いわせんの仕事部屋

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子どもの頃の原体験。

以前こんな恥ずかしい題の本を書いた。

 

岩瀬直樹―エピソードで語る教師力の極意

岩瀬直樹―エピソードで語る教師力の極意

 

 

その本のあとがきです。

今と同じこと、違うこと、いろいろあるけれど、大切に思っている核はかわっていなさそう。

 

 

             *  *  *

 

「こんなにいい天気で、こんなにいい風が吹いているのに、教室で座って勉強してなきゃいけないなんてなあ。早く学校終わらないかなあ。帰って遊びたいなあ」

窓際の席の小6のぼくは、泣きたくなるほどキレイな空を見ながらぼんやりとしていました。

「また岩瀬はよそ見してる!窓の外に先生はいないぞ」

何度注意されたことか。
この感覚、ぼくは今も残っています。

「こんなにいい天気で、こんなにいい風が吹いているのに、教室で座って勉強してるなんて不自然だよなあ」

そう思ってしまうのです。

ですから、教室のわんぱく坊主が、

「イワセン、こんなにいい天気で教室で勉強ってないでしょ。バスケしにいこうよー」

なんて声につい共感してしまいます。そうだよなあって。

新任の時の学級通信をひもといてみると、ぼくは、天気のいいに近くの山にいって、葉っぱで布団をつくってみんなで寝てみた!なんてことが書いてありました。 (読み返すまですっかり忘れていました)

最近でも、いい天気の時は、外で読書をしたりすることもあります。
気持ちがいいのです。外で本を読むのって。
その時間を体験するって、読書のありがたみを何度も講釈たれるより、圧倒的に豊かだなあ、と思ってしまいます。

文字通り、「あそび命」だったぼく。
子どもの頃の記憶は遊んだことばかりです。

走って帰って真っ暗になるまで野球をしていたこと。
蛙のおしりにストローを刺してふくらませ、水に潜れない蛙を見て笑ったこと。
近所のお兄ちゃんと空き地に秘密基地をつくって、お菓子を持ち込んで食べたこと。
ナイショでゲームセンターに行ったのを父親に見つかって、思いっきりげんこつされたこと。
どこまで歩いて行けるかチャレンジしよう!と、近所のチビ達をつれて線路沿いをグングン歩いて行って、チビ達が泣き出して大変だったこと。
拾った子猫をどうしても飼いたくて学校に持っていって怒られ、しょうがないので友達と空き地でこっそり世話したこと。
「動くロボットをつくりたい!」と本気で思い、家にあるガラクタを友達と持ち寄ってなんとかつくり出そうとしたこと。

そんなことばかりが頭を巡ります。ぼくは思うのです。
幸せな子ども時代だったなあと。両親は決して理想的な親だったわけではないし、いやなこともたくさんあったけれど、でもやっぱり。日々は輝いていて、ドキドキワクワクに満ちあふれていました。

 

思い出だからキレイになっているところは多分にあるでしょうが、それでもやっぱり楽しかった。そこには「やりたいこと」がありました。「自己決定できる自由な時間」がありました。大人の目の届かない遊べる「場所」がありました。友達との「かかわり」がありました。

 

今はそんな空間も、時間も、仲間も難しい時代になってしまいました。
本来は学校が引き受けるべきことではないだろう、と直感的に思います。しかし、現実は今、子どもたちの起きている時間のほとんどを過ごす学校は、いい悪いを超えて、子どもたちにとって大きな大きな場になってしまっています。そこをある程度引き受ける覚悟、が必要なのではないか。 2013年のぼくはそう考えています。

学校がドキドキワクワクの場になること。学校に「やりたいこと」があること
学校に「自己決定できる時間」があること。学校に友達との「かかわり」があること。
学校だからこそできること。ぼくはこれからそれを試行錯誤し続けていきたいなあと思っています。

 
ちょんせいこさんとぼくで対話を重ねて創った目指すゴール。それは、この言葉に集約されます。

            * * *

信頼ベースのクラスとは
先生(ファシリテーター)からのエンパワーで
安心を感じ、満たされ始めた子どもたちが
その姿をモデルにしながら、互いにエンパワーし始め
豊かな言語活動をベースに
遊びや学びを通じて無邪気に笑い、泣き、学びあい
高めあい、つながりあいながら
小さな成功体験や達成感を積み重ねる中で
子どもや先生が、本来、自分がもつ力に気づき
自分やクラスがまだまだ伸びていくこと
成長することを実感し、信頼することができる
強みを活かし、弱みを克服しながら
厳しい環境や課題、困難があったとしても
学びのサイクルの中でそれらを乗り越える方法を
体験的に学び
これからの毎日に、ポジティブな予測を持つことができる
やがて自分とクラスの成長がグン!と加速していく
自立的に協調しながら
友達や社会とのつながりや可能性を実感する
そんな「幸せな子ども時代」を過ごせるクラスです

          

       *  *  *

 

ぼくの先生としての原点は、もしかしたら、子どもの頃住んでいた札幌市西区発寒にある市営住宅のそばにあった雑草だらけの原っぱにあるのかもしれません。

これからも、がんばりすぎず、あきらめず、楽しんで進んでいきたいと思います。