学校では、残念ながら子どもにとって
「やらされる」「やらなくてはいけない」と感じることが多い。
例えば、朝マラソン。「朝ぐらいゆっくりさせてくれよー」という声が聞こえてきます。
例えば「掃除」。
子どもと先生のバトルが起きやすい行事。
「まじめにやりなさいー!!!」
「だってせんせー、もう終わりました-」
「チャイムなるまではもう1回拭きなさい」
「えーなんでー・・・」
「もー、まったくなんで掃除を真面目にやらないんだ」
と悩む先生。だがしかし、「やらされている」と思うことを一生懸命やれるはずがありません。見られているときだけやってる振りをする。
ああ、中間・期末テストの勉強をしている中学時代。母親が夜食を持ってきてくれるときだけ一生懸命感だしていたなあ・・・・
家事も同様。ボクにとっては長らくそうでした。
「やらされる」と思うと、本当に時間も長く感じるし、「いかに手を抜くか」に一生懸命になっちゃう。
その時にボクが使う作戦は、「ごっこあそび」にしてしまうこと。
「おし、今日は料理人になったつもりになって、めちゃくちゃうまいものつくるぞ-!」
子どもと一緒に買い物いって「お寿司屋さんごっこ」にして晩ご飯をつくったり。
息子と「1階のトイレと2階のトイレ、どっちがきれいにできるか選手権!買った方がアイスをおごってもらう」とか。
休みの日1日使って「キッチンビフォーアフター」をひとりでやってみるとか。帰ってきたオクサンの喜ぶ顔を想像してニタニタしながら。
ごっこあそびにして「やらされる」を「やってみたい」にずらす。
これ、けっこう楽しいです。
例えば先ほどの学校での掃除。
子どもにとっては「やらされてる」こと。
これをごっこあそびにして「やってみたい」にずらしちゃう。
目指せダスキン!
掃除のプロを目指してみよう!にするわけです。
一緒にホームページみて「すげー」「プロいるんだー」。
掃除場所を自分で選び、同じ場所を選んだ人とチームを作って、
「やらされる嫌な仕事」から、「自分たちでプライドを持って取り組む、楽しみ、やりがいのある仕事」へと転換。
掃除の人数は目安はありますが、こだわりません。
それよりも自己選択ことを優先する方が経験上いいみたいです。
少ない人数の方が一生懸命やることも多いです。今までの教室の最少人数は5人(!)でしたが、それはそれが見事な掃除っぷりでした!
そしてこれも教室リフォーム同様、どんどん
「自分たちで変えていく」。
掃除にとどまらず、掃除場所を「自分たちで変えてよい」というルールも作ります。例えば、トイレをディスプレイしたり、掃除用具を工夫したり。徹底的に「あそび」ます。
全力でおもしろがっちゃう。
ある年のトイレ掃除の様子を紹介すると・・・・
掃除プロ会社のポスターつくって、えいえいおー。
ゆるキャラもいます。
わ!輪飾りが!お楽しみ会か!
全部のトイレのトイレットペーパーを同時に新品にして、その減り具合で人気度を測ったそうです。すばらしい!人気がなかったトイレは、特に入念に掃除していました。一気に人気の個室になったみたいです。
壊れた「とって」を自主的に直していました!
給食で出たヨーグルトのカップ!(笑)
こんな一工夫も!個室によって色が違うのです!
すてきですよね。
入り口にはこんなマークが!
どんなにやる気になって掃除に取り組み始めても、やっぱり中だるみしちゃいます。Tチャートで振り返りを行います。振り返りは「よかったこと」と「改善点」に分けて話し合って書きます。その紙はトイレ場所に貼っておき、いつでも自分たちでみられるように。反省ではなく、よかったこと、どうすればもっとよくなるか、というポジティブな面にスポットライトを当てるのが大切だと思います。
「反省会」ではなく「振り返り」です。
最後には、「お掃除マニュアル」をつくりました。これを新たな学年の掃除場所へ「伝授」していきます。
のれんまでついてる! トイレ掃除道具の収納も画用紙で作成。
こんな感じで徹底的におもしろがります。
肝心の掃除は?というと、それはまあ一生懸命きれいにします。
卒業したKくんからきたメッセージ(既に今は20歳)はこんな感じ。
久しぶりです!!イワセン元気?お掃除プロ製やってるんだ〜 トイレにカーテンつけるのはやってんの? おれが学校に寄付したカーテンどうなってる?あのときのトイレのきれいさは天下一品だったな・・・。結構思いだしてきたぞ〜!!
今中学でトイレ掃除だけどチョー楽しんで頑張ってるよ!!水道周りはすぐ汚くなるからこまめにふいてるよ!←ここんとこポイント! トイレ掃除は何でも工夫して掃除すればきれいになる場所だから頑張って!! (またの名を 元トイレ掃除のプロ中のプロより)
先生が怒る必要はまったくなく、むしろ「一緒に楽しんじゃう人」、
「プロの掃除を取材して学級通信などに載せて広報する人」になっちゃいます。
ちょっと前に書いた、
でも書きましたが、
「先生がラクになればなるほど、子どもたちは自立している」
ってことですね。
「やらされること」「やらなくちゃいけないこと」を上手にずらして、おもしろがる。
ファンタジーの中でごっこあそびをする。
これってもしかしたらオトナになっても大切かも知れませんね。
ライティングワークショップも「作家になってみる」学び方。学びにもつながるアプローチ。
ボクもいっしょにおもしろがって、「免許証」とかつくっちゃいました。
掃除プロ、年によって(職場の許容範囲によって、その年の方針によって)やったりやらなかったりでしたが、「こんなのもあり」と思ってるだけで、ずいぶん心持ちがちがってきます。