「さんま」で見てみよう。
さんまがなくなって久しいといわれます。
秋刀魚じゃなくて、「三間」。
子どもたちのあそびの消失は、
「時間」「空間」「仲間」の3つの「間」がなくなったからだと。
確かに。
この「三間」という概念はよくできているなあと思います。
あそびに限らずに、子どもたちが置かれている状況をみることができる。
例えば、
「子どもが読書をしない!」
ということがあるとします。
このときに
「どうすれば読書をするようになるか」という指導法や働きかけを考えるのではなく、
「三間」で考えてみる。
○時間
読書する時間が学校にあるだろうか?おうちであるだろうか?
その時間を確保しているだろうか?
○空間
そもそも手を伸ばせるところに、
目に入るところにいつも「本」はあるだろうか?
○仲間
一緒に本を楽しむ他者はいるだろうか?
楽しんでいるモデルはいるだろうか?
そうすると、実はどれもないのに、
「読書をしない!」と嘆いている場合があるわけです。
例えば時間。
朝読書という取り組みがあります。
積極的に国語の授業の中に本を取り入れようという実践もあります。
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授業の中で本を読む時間、本に触れる時間があるか。
まずはそこを考えたい。
そもそも。国語の教科書「だけ」では、畳の上の水練です。
基礎練習ばかりやって試合がないスポーツはやる気がなくなりますよね。
例えば空間。
本がそばにあるか。
教室に本があるとすてきです。
本が遠い存在の子にとって図書室は遠い。まずは目に入るところに本がある。
家庭にその環境がない子こそ、教室に本を。
それが無理なら、
「国語の授業を図書室で行う」という逆転の発想もありです。
臨機応変にいきたい。
教室に読書箱というのを一人ずつ作って、
図書室から常に2冊借り、
「今読んでいる本と、次に読む本を入れておく」ようにする。
そうすれば、いつも手元に本がある状態になります。
仲間はどうだろう?
一緒に本を読むことを楽しむ仲間。
読んでいる本のことを共有する仲間。
本のことをおしゃべりしたり、オススメの本を紹介し合ったり、
本を貸したり借りたり。
そんな仲間がいるか。
ペアを作って読書をしても楽しい。
こんなふうに「三間」で見てみると、状況は全然違って見えてきます。
つまり問いは、
「どうすれば読書をするようになるか」から、
「子どもたちが読書したくなるような学習環境があるか?」
に変わります。
三間=学習環境
といえるわけです。
となると。
冒頭のあそびの消失。
「子どもたちの体力が落ちてきている!ボール投げの力が弱まっている!
だから朝マラソンさせよう−!ボール投げさせよう!」
となる前に、
「そもそもさんまは?」
で見直してみたいなあと思います。
子どもの問題ではなく、大人の問題なのですよね。
人には力がある。
さんまがあれば動き出しますよ。
あわてないことです。