いわせんの仕事部屋

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過保護

(校内コミュニケーションシステムの,保護者の方々への記事「毎日うろうろ」より)

軽井沢風越学園は、公立が変わっていくことの触媒になることも大切な存在意義だと考えています。

一人でも多くの子が「幸せな子ども時代」を過ごしてほしい。風越のチャレンジが触媒となって、全国の学校が変化していくことに少しでも貢献したい気持ちがあります。

先日のアウトアウトプットデイには、長野県松本市教育委員会、現場の先生方が15名ほど来校していました。
半日たっぷり参観した後、ランチを食べながら振り返りの機会を持ちました。
一人ひとりがミニホワイトボードに
・今日感じたこと考えたこと
・生まれた問い
・持ち帰りたいもの
などを書いて,全体でサークルになって共有したときのこと。

その時にふと思い立ち,近くでおべんとうを食べていた7年生の2人に声をかけて、
「今から半日参観した先生たちが、感じたことなどを共有するんだけど、それ聞いてもらって感じたこと話してくれない?」。
「あ、いいよー。」とあっさり快諾。

大人の感想に子どもがコメントする。当事者だからこそ実感をもって語れることがあるんじゃないかと思ったわけです。
先生たちからは、「どうやったら子どもがこんなふうに自由になれるんだろう」「私たちは日々こどもをしばってしまっていないか」
「どうやったら自分の言葉で語れるようになるんだろう」「公立でもやれることがありそう」などさまざまなことが語られます。
そんな15人の感想を聞いた後の2人のコメント。

一人目。
学校を悪く言うつもりはないんだけど、今の小学校・中学校とかって、先生たちが過保護すぎるんだったなっていうのを聞いてて感じた。いい意味でも悪い意味でもなくて、でも過保護すぎる。
さっきどなたかがおっしゃってたんですけど、風越のスタッフは、子どもを見守ってたり、道を何本かつくる作業をしている(どの道を進むかは自分が選ぶ)のに対して、例えば理科の実験でいうと、手順が最初から全部説明されてしまうんじゃないかなって思います。そうやって先に説明されちゃうのが多分普通の理科や他もそういう授業かなって思うんだけど。

風越では、こないだ私がやった理科の授業は、アンモニアの発生をさせる一つの見本だけ見せられてて、他にも水素とか酸素、二酸化炭素等は、自分たちでやってみて!みたいな風に、道を手渡してくれるだけなんですよ。
そうすると、さっきもどなたかが大切と言われてたようにたくさん「失敗できる」じゃないですか。
はじめから正解の道を手渡さないから、失敗できる。そこから学べる。
ちょっとうまくまとまってないんですけど、いい意味でも悪い意味でも、過保護すぎるんじゃないかと聞いていて感じました。

二人目。
私は『どうやったら子どもがこんなに自由というか生き生きするんだろう』みたいな問いを出している方が結構いたなと思っていて。
それが結構印象的で、自分の中で考えてみたの、なんでかなって。
そうしたら、いや、これ絶対コミュニティだなと思って。
コミュニティ。
もうそれ以外思いつかないくらい絶対コミュニティだと思う。
コミュニティで周りの人ががめっちゃ自分を支えてくれてるなと思っていて。(ラーニンググループでは)自分が何かに挑戦しても、悪く言われることが絶対ないなと思って。何か失敗しても解決策を一緒に考えてくれたり。
それこそ一人ひとり興味はばらばらで、例えばマイプロジェクトでは、私は同じ学年のコミュニティでプロジェクトやるっていうのはあんまりなくて、他の学年の人と異学年でやるんだけど、そこでもそんなコミュニティが普通。
だからどんどんいろんなことができるし自由になるんだなと思います。

たくさんの失敗の中、トラブルも含んだ、たくさんのコミュニケーションの中で、確かな実感を持って成長を実感しているんだなあと。そこに辿り着くにはきっとそれなりの時間が必要で、2人は風越5年目でようやく実感をもって語れるようになっている。たくさんの経験を伴った「実感」が大事なんですよね。そこまでぼくらがじっくり待てるかどうかが問われているなと思います。

公立の先生方は、うーむと唸りながら帰りました。そして聞いていたぼくら風越のスタッフもうーむ。
当事者の声はちからがあります。f:id:iwasen:20241208083237j:image