと身体を介した関係づくりと整理しています。
よくわかる学級ファシリテーション?―かかわりスキル編― (信頼ベースのクラスをつくる)
- 作者: 岩瀬直樹,ちょんせいこ
- 出版社/メーカー: 解放出版社
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(おかげさまで10刷となりました)
コミュニケーションの網の目ってすごく大事だと思うわけです。
「人間関係は、疎で多。緊密だと人間関係は少なくなる」
「人間関係は、ゆるやかな紐帯」
こんな場づくりを目指したい。
⑤自己主導、「〜たい」がすべてのスタート。「人には力がある」が出発点
自分の興味関心、ペース、学び方、手持ちの能力から、スタートする学び。
学びのコントローラーを自分で操作する。自分のペースで自分の学び方で学べる自由進度の学び、関心からスタートする探究の学び、学校づくりへの参画(いわゆる係活動、会社活動を「本物の参画」へ。キーワードは本物)。没頭する遊び・学び(学びひたる・遊びひたる)。
以下の本に詳しいです。
あくまで仮説ですが、関係づくりに注視しなくても、日々の探究が充実すれば、ことがらを通じた関係性が紡がれ、結果としてゆるやかな協同性が育まれるのではないか。
以下未完。↓
⑥協同の良さの体験の積み重ね。
・協同しない自由の担保も含む
・援助希求しあえる関係
⑦たくさんの失敗を通した試行錯誤
・まずやってみる。
・思考と行動のサイクルを短い単位でグルグル回す。
⑧量から質へ 対話をベースとしたコミュニケーション
⑨ 本物への参画。関係性の注視から、ことがらを通じて結果として関係性へ
安心・安全な場だけでは陳腐化する。
自身の成長や変化をことがらを通じて実感できること。
そのためにはやはり日々の学びにつきる。ぼくのとってリーディング・ワークショップ/ライティング・ワークショップ、プロジェクトはその核の1つでした。
そしてことがらを通じた関係性は、教室の境界があいまいになっていき、ゆるやかに外とつながっていくでしょう。ここが学級制の解消のポイント。
⑩あなたは何が大切だと思いますか?