いわせんの仕事部屋

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大掃除していたら20台半ばの実践が出てきた! 

大掃除していたら初任の学校での実践がでてきました。

                        

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この頃「詩を書く」という実践を毎年やっていたなあ、そういえば。

それにしても、工藤直子さんの詩集の名前をそのまま使っている・・・・・

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いやあ、情景が浮かぶ詩だ。

その頃所属していた学習サークルに持っていった資料も出てきたので、ちょっと載せてみます。ノートパソコンはじめて買ったときだ。まだMS-DOSで、たしかPC9821noteとかそんな感じのパソコンだった。フロッピーだった。

文章が若々しい!20台半ばだものなー(遠い目)。

 

 *  *  *


 小学校の国語の教科書には「詩を書く」という単元があります。でも、詩を書くのって子どもたちにとっては、難しいのではないでしょうか。ボクだって、「詩を書け」といわれると困っちゃいます。この単元は簡単に済ましてしまう・・・という人も多いのではないでしょうか。でも、ボクのクラスの子どもたちは以前担任した3年生も、4年生も、1年生も、詩を書くのがだい好きでした。休み時間まで、詩を書いたりするほどです。 
 では、詩のたのしい授業ってどんな授業でしょうか。 
 
たのしい詩を読もう (第1段階) 
 
 まずは、詩に対してよい先入観を持ってもらうことが第一とボクは 考えました。そこで書くより先に、子どもたちとたのしい詩をたくさん読みました。 
 
     
ウソの詩を書こう (第2段階) 
 
 子どもたちが詩が好きになったらもうしめたもの。次は、詩を書く授業です。たのしく詩を書く授業は、『仮説実験授業研究第9集』にのっていた、堀江晴美さん(千葉)の「詩は友だち」という論文(35ページ)をもとにやりました。 
 授業はこんな風に進めました。 
 
 
 ボク 「今日から詩を書くよ。詩ってどう書くか知ってる? 
     詩はねこんな事を書くんだよ。」 
  
と言って黒板にこう書いて、みんなで読みました。 
 

詩を書く    

好きなことを   
好きなように    
好きなだけ    
書こう!    

 

ボク
「でも、これじゃあ、よくわからないね。もっと簡単にいうと詩は、ウソを書いていいということだよ!」 
 

詩を書く (黒板)

好きなことを    
好きなように   →ウソの詩を書こう!
好きなだけ     
書こう!  

 

      
 この時点で、「おもしろそー!」「ウソ作文みたいなもの?」なんてつぶやいている子がいます。 
 この「ウソの詩を書こう!」がこの授業の最大かつ唯一のポイントです。ほんとのことを書こうとすると苦しくなる時もありますが、ウソなら気楽に書けますものね。 
子どもたちはウソ作文が大好きだと、『たのしい授業』誌上ではよく話題になっていたようですが、詩でも同じことが言えるみたいです。 
「ウソの詩」のイメージがもっと広がるように、ボクは、いくつかの作品を紹介しています。 
 
 


 <紹介している詩(堀江さんの論文から)> 
 
りんご   岡田佳代 
 
りんごをたべようとしたら、 
りんごは足をだしてにげていった。 
 
 
夜のこくばんの中のゆめ   橋場奈々子 
  
夜のこくばんの中には、こくばんがいっぱい。 
そのこくばんの中は、ゆめだらけ 
そのゆめは、ありのハートがおどる。 
朝になった。 
ありのハートは、 
まぶしそうににげていった。 
あとには、しあわせな、ふたりの、 
小さなハートが 
ひとつ、 
ぽつんと、 
おいてあった。 
 
 
セミ   加藤彰男  
 
セミは 
1分を食べて生きている 
 
 
下には      元川由以  
   
つくえの下には  
ゆきがふっていた。  
いすの下には 
たいようが4つもあった。   
きみのつくえといすも 
そうなっているかもしれないよ  
 


 紹介している途中から、「先生早く書きたい!」と言う子が出てきました。そこで、一度書いてみることにしました。 
そうしたら、すごい勢いで書いていきます!!30分で9つも書いた子までいました。子どもが書いた詩を紹介していくと、その詩からヒントを得たり、影響されたりして、また鉛筆が進む子もいるようなので、ボクは、どんどん紹介するようにしています。 
また、書くことが思いつかない時のために、ヒントになるテーマの例を模造紙に書いて教室にはっておきました。 

 

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(堀江論文より)


 
生まれた子どもの作品より 
 
199○年度  小学校3年生 
 
         
 
 青い空
 黒い空
 赤い空  
 白い空  
 水色の空  
 いろんな色の空  
 鳥が飛ぶ空  
 クモがひとりじめしている空  
 雨がふる空 
 木がのびようをしている空 
 かみなりをおとす空 
 月やほしをかがやかす空 
 風をふかす空 
 ブランコがとぼうとする空 
 


まほうの月

ひるまの月は にじいろ  
わたしにしか みえない  
ふしぎな月
夜の月は 金色
十五夜はみんなにあえる
まほうの月
それをくりかえす
わたしの月

 

 

199○年度     4年生 
 
もしも おふろに さかながいたら  
 
  もしも おふろに さかながいたら 
  ぼくは さかなに えさをやる 
  そして いっしょに およいだら 
  どやどや はねて あそぶのさ 
  もしも おへやに おさるがいたら 
  いっしょに バナナを たべるのさ 
  そして いっしょに おどったら 
  つるつる きのぼり していける 
 
 
本の中  
 
 人間は 本をよむ 
 よむと 本の中に すいこまれる 
 本はこわい だれもよまない 
 本の中は まっくらだ 
 なにもみえない 本の中・・・・ 
 
 
誰もいない世界     
 
わたしは 朝おきて 階段を下りた 
「おはようございます!」 
返事が返ってこない 
いつもは 「おはよう!」とかえってくるが 
今日 この日だけは 返事がない 
(出かけたのかな?) 
そう思って 1人で朝ごはんを食べる 
自分で かみのけを ゆわき  
まどを しっかりしめて 学校へ・・・ 
教室に来て  「おはよう」 
ドアを開けた  
だれもいない 
(おー今日は わたしがいちばんか!) 
と思って かばんをおろす 
10分たっても来ない 
(まっそのうち来るな) 
そう思って 1時間目をすごした 
先生も 
友だちも 
1年も 2年も 3年も 
4年のわたし以外も 
5年も 6年も だーれもいない 
わたしは こわくなり 
家にもどり 友達に電話をしても いない 
わたしは 
今 気がついた 
この世界は だれもいない 
 
 
 
199○年度 1年生 
 
バナナに はながさく    
 
このまえ おうちで 
てれびを みながら 
バナナのかわを むいたら 
むきすぎて 
なかから 
お花がさいてたよ 
わたしは きぜつしちゃったよ 
 
 
おつきさま   

きょうのよるは おそろしい 
いつおこるか わからない 
おしえてあげる 
きょうのよるかは わからないけど 
 おつきさまが 
どろぼうするそうだ 
 

 

いのち
きょう
いのちをみていたら
いのちが
めいろになったぞ

 


てがみ   
わたしは 
がっこうから かえったら 
てがみが おどっていた 
わたしは 
しずかにして といったら 
うるさいな 
と てがみがいった 

 

 

 

子どもの評価は
 
書き始めて2週間ぐらいたったところで、評価を聞きました。

1995、11月 1年2組
 
5、とてもたのしかった   24人
4、たのしかった 0人
3、どちらともいえない 3人
2、つまらなかった 1人
1、とてもつまらなかった  0人

A君 (5)  うそのところがたのしかった。たのしい。もっとやる。たのしい。うそのしはたのしすぎるから、うそのしは2ねんになってもやりたい。
たのしいから、かんたんだから、たのしすぎてたまらない。

 

Bさん(5)  しはたのしい。だって、みんなは、たのしいこといっぱいかいてくれるんだもん。

 

Cさん(5)  いろいろなしがかけた。またかくよー。
        まえ、しを、おうちでかいたよ。がっこうでも、またかきたいな。
        いい、おもしろいしを、いっぱいかいたんだよ。

 

Dさん(5)  しは、うそをかくからたのしいよー

 

Eくん(2)  つまらなかった。でもちょっとたのしかった。

 

 

終わりに

子どもたちに大人気のウソの詩の授業。
ぼくは、毎年詩集を作って子どもたちにプレゼントするのですが、それを読んだ保護者からも、「子どもってすごいですね!」なんて話を聞かせてもらったりもしました。
今年の1年生の詩集もなかなかステキなものができました。
去年担任した子どもたちが教室に遊びに来たときに見せると、「1年生の詩ってかわいくていいね!」「いのち っていう詩なんかすごいね。」なんていいながらワイワイ読んでくれました。
楽しく詩を読む授業と、ウソの詩を書く授業の2つがあれば、子どもたちはきっと詩を大好きになってくれるはずです。ボクも、教科書の詩の単元が来るのが毎年毎年、楽しみで楽しみで仕方がありません!!
皆さんもぜひ試してみて下さい。


補足

・この実践のもとは堀江さんの論文ですが、もともとは1960年代に起きた新しい児童詩の運動の中の松本利明さんの理論が根底にあるようです。