今週金曜は「教師教育学」を一気に読む。
今週金曜日の「カリキュラムデザイン」の授業では、院生の皆さんと、
2コマ連続で『教師教育学』を一気に読みます。
- 作者: フレットコルトハーヘン,Fred A.J. Korthagen,武田信子,今泉友里,鈴木悠太,山辺恵理子
- 出版社/メーカー: 学文社
- 発売日: 2010/03/01
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 11回
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学校の先生、教師教育に関わる人は必読の書。
これを180分で一気に読む、というわけです。
この読書会の方法は、武蔵大学の武田信子さんが考案された方法を援用させていただきます。
コルトハーヘン。
リフレクションについて学びたい人は必読です。
7章が歯ごたえ満点ですが、ここを理解するかどうかが鍵です。
ちょうど1年前の今日。
コルトハーヘンのワークショップに参加していました。
学び多き2日間でした。
その時の記事を、自身の忘備録として再掲しておきます。
さ、本を再読しよう。
* * *
コルトハーヘンの「リフレクション学 スペシャルワークショップ」
に2日間参加してきました。
ハードな日程でしたが、学びおおき2日間でした。
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「リフレクション学」スペシャルワークショップ
私たちは、何をどこまで、振り返り、何を生み出すのか?
人を育てること / 人に教えることにおいて専門性
キャリアを発揮したい方々へ!
ユトレヒト大学・コルトハーヘン名誉教授をお招きして
2014年11月1日(土)・2日(日)両日
株式会社内田洋行 東京ユビキタス協創広場B1F
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今回のボクの目標は2つ。
1 コルトハーヘンさんの「リアリスティックアプローチ」を体験的に学ぶ
2 今回のワークショップ自体をメタに観察する。
ほぼ達成できたと思います。
コルトハーヘンさんはこちら。
http://www.korthagen.nl/
この本が翻訳されています。教員の成長に関わる人は必読です。
- 作者: フレットコルトハーヘン,Fred A.J. Korthagen,武田信子,今泉友里,鈴木悠太,山辺恵理子
- 出版社/メーカー: 学文社
- 発売日: 2010/03/01
- メディア: 単行本
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いくつか雑感を。
★コルトハーヘンのALACTモデル。
白眉は、第2段階の「行為の振り返り」のところにあります。
この振り返りの際の質問「8Box」は以下の通りです。
1 私は何を考えていたのか? 5 相手は何を考えていたのか?
2 私はどのように感じていたのか?6 相手はどのように感じていたのか?
3 私はなにを望んでいたのか? 7 相手は何を望んでいたのか?
4 私は何をしたのか? 8 相手は何をしたのか?
大きくは4つの質問に分かれています。
何をしたのか?(Do)
何を考えていたのか?(Think)
何を感じていたのか(Feel)
何を望んでいたのか?(Want)
振り返りというと、どうしてもやったことや考えたこと等の事実や認知の方に触れてしまいがちです。実際プロジェクトアドベンチャー等での振り返りも、
「何が起きたか」
の事実からスタートすることが多い。
これはコルブの体験学習サイクルをモデルとして採用している影響もあるでしょう。
コルトハーヘンさんのモデルではここで、感情とニーズに焦点を当てているところがとても興味深いです。
振り返りに値する経験があったときには、必ず感情が動いています。
そしてその奥には「ニーズ」がある。
そこに明確に焦点を当てるというところが新たな提案と言えます。体験してみてもここがおもしろかったです。
もう一つの大切な点は、この4つの質問を自分と同時に「相手」という視点で行うところです。どうしても「振り返り」というと焦点を「私」に当ててしまいがち。
それによって、うちへうちへと籠もってしまいがちな内省をメタに見るきっかけを与えてくれます。スッと引いて見ることができるんですね。
実際、3人ずつで行ったワークでも、この「相手は〜」の質問をするときにグッと内省が進むことが何度かありました。
この8つの質問で振り返りを進めていくと、どこかに「不一致」がおこります。
例えば
「私のしたかったこと」と「実際に私のしたこと」の不一致だったり、
「私が感じていたこと」と「相手が感じていたこと」の不一致だったり。
「私がしたかったこと」と「相手が感じたこと」の不一致だったり。
ああ教室を思い出すとあるある(汗)。
この「不一致」にこそ、第3段階の「本質的な諸相への気づき」を生み出す。
そのためにも「感情とニーズを丁寧に扱う」ことが大切なんですね。丁寧に深めていく。
ただ感情とニーズはやはり扱いが難しい。
時には扱いきれない自体が起きないとも限りません。
そのために例えばプロジェクトアドベンチャーでの振り返りでは、
何が起きていた?と事実にフォーカスすることで、
「クールダウン」しているともいえます。
その意味でこのALACTモデルは、実際の運用にはレッスンが必要だなあと感じました。
コルトハーヘンさんの提案、「感情とニーズに焦点をあてる」という部分を現場にいるボク達がどのように実践していくか。大きなチャレンジをいただいたなあというのが一番の感想です。
★ワークショップ自体をメタにみる。
ワークショップを自体をメタに認知しながら受けるのがとてもおもしろかった!
「参加者の帽子」と、実際にワークショップやリフレクションを運営する
「ファシリテーターの帽子」を適宜かぶり直しながら参加する。
これによって今回のワークショップの学びが2倍(当社比)になりました。
コルトハーヘンさんは、「ヘリコプタービュー」という言い方をしていましたが、
指導者、ファシリテーター養成の研修では、このように視点を変えながら参加するデザインが効果的だと実感しました。
★焦点を絞る
コルトハーヘンさんのワークはとにかく時間が短い。
「2分で!ではどうぞ!」という感じです。
短い時間の方が早く本質的なところにたどり着くとおっしゃっていました。
その他人も「一言で」「一文で」という問いかけも非常に多かったです。
起きた現象を雑ぱくにダラダラと振り返るのではなく、とにかく焦点を絞る。
これはボクにとって新しい視点でした。
やればやるほど、切り取り方がうまくなっていく自分、
なんとかまとめようとする自分に成長を感じる。
なるほどなるほど、といった感じです。
★コルトハーヘンさんという存在
一流の研究者でありながら、一流のファシリテーターでもある。
これがものすごいことだなあと思うわけです。
理論もあって実践もできる。
ああ、理想的なあり方の一つだなあ。
「理論か実践か」という問い方のマジックに陥ることなく、
この2つをどのように往還するか。
ボクたち実践家ももっと理論を学び、行ったり来たりできるようにならなくちゃ。
ボクは理論が足りない。
もっともっと勉強しなくてはと思った次第です。
★コア・クオリティ
コンフォートゾーンの考え方については、
ボクも実践しているプロジェクトアドベンチャーのコアの概念の一つですし、
コアクオリティーは、ストレングスファインダー等のビジネスベースのストレングスベースのアプローチをかじっていたので、とくに新しい話ではありませんでしたが、
「すべてはつながっているなあ」
と確信を持つことができました。
強みにフォーカスする、というのはとても大切。
特に子ども時代は大切大切。
昨日のワークでも場が急速に温まるのを感じました。
ただ、それだけでは足りないなあとも思うわけです。
強みも弱みも含めて、わたしをみること。
そこから出発するこことが大切かな。
* * *
さあ、これを受けてボクはなにをしていこうか。
教師教育に限らず、
日々の教室の中にどう活かしていこうか。
こういうことを考えるときが一番楽しいです。
まだまだ書きたいこともあるのですが、息子のサッカーの試合の合間に、思いつくままにメモとして書き散らしました。
たくさんのステキな出会いもあり、本当に貴重な学びの2日間となりました。
企画してくださった皆様、ありがとうございました!
東大の中原淳さんにお会いできたのも大きな収穫でした。
ずっとお会いしたかった方。念願が叶いました。
ブログでは、今回のワークショップの圧巻のまとめが記されています。
ぜひご一読を。
拙著も紹介してくださっていて感謝です。
この本を一語で述べるとすると「わたしと向き合う本」。良質のワークショップを受けたような読後感があり、今年最もおすすめできる本のひとつです。書籍名は「せんせいのつくりかた」ですが、他の職種の専門性発達でも適用可能な部分があると思います。
せんせいのつくり方 “これでいいのかな"と考えはじめた“わたし"へ
- 作者: 岩瀬直樹,寺中祥吾,プロジェクトアドベンチャージャパン(PAJ)
- 出版社/メーカー: 旬報社
- 発売日: 2014/09/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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コルトハーヘン先生による「リフレクション学」スペシャルワークショップが終わった!:リフレクションという名の「詰問」「教え込み」「だらだらトーク」を超えて!
http://www.nakahara-lab.net/blog/2014/11/post_2296.html
最後にコルトハーヘンさんの言葉で印象的だったものを。
リフレクションで私にとって大切なことは、
「あなたにとって大切なことを探すこと」。
本当にその通りだなあと思います。
ついつい自分のニーズで聴いちゃったり、
自分の意見やリロンを開陳しちゃったり。
肝に銘じます。