汎用性をかんがえる。
「やり方」が大事か、「あり方」が大事か。
という問いにぶつかることがあります。
どちらだと思いますか?
「やり方」って大事だけど、魂のない「やり方」なんてなあ。
「あり方」って大事だけれど、やり方のないあり方なんて精神論みたいで役に立たなそう。
等といろいろ考えてしまいます。
でもこれは問い方のマジックですね。
2分法で問われるとつい、「どっちか」と考えてしまいがちですが、
これは「どっちか」という問題ではありません。
どっちも大事なんですね。
そのバランスをどうとっていくか、の方が問われるべきことです。きっと。
同じようにして
「汎用性か、オリジナルか」
があります。
教育学の文脈では、
は、法則定立的か個性記述的か、という問いでもあります。
実践に「汎用性」を持たせていくことは是か非か。
これも問い方のマジックです。
どちらか、という問題ではないはずです。
ボクは若い頃、このような問いにずいぶん悩まされてきました。
そんな頃に出会った本が以下の本です。
- 作者: 後藤繁雄
- 出版社/メーカー: 三交社
- 発売日: 2010/09
- メディア: 単行本
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ボクが手に取ったのは2004年。
もう12年前じゃないですが。びっくり。
当時、ボクが迷っていたこと、行き詰まっていたこと、悩んでいたことにピッタリ当てはまる本でした。
前に進む勇気をもらった本。
本棚から引っ張り出してみると、たくさんのアンダーラインが。
このあたりにボクは共感したんだなあと言うことがよくわかります。
特に激しく線を引いていたところを引用してみます。
当時、30代前半のボクは、このあたりのことでなやんでいたんだなあといろいろ思い出しています。
* * *
・僕は編集について語るとき、「汎用性」という言葉をよく使います。あるひとつの課題を解こうとしてアイディアを出すとしますよね。そのアイディアは、僕だけが私有しているアイデアに留まるのか、それとも同時に他の人にもそのアイディアが役に立つカタチになっているのか。後者のようなカタチになっているのは、「汎用性」があると言えます。
・あと、「共益性」。「共に役に立つ」ということもよく言う。つまり、「ある特別なノウハウ」を個人が「私有」することよりも、共用できたり、それをコアにして各人が改造、応用して使えた方がおもしろい。「編集」という技術について、まずそのようなイメージを持っています。小さなエゴに基づいた「個性」より、そっちの方がよっぽど「オリジナル」だと思います。また、限られた分野にしか使えないノウハウやアイディアではなく、いろんな分野で役に立つカタチの方がいいですよね。「編集道」や「名人芸」とは対極的なものとして「編集」のことを捉えたいんです。
・ちょっと脇道に逸れるかもしれないけれど、アイディアというものは、ケチケチしていては出てこないんです。所詮、人間ひとりが短い人生の間にできることは少ない。だから、思いついたことはどんどんオープンにしていった方がいい。自分のアイディアを、誰かが改造し、どんどん提供していく。
・いいノウハウというのは、いいアイディアを次々に出てきやすくしたり、人の才能を発露させやすいものです。はたしてそんなエネルギー回路で「編集」をしていけるか。開放系のエネルギーの回路をつくれるか。それは編集を超えて、アートでも写真でも文章表現でも、つまり、すべてのクリエイションの要だと僕は思っています。
・編集とは、日々を生きていく「技術」、「術」なんです。毎日、丁寧に外からやってくるものと付き合ったり、相手のしゃべる言葉の中にかくれているものに触ったり、一日の中の、ひとつの微発見をきちんと重ねてゆくことで、初めて世界はおもしろさに満ちていることを知ったり、同時に、魅力的なアイディアを得たり、まわりを説得できる素晴らしい企画が生まれてくるのだと思う。
* * *
ことあるごとに、手に取り直している本。
そして今年はその先の「原理」に焦点を当てたいとおもっています。