小金井三小で話したこと③完結編。
勢いのあるうちにラストまで!
研究発表では持ち時間が25分だったので、猛ダッシュの駆け足でした。
⑤みんなの研修をみんなでつくる
最後は、これ。
2年間のチャレンジは何も一直線に進んできたわけではありません。
様々な葛藤がたくさんあったと聞いています。
葛藤や混乱が生まれたとき、私たちは、それにどう向き合えばよいのでしょうか?
そのときに、研究主任&副主任がしたこと。
それは、「困っている」という吐露でした。
なぜこのような研修にしたかったのか、今何に困り、何に悩んでいるのか。。研究主任、副主任のナラティブが語られました。ナラティブは他者の感情や思いに届きました。そこから教職員の対話が始まったのです。今モヤモヤしていることを出し合おう、ではこれからどうしていけばよいか考えよう、と進んでいきました。
困ったら困ったと言えること(援助希求)。場を信じること。人の力を信じること。職員室も教室も同じ。当事者の力を信じること、それを行動に移すことこそが、「みんなの研修をみんなでつくる」のです。
そして、ナラティブには力がある。
ぼくも研修の中で自身のたくさんのナラティブを語ってきました。その話は改めて。
ぼくは今、夜間で、東京学芸大学教職大学院の授業を1コマ担当しているのですが、そこに研修主任の村上さんにお願いして、校内研究のプロセスを話していただく時間を設けました。研究主任の村上さんにお願いしたところ「せっかくなので先生方にも声かけてみますね」とのこと。
そうしたら当日なんと20名の先生方が!!勤務時間外に20名の先生方が、大学院の授業の講師としてきてくださったのです。ああ、すごい職員室だあ…と感動しました。
その授業では、先ずはじめに、先生方が対話サークルを見せてくださいました。
その時の研究主任の言葉です。
さっき、○○さんが、「子どもってすごいって思った」って言ってたんだけど、私は研究主任の立場になって、一番感じたのは、先生達の力ってすごいなって一番感じて、すごいやっぱり悩んだんですよ,正直いっぱい。
悩んだときに、これどうしたらいいって投げかけたときに返ってくるパワーがすごかった。
それがすごいありがたかったし、今まで場を信じるとか、人の力を信じるって,そういう言葉は聞いていたけど、実際に自分で、本当に人って力があるんだなとか、職員室って場には力があるんだなって、感じたのがこの研究だったなって思いました。
このあり方が「みんなでつくる」につながっていったのだと思います。
中村和彦さんによると、組織開発には大切な4つの価値観があるのだそうです。
人間尊重の価値観(ヒューマニスティックな価値観):人間は基本的に善であり、最適な場さえ与えられれば、自律的かつ主体的にその人がもつ力を発揮すると捉えることを重視する考え方です。
民主的な価値観(デモクラティックな価値観):ものごとを進めて決定するには、それに関連する、できる限り多くの人が参加し関与した方が決定の質が高まり、関与した人々やお互いの関係性にとっても効果的である、と捉える考え方です。
当事者中心の価値観:組織の当事者が現状と変革にオーナーシップをもつこと、つまり、当事者意識の高まりと主体的に変革に取り組むことを重視します。
社会的・エコロジカル的システム志向性:組織開発が目指すところは、組織内の視点だけで語れるものではなく、より広いシステムである社会や環境レベルを考慮する必要がある、と捉える考え方です。
この4つの価値観を眺めてみると、結果として三小の皆さんが大切にされてきたことだなあと。組織開発という視点で校内研究をつくってきたのだなあと。
端的に言えば、対話を通した組織開発だったのですよね。
ちなみにこの2冊も必読!!
- 作者: ジャルヴァース・R・ブッシュ,ロバート・J・マーシャク,エドガー・H・シャイン,中村和彦
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①新書読んで、
②中原さん、中村さんの本でその歴史的背景、理論的背景を学んで(この本、恐ろしくわかりやすい。大学教員続けていたら必読にしたな−)
③そして歯ごたえのある「対話型組織開発」へ。
マネジメントに関わる人は必読すぎます。
そして、最後はこの言葉で終わりにしました。
子どもも大人も学ぶこと,
成長することを楽しんでいる学校。
さて、この提案を受けて私たちは
明日何からスタートしますか?
おまけ。
当日時間が来てしまい(涙)、使えなかったスライドも貼っちゃおう。
妹尾昌俊さんの名著、
変わる学校、変わらない学校―学校マネジメントの成功と失敗の分かれ道
- 作者: 妹尾昌俊
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の中に、学校の組織マネジメントの機能例と停滞例が図示されています(85ページ)。妹尾さんの図は本当にわかりやすくぜひ見ていただきたいです。
今回、この図にインスパイアされ、ぼくなりに改変して、小金井三小で起きていることを図にしてみました(繰り返しますが実物の方がよいので本をご参照を)。
こんな図にまとめられる2年間のチャレンジだったのではないでしょうか。
2年間伴走させていただき、幸せでした。
組織開発の伴走者はいかにあるべきかを体験を通して学ばせていただきました。
公立校の可能性、場の力、人の力を思いっきり実感した2年間でした。
校長先生、副校長先生のサーバントリーダーシップがどれだけ教職員の当事者性を刺激し、学校が変化していくか。
研究主任、副主任のあり方とチームワーク、ファシリテーションがどれだけ重要か。
目の当たりにした2年間でした。
特に研究主任の村上さんとは、ぼくが教職大学院の教員になった年に現職院生として学芸大学教職大学院にいらっしゃっていて、それ以来のお付き合いです。
共に学び、議論してきたからこそ、一緒に歩んでこられたなあと実感。
校長先生、三小の皆さん、ありがとうございました!
次のチャレンジはもう先生方の中で見えています。
教科の専門性は学びの両輪。ここに挑まなくては!という声も聞こえていました。
ここを土台に、ますますのご発展をお祈りいたします。
ぜひこの2年のこと、本にまとめてほしい!
当日の研究発表もめちゃめちゃステキだったし!
大熊教育長の最後の講話、感動しました。
枠組みを問い直すことの大切さ。こんな素晴らしい教育長の自治体から学校教育は変わっていくだろうな。