いわせんの仕事部屋

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人生を変える本に時々出会う。

ボクの若かりし頃のバイブルの1冊。

線引きまくっています。

 

 

僕たちは編集しながら生きている

僕たちは編集しながら生きている

 

これは多分新版。当時は緑色でした。

 

もう10年以上前、本屋さんで偶然手に取った本。

これからどうやって生きていこうか、を悩んでいる時に出会いました。

 

           

~僕は編集について語るとき、「汎用性」という言葉をよく使います。あるひとつの課題を解こうとしてアイディアを出すとしますよね。そのアイディアは、僕だけが私有しているアイデアに留まるのか、それとも同時に他の人にもそのアイディアが役に立つカタチになっているのか。後者のようなカタチになっているのは、「汎用性」があると言えます。

 

 

この「汎用性」という考え方。

オリジナルでありたい!と思っていた若い頃。野心ばかりが前に立っていました。

その時にボクの中に届いた言葉でした。

 

 

あと、「共益性」。「共に役に立つ」ということもよく言う。つまり、「ある特別なノウハウ」を個人が「私有」することよりも、共用できたり、それをコアにして各人が改造、応用して使えた方がおもしろい。「編集」という技術について、まずそのようなイメージを持っています。小さなエゴに基づいた「個性」より、そっちの方がよっぽど「オリジナル」だと思います。また、限られた分野にしか使えないノウハウやアイディアではなく、いろんな分野で役に立つカタチの方がいいですよね。「編集道」や「名人芸」とは対極的なものとして「編集」のことを捉えたいんです。

 

小さなエゴに基づいた「個性」より、そっちの方がよっぽど「オリジナル」。

さらっと書いていますが、すごい言葉だなあと思います。

 

 

ちょっと脇道に逸れるかもしれないけれど、アイディアというものは、ケチケチしていては出てこないんです。所詮、人間ひとりが短い人生の間にできることは少ない。だから、思いついたことはどんどんオープンにしていった方がいい。自分のアイディアを、誰かが改造し、どんどん提供していく。

 

教育はオープンソースであるべきだ、と確かずいぶん前に東大の中原淳さんがどこかで書いていた(はず)。

この言葉でボクの生き方は定まったなあと。

 

 

いいノウハウというのは、いいアイディアを次々に出てきやすくしたり、人の才能を発露させやすいものです。はたしてそんなエネルギー回路で「編集」をしていけるか。開放系のエネルギーの回路をつくれるか。それは編集を超えて、アートでも写真でも文章表現でも、つまり、すべてのクリエイションの要だと僕は思っています。

 

ワークショップってこういう場で、授業でのプロジェクトもこういう場。

 

編集とは、日々を生きていく「技術」、「術」なんです。毎日、丁寧に外からやってくるものと付き合ったり、相手のしゃべる言葉の中にかくれているものに触ったり、一日の中の、ひとつの微発見をきちんと重ねてゆくことで、初めて世界はおもしろさに満ちていることを知ったり、同時に、魅力的なアイディアを得たり、まわりを説得できる素晴らしい企画が生まれてくるのだと思う。

 

ボクが外に発信するきっかけを作ってくれた本です。

人生を変えてくれた本でした。

 

ボクに取ってほんはそんな存在です。