いわせんの仕事部屋

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本によって人生が変わることもある。

2004年。
本川越の本屋さんにふらっと立ち寄り、偶然手に取った本が、これです。


僕たちは編集しながら生きている (マーブルブックス)

僕たちは編集しながら生きている (マーブルブックス)


当時、ボクが迷っていたこと、行き詰まっていたこと、悩んでいたことにピッタリ当てはまる本でした。

前に進む勇気をもらった本でした。

本によって人生が変わる、そんなことってあるのですよね。
だからこそ。
子ども達にはたくさんの本に出会って欲しいと思っています。
これから歩んでいく人生の小脇にはいつも本があるといいなあと思っています。



本棚から久々に引っ張り出してみると、たくさんのアンダーラインが。
このあたりにボクは共感したんだなあと言うことがよくわかります。

特に激しく線を引いていたところを引用してみます。
当時、30代前半のボクは、このあたりのことでなやんでいたんだなあといろいろ思い出しています。



             *  *  *


〜僕は編集について語るとき、「汎用性」という言葉をよく使います。あるひとつの課題を解こうとしてアイディアを出すとしますよね。そのアイディアは、僕だけが私有しているアイデアに留まるのか、それとも同時に他の人にもそのアイディアが役に立つカタチになっているのか。後者のようなカタチになっているのは、「汎用性」があると言えます。

あと、「共益性」。「共に役に立つ」ということもよく言う。つまり、「ある特別なノウハウ」を個人が「私有」することよりも、共用できたり、それをコアにして各人が改造、応用して使えた方がおもしろい。「編集」という技術について、まずそのようなイメージを持っています。小さなエゴに基づいた「個性」より、そっちの方がよっぽど「オリジナル」だと思います。また、限られた分野にしか使えないノウハウやアイディアではなく、いろんな分野で役に立つカタチの方がいいですよね。「編集道」や「名人芸」とは対極的なものとして「編集」のことを捉えたいんです。


ちょっと脇道に逸れるかもしれないけれど、アイディアというものは、ケチケチしていては出てこないんです。所詮、人間ひとりが短い人生の間にできることは少ない。だから、思いついたことはどんどんオープンにしていった方がいい。自分のアイディアを、誰かが改造し、どんどん提供していく。



いいノウハウというのは、いいアイディアを次々に出てきやすくしたり、人の才能を発露させやすいものです。はたしてそんなエネルギー回路で「編集」をしていけるか。開放系のエネルギーの回路をつくれるか。それは編集を超えて、アートでも写真でも文章表現でも、つまり、すべてのクリエイションの要だと僕は思っています。





編集とは、日々を生きていく「技術」、「術」なんです。毎日、丁寧に外からやってくるものと付き合ったり、相手のしゃべる言葉野中にかくれているものに触ったり、一日の中の、ひとつの微発見をきちんと重ねてゆくことで、初めて世界はおもしろさに満ちていることを知ったり、同時に、魅力的なアイディアを得たり、まわりを説得できる素晴らしい企画が生まれてくるのだと思う。