いわせんの仕事部屋

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「本はさ、人が死んでも受け継がれていくんだよね。」

『モリス・エスモアと空とぶ本』。

モリス・レスモアとふしぎな空とぶ本

モリス・レスモアとふしぎな空とぶ本

 

 

この本は、担任時代に学校の図書室で見つけた。

アニメの絵本化なので、この絵本自体は評価が分かれているけれど、ぼくは好き。

これはディズニーがアニメーションにしていて、 それもすごく好き。

担任時代、学級で共有したいと思える本だったので読み聞かせしていた本。

 

5年生担任の時のエピソード。

読んでいるときの反応がすごくよかった。

「あ、色が変わった」

「たぶんルイス絶望してるんじゃない?」

「春夏秋冬になってるよ」

「さっきも似たような絵なかった?ちょっとめくってみて」

聴き手がいろいろなことをつぶやく。

読書を日常的に続けていると、読み聞かせでも自然と本に問いかけるようになっていく。

 

読み終えたとき、

「本、すきなんだね」

「本を大事に大事にしてきたんだね」

「本は読まれるために生まれたんだもんね。」なんて子どもたちは話していた。

せっかくなのでアニメも視聴。


The Fantastic Flying Books of Mr. Morris Lessmore

 

終わったあと小グループで対話。普段実践していたブッククラブのような時間。

 

Aさん、Bくん、Cくんの対話を録画して起こしてみた。

書字が苦手なAさん、読書が好きじゃないBくんと読書家のCくん。

 

A「本もいいけど、アニメもいいね」

B「どこが印象に残った?」

A「最後らへんでしょ」

C「やっぱさいごだね」

A「あの女の子も書くのかな」

C「書く人ばかり、読む人ばかりが導かれていくんじゃない?」
A「本はさ、人が死んでも受け継がれていくんだよね。」

C「たくさん人がいたら、そのかずお話があるんだよね」

うんうん。

「はずかしいことだけ、文字は飛んで行けばいいのに」 とAさん。

 

「1度書いた本は次の世代に受け継がれていってまた受け継がれて・・・・とつづく。本って100 年後、1000年後の子どもにも読んでもらえる。本は読まなきゃ死んじゃう」

と最後にCくん。


すごいよね。話したいことがあれば、人は対話する。
こういう様子を見ると、テクニックじゃないんだよなあとつくづく思う。

読むのがあまり得意ではない人にとっては、読み聞かせや映像は力強い。 オーディオブックとかあれば、読みが苦手な人の手助けになる。
ブッククラブもそうだけど、読めているけど書字が苦手な子がいる。 Aさんは苦手だけど、映像から読めていて、対話の中で深めていく。

学校教育って「書くこと」で評価していること、理解度を測っている側面があまりにも大きすぎる。これが少なからず子どもたちを苦しめている、 という当たり前のことに気づいた時間だった。

「本を読む」「手で書く」に囚われすぎていると、学びにくさを生んでしまう。それぞれの学習者にあうものを用意すること。個別化の重要な側面。

 

この絵本、ぼくにとってとても大切です。