いわせんの仕事部屋

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校内研修を進めるのに一番大切なことって?

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秋が近づいてきたなあ。

 

先日、ある人に、
「(研究主任として)校内研修を進めるのに一番大切なことはなんですか?」
と聞かれました。

一番大切なことかあ、なんだろう。
大切なことはわからないけれど、一番覚えていることはこんなできごとでした。

 

それは研究主任になって2年目。
外部のワークショップやファシリテーションのトレーニングに積極的に出かけて行って、「学んだことを校内に活かすぞ!」と張り切っていました。2006年あたりでしょうか。研修の進め方をワークショップやファシリテーションで学んだことをもとにデザインし、われながら「先進的なことをやっている!」と自信満々でした。

実際の研修はどうだったかというと、興味を持ってくれる人と、抵抗を感じる人と半々といった感じ。一生懸命準備をしているのにノッてくれない人にいらだちを感じていました。熱烈に応援してくれる先輩いたものの、露骨に口を聞いてくれない人もいました。

なんだよ、こんなに一生懸命やってるのに。いつまで古いことにしがみついてんだよ。

 

ある日の飲み会のこと。
応援してくれていた先輩、Kさんと飲みながら研修の話になりました。
「これだけ準備してやってるんだから、もっと研修加速していいはずなんですけど、抵抗している人まだいるんですよね」
とグチを言った次の瞬間、それまでウンウンと聞いてくれたKさんは激怒しました。

 

「おまえなあ!おまえは自分が正解持ってると思ってるんだろう!自分が正しいことをやっている、自分は勉強している、自分は知ってる、とおもってるんだろう。確かに勉強してる。でもそうやって同僚を下に見てるんだろう!」

 

「そういうの出てるんだよ!」

 

「お前は人のために汗をかいているんじゃない。自分が可愛くて、自分のために汗かいているんだ!そんな奴に誰もついていかない。

お前が口を聞いてくれないといった◯さん見てみろよ!あの人は自分の仕事じゃないのに毎朝早く来て、校庭にライン引いてるんだよ。おまえ知らないだろう! みんな人のために汗かいている人がいて、そうやって学校は成り立ってんだよ。

お前みたいな自分のためにしか汗かけない奴に誰もついていかないんだよ!

人は、何を言っているかではなく、誰が言っているか、で動くんだよ!」

 

おおよそこんな話でした。
それまで賑やかだった居酒屋の和室はシーンと静まりかえりました。
もう15年も前の話ですが、今もこのシーン、そのときの空気を鮮明に残っています。

ぼくはKさんにあれこれ言い訳を重ねました。

その後先輩たちが慰めに来てくれました。

 

でも自分が一番わかっていました。その通りだと。
Kさんの言った通りだった。それが毛穴から出ていた。

学校のために、全校の子どものために、なんてお題目であって、そこまで考えていなかった。

自分のために研究主任をやっていた。

恥ずかしいぐらいその通りだった。

 

このあと狭山市の駅前で、明け方まで泣きながらKさんと話しました。
いや、説教されてました。
途中、酔っ払った指導主事が通りかかって「おまえらなんで駅前で泣きながら話してんだ」と言われたなあ、そういえば。

 

この後紆余曲折あり校内研修は進んでいきました。ぼくも少しずつではあったけれど変化できたはず。

教室でのあり方も少しずつ変わったはず。

他者と真剣に向き合うってどういうことか。

遅きに失しましたが、その試行錯誤と探究が始まりました。

きっとそれが怖かったのだと、今振り返ると思います。

 

この出来事が、ぼくのその後の根っこになってます。
人の根っこって、常に美しい、輝かしいものではない。
でも、ぼく自身に自分を発見させてくれた出来事。
思い出して嬉しい「根っこ」ではなく、思い出すたびに胸の奥がググッと苦しくなる。
この出来事でちょっとだけ進んだ自己理解が、今もぼくを支えてくれています。

今自分はどういるか、を思い出すアンカーのような役割を果たしてくれている。

情けないことに今もなお克服できていないけど・・・

 

 

「(研究主任として)校内研修を進めるのに一番大切なことはなんですか?」
の解なんてないんだよな。
どう進めるか?(方法)とか、どんな研修を?(内容)とか、その目的は?の前に、そこにいるわたしはどういるのか?を繰り返し繰り返し振り返ることしかできないのかもしれない。

劇的にうまくいく方法!なんてないんだよな。

ごめんなさい、なんのヒントにもならない話しかその方にはできなかった。

 

Kさん、今近くの学校で校長先生をされているそう。
ひさびさに説教されに行こう。

 

とはいえ、自身の「やりたい!」もとても大切で、それを手放そうという話ではないんだよな、と蛇足的に。

自分モードは圧倒的な原動力なので。