振り返りの4象限と、人とのかかわりを磨くことと、カゲ口と。
最近、リフレクションについて改めて言葉で整理し始めています。
毎週末に、親友、中川綾と30分「振り返りを書くってどういうこと?」で対話し、言語化を試み始めている最中。
彼女との対話は思考と言語化が進みます。長いこと対話し続けている信頼があるからなー。
こんなメモが、対話をきいてくれた同僚が、こんなステキなファシグラに。
はたちゃんありがとう!(風越の同僚です)
上記のように、第3回では振り返りを4つの象限に整理してみました。
正確には、6つの象限があると考えているのですが、ここでは振り返りをはじめようという人をイメージしてあえてシンプルに4つに。
3つのレイヤーは以下の本をご参照ください。リフレクションを考えるならこの本は必読中の必読。基礎文献です(『教師教育学』も読みたいところ)。
例えば、左下の「自分のミクロを振り返る」象限。
自分が他者とどう関わっているか。その関わりは過不足のない関わりなのか、を振り返るところですね。
対人援助職ではここが最も大切な専門性を磨くところですが、意外と注目されていない盲点です。自分がどんな声で、どんな表情で、どんな言葉をかけているか、あるいはかけていないか。どこに立っているか。それは他者にどう見えているか。
幼児教育に携わる人は、右下の「子どものみとり」を徹底的に磨くことが多く(その一つの方法がドキュメンテーション)それは圧倒的だったりします。風越のスタッフもすごすぎる。まるでビデオを撮っていたように、エピソードを再現できるんですよ。徹底的にみているんですね。小学校教員でここが得意な人は多そうで実は少ない。子どもを集団でみがちなんですよね。
この4象限で自分の振り返りのクセを知り、盲点になっているところを意識してみると、視野が広がるはずです。
例えば右下と左下を相互にいったりきたりすることで両者が磨かれ、逆に言えばどちらか片方だけでは、まだ「見えているようで見えていない段階」とも言えるわけです。
中川はぼくのリフレクションの伴走者でもあります。
詳しくはこちらを。リフレクションの書き方も解説している入門書でもあります。2人がどんなやりとりをしているのか、ぜひ読んでみてください。
なんてことを中川と話しながら整理しているわけですが、そんな時にとんでもない本に出会いました。
久保健英が所属するスペイン1部リーグのビシャレアルのコーチである佐伯さんの本です。
今日読み始めたんですが、最初の50ページでズガンと撃ち抜かれます。
人とのかかわりを磨くこと
いやーすごいですよ、この本。
一流のサッカーコーチたちが、自分の他者へのかかわりをビデオに撮り、徹底的に内省して成長していく取り組み。
ちょっと長いですが引用してみます。
一人ひとりのコーチングをつぶさに撮影しました。選手たちへの声かけや、どのタイミングでどことを見ているのか、何に注目して指導しているのかがわかるよう記録しました
ピッチの外からコーチの姿や声をカメラでとらえるだけではありません。撮影される側のコーチには胸にアクションカメラとピンマイクをつけてもらいます。そのコーチに指導された選手たちが、その指導をどう受け止めているかを探るためです。そのコーチの指導を前向きに受け止めているのか、それとも萎縮しているのか、もしくはまったく理解できないのか。そういったことが、コーチの胸につけたアクションカメラ に映る選手の表情や動きに鮮やかに浮かび上がるのです。
そうやって撮影したビデオを見て、私たちコーチは互いに指摘し合います。 「あんなにシリアスに言ってしまうと、選手は怖がっちゃうよ」などと指導者のアティチ ュード(態度)に言及するものもあれば、「あそこは選手に自分で考えさせたほうがよか った」というものも。もちろん良い指導を認め、「あの声がけは良かったね」と褒めたりもしました。
それまでは、ビデオに撮るのはチーム全体のプレーであり、ビデオを見ながら「全然走ってないね」などと評価の対象になるのは選手でした。ところが、このプロジェクトでは、 評価の目が自分たちコーチに向けられます。「なぜ、あそこであの声がけしたの?」と突っ込まれたり、突っ込んだり。コーチ歴の長いベテランも、新人もそこでは対等でした。
私自身、当時ですでに指導歴は20年を経過していました。ベテランコーチと呼ばれる状況です。自分が指導する姿を見ること、仲間に見られること、本当に恥ずかしくてたまりませんでした。コーチ全員が同じ思いだったはずです。
お互い痛みを伴ったわけですが、そこから自分たちのリフレクション(内省)が進みました。この会議によって多くのコーチが自分の指導を見直しました。
まさにアンラーンからの学び直し。
自身のミクロなかかわりを徹底的に磨いていってるんですね。恐れ入りました。
ぼくらはどこまでここに自覚的になれているでしょうか。もちろんこんなストイックな方法以外にもいくつも方法はあります。どんな方法でもよいから、対人援助食としての専門性を磨くならここにフォーカスすることですね。がんばろう。
昨日の結論としては「振り返りには他者が必要!」でした。そりゃそうだ。自分に自分は見えないからね。
この本、個人的には53ページの「ペティコミテをやめよう」も、おー!という感じ。経験と重なります。
ペティコミテとは、「ミニ会議」のこと。日本で言うところの派閥のような「ここだけの話」というひそひそ話のコミュニティですね。
これがある組織は成長しない組織だと喝破しています。
「ペティコミテだけは絶対にやめてくれ。じゃないとチームとして機能しなくなるから、言いたいことがあったら、自分に言いに来なさい」
が一番最初のルールなんだそうです。
カゲ口のコミュニケーションってコストがものすごく高いんですよね。これはこれまで研究主任をやってきた中でも痛感してきました。飲み会でのあれとかね・・・・そこから自分が自由になってはじめて、自分と組織が前に進み始めたなあと言うことを思い出します。
心理的安全性とは、これがないこと、これをしないこと、ここに与しないことだなあと。
というわけで、こちらも並行読みしてます。
直感を超えて、優れた実践や研究にあたること。それによって、自身の直感がいい感じなのか、完全に思い込みなのか検証することができますね。
さー続きを読みます。それにしてもプロはすげーな。
自分もプロでありつづけたい。まだまだ伸び代だらけだな。