高校生の時。
彼女がいました。
でもあんまりにステキな子で、
基本的に「なんでボクなんかと付き合ってくれてるんだろう?」
という思いが奥底で消せないままでした。
決定的に自分に自信がなかったんですね。
高校が違いましたが、家は近所だったので、
毎晩、飼い犬のロンの小屋の前でおしゃべりしてました。
付き合い始めて1年ぐらい経ったときのこと。
「あのなあ、友だちに遊園地に行こうって誘われてんねん。
男子やけどな。行ってもいい?」
どきっとしました。
イヤに決まってるのに。
そうは言えなかった。
そんなこと言ったら小さい人と思われるんじゃないか。
そもそもオレなんて引き留められるほどの人でもないし。
自分がその人に勝ってるとも思えないし・・・
「ええんちゃう?」
「・・わかった。じゃあいくわ!」
程なくしてボクはふられました。他に好きな人ができたと。
ボクも引っ越しが決まり、偶然顔を合わせることもなくなりました。
さらに1年半がすぎ、ボクは東京の大学に合格し、東京に行くことになりました。
突然彼女から、「大学受かったん?」と電話。
久々にあって話をすることになりました。
とりとめもなく近況を報告し合った後、
「あんとき振られたのはほんまショックやったわー!今でも付き合ってるん?」
と軽口をたたくぐらいには心の整理ができていました。
「・・・・ほんまにそう思ってるん?」
?
なにをいっているのかわかりませんでした。
ボクがいつも遠慮がちだったから、私のことが好きじゃないのではと思っていた。
全然自分からこうしようとか、どこ行こうとか言ってくれない。
何を言っても「それでいいよ!」と言う。
自分のことを好きじゃなくて気持ちが引いているんじゃないか。
だからウソをついて試したんだと。
そしてあっさり「いいよ」と答えられて、やっぱりそうなんだと。
自分の劣等感が人を傷つける。
あのとき自分の本当の気持ちを、たった一言、言えていれば。
自分を守るために本当の気持ちを言わないことで、どれだけ人を傷つけるか。
今思い出しても胸が痛みます・・・
かあーーー!!恥ずかしいぜ-!!
いい年のオジサンが、自分の高校生の思い出話を、恥ずかしげもなく語りたくなような、自分の思い出が蘇ってくる小説でした!
自分で語って赤面。でも、まあいいか。
親友、KAI(甲斐﨑博史)がオススメしていた本。
夜中まで一気読みしてしまった。
これがデビュー作。KAIが言うとおり、文章は「刺身」のよう。
生きがよくてピチピチしています。
ラストが蛇足だなあと感じたけれど、それを含めて楽しめた。
オジサン必読ですね。いやー、泣けたぜ。
オジサン、オバサンの方々は、是非読みましょう〜。
とはいえ、
中学生ならブッククラブで楽しめるんじゃないかな。
ぜひ対話しながら読んでほしいなあ。
このページを見ているかも知れない中学生のみなさんへ。