いわせんの仕事部屋

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教室で「つい怒っちゃう」という相談。

先生がイライラする時。 様々な研修や講演で、若い先生から一番相談が多いのは「つい怒ってしまう」「怒鳴ってしまう」というもの。

安定的に子どもたちの前に立てない、という相談。

どう話すといいだろう?と考えたときの5年前のメモ。

 

なぜぼくたちは、怒ってしまうのか?イライラしてしまうのか?
自分で思い返してみる。
例えばぼくがイライラしている時って、 「自分の見通しと違う時」。

言い換えると、「自分の思っていた通りにならなかった時」。 残念な理由だ…

例えば、朝自習を見に行って騒いでいたとする。 その時間にやることは黒板に書いておいたし 、騒いじゃいけないこともわかっていたはずだ。 当然静かにやっているものだという「見通し」を持っていた。
ところがワイワイ騒がしい。若い頃は、例えばそういう場面でぼくはイライラしてしまうことが多かった。

ある程度経験を重ねると、似たようなシーンは何度も体験してきているので、そういう気持ちがわき起こってきても、すっと収まって、「何が原因だろう?」と、スッとひいて考えたり、聞けたり、観察できたりすることが多くなった。

そうすると、自習の時に騒いでいた原因って、
「ついしゃべってしまいたくなる自習内容だった」とか、

「直前まで静かだったけれど、トンボが窓から入ってきて大騒ぎになっていた」とか、

「週明けで、なんとなく気持ちが落ち着いていなかった」とか、

「次の時間の社会のプレゼンが気になっていて、相談していた」とか、

「誰かがおならした」とか、

まあ、その場によっていろいろあるわけだ。

ちょっとおちついて考えたり、子どもたちに聞いたり、観察したりすれば見えてくるのに、ぼくらは瞬間的に「反応」してイライラしてしまう。
時には怒ってしまう。

他に例はあるかなあ。そう例えば忘れ物を繰り返す子。なんで毎日言ってるのに忘れるの!となってしまったり。 「ここでちゃんと身につけないと将来困るから」 なんて、ぼくらは自分の怒りを正当化するし、それはすこしは「正しい」。

でもその子も、遠足のお菓子は絶対忘れないし、お楽しみ会の衣装もしっかり持ってくる。 もしかしたら、家庭環境で忘れ物をしない、というのがなかなかハードルの高いことなのかもしれないし、そもそも困っていないかもしれないし、忘れ物0の人も、実はお母さんが全部やってくれている、なんてこともあるわけだ。

そう考えると、何がいいことなのかなんてけっこう怪しい。


なのにぼくらはイライラする。
もう少しその「反応」を深めてみよう。 ぼくらはなぜ、「自分の思い通りにならなかった時」にイライラするのだろう。 自分の言ったことを聞かなかったから?「従わなかった」から? じゃあなぜ聞かないとイライラするのだろう? 「自分のことをないがしろにされた」「軽く見られた」、もっというと「バカにされた」と思ってしまっているんだろうか。
自分が言ったことをあなたはやるべきなのに、やらなかった。 あなたは私のコントールに従わなかった。
ここにイライラの原因の一つがある。 ということは、その根っこには「相手をコントロールしたい」と思っているぼくがいる、ということだ。

 

そうか、「コントロールしたいのにできなかった」ということへのイライラだったらしい。 そう思って、今までの怒り体験を思い返してみると、結構当てはまってしまう・・・・ぼくらの持っているコントロール欲求はなかなかやっかいだ。

 

イライラするのは感情なのである程度しょうがない。自然に反応してしまっているのだから。 もちろん改善の余地はあるだろうけれど、そう簡単には変えられそうにない。「なぜ怒ってしまうのか」と自分に問いを向けても、「わかっちゃいるけど怒っちゃう」と自分 を責めて終わりだ。
じゃあぼくらはどうすればいいんだろう?

イライラという、その感情の先に、どう行動するかは、ぼくたちの手の中に選択肢がある、はずだ。どんな選択肢があるだろう?
先ほどの忘れ物の場合。イライラを感じたら、その感情を受け止めつつ、ふうーっと深呼吸。「間」をとってみよう。

怒る以外のポジティブな解決策ってないかな?と考えてみる。
・「そっかあ。じゃあ今日はどうすれば困らない?」と一緒に次の策を考える。

・忘れ物の多いものはレンタルを用意しておき、「あそこから借りて返しておいてね」と伝える。

・「忘れ物0作戦」を本人と一緒に考える。
・ぼくのをサッと貸す。

・「じゃあ今日は参加できないねえ。見て学ぶことにしようかー」と言う。

・「他のクラスの人やクラスの人に借りられるか相談してみたら?」と伝える。

例えば事前に学級のルールとして、

「忘れ物をするのは人間だからしょうがない。ぼくもしょっちゅうするし…忘れた後が大事だものね。自分が困ったり、他者に迷惑をかけないように手を打っておこう。友達に見せてもらう約束をしたり、他のクラスから借りておいたり。どうにもならないときは、その時間が始まる前にそうだんにきてね。始まってからだと、 他の人を待たせることになるから、必ず事前にね。
困った時に周りに見せてもらえるように、普段から親切にしておいた方がいいよー。普段鼻くそ とか隣の人にくっつけてたら、いざというとき貸してもらえないからね 。笑」 なんて話しておくのはどうだろう?

 

自分がイライラする場面を思い起こし、イライラしたら、まずはそのイライラの感情を受け入れ た上で、でもぼくらはプロなのだから、その感情を素で外に出さない。
危ない時は、ふーっと深呼吸。
落ち着いたら。 この場面でどんな選択肢があるのか?を考えて、冷静に分析して行動する練習をしてみよう。 コントロールを手放して、子ども自身が自分で選択して行動できるよう、場と環境をつくっていってみてはどうだろう。

 

とはいえ夏休みの宿題がたまっている我が子を見ると、つい反応して「ちゃんとやりなさい!」なんていいたくなるんですけどね・・・・・・・

言うは易く行うは難し。横山はやすし。