いわせんの仕事部屋

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子ども時代を考える

(校内コミュニケーションシステムの保護者向け書き込みを転載)

軽井沢風越学園で行っている終日授業参観ワークショップ「うろうろ風越」では「子ども時代に大切な経験ってなんだろう」という問いについて、参加者の皆さんともやもや考えることがあります。
この問い、簡単そうでなかなか難しい問い。たくさん思い浮かぶからです。大人であるぼくたちは「これは大切だ」と思うことを、子育てや教育を通して子どもに伝えようとするけれど、どうしても大人からの視線になりやすい。子どもを操作対象に見てしまいやすい。過剰になりやすい。

ぼくらもかつては子どもだったわけですが、その時の感覚って忘れてしまいがちなんですよね。
ぼくらはかつて、どんな子どもだったんだろう。
自分のことを思い出してみると、それはそれは遊び呆けた子ども時代でした。

禁止されていたゲームセンターにこっそり友だちと行き、 なけなしの50円でずっとやりたかった「ムーンクレスタ」というゲームをやったんだけど、1分であっけなく終わってしまって、途方に暮 れたこと。家に帰って「ナオキどこにいってたの?」と聞かれ、半端なくドキッとしたこと。

同級生のたまきちゃんの笑顔が好きだったこと。
ともおみくんたちと市営住宅の物置でこっそり犬を飼って、 家から牛乳をこっそりもち出し たこと。見つかって保健所に連れて行かれた時は本気で泣いた。
ビー玉でごっそり友だちから勝ち取って、この世の春を感じたこと。 家で言うと「返しなさい」と言われるから黙っていたこと。
川に釣りに行ったこと。半日やったけど 1 匹も釣れずに二度とやるかとおもったこと。
「動くロボットをつくりたい!」とけいごくんとガラクタをもち寄ってチャレンジしたものの、 もちろん動かなかったので、飽きて野球をすることにしたこと。

大人の目の届かないところで、思いっきり自分らしい時間を過ごしてきました。マイプロな毎日。
そんなオトナの意図とは離れた何ててことない日常のできごとが、いまのぼくを間違いなくかたちつくっているなと思います。

子ども時代に大切な経験って、本人が選んだことの中にあるんじゃないか。
大人が手渡すもの、とは限らないんじゃないか。

ほおっておいても子は育つ。
それは「ほったらかしにしておく」ということではなく、 半分は見ていて気にしていたり、 少なくとも「気にかけている」んだけれど、もう半分は、子どもたちの試行錯誤に任せている、 みたいな感じ。
そういう、 「まあ、結局のところ、思ったようにはならないんだし、オトナの知らないところでいろいろ学んでるんだよな」 「どう育つかなんて事前にわからず、本人がいろんな経験の中から育ちたいように育つんだよな」
みたいなしなやかさはもっていたいな、と思います。

うろうろ風越、たくさんの方に参加していただきたいなあと思っています。
日常の忙しさや、子育ての悩みや心配をいったんわきにおいて、じっくり考え深めるいい機会です。「たくさん対話させられるんでしょ」「何やら小難しいんでしょ」と二の足を踏んでいる、という話もみみにするのですが、じっくりゆったりまざって過ごす豊かな時間(なはず)です。
ぜひ気楽にきてみてくださいね。

「自分が子どもだったら、風越でどう過ごすだろう?」と子どもに戻って校舎を歩くだけでもなかなか楽しい経験だと思いますよ。f:id:iwasen:20241224215251j:image