振り返りジャーナルは先生にとっても大切。
本ができました。
「振り返りジャーナル」で子どもとつながるクラス運営 (ナツメ社教育書ブックス)
- 作者: 岩瀬直樹,ちょんせいこ
- 出版社/メーカー: ナツメ社
- 発売日: 2017/02/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ボクの実践群の中で、信頼ベースの学級ファシリテーションとして整理したもののなかで、最も広がっているのがこの振り返りジャーナルかもしれません。
ボク自身はこの振り返りジャーナル抜きで日々の実践は成立しない、と断言できるほど核となっているものとなっていました。
一方、なかなかうまく行かないという相談が一番多かったのも、この「振り返りジャーナル」です。
その声に応えるべく整理したのがこの本です。
さっそく、あすこまさんが書評を書いてくださいました。
あすこまさん、ありがとうございます。
「教室という権力空間で、教師が生徒に振り返りを書かせる」ことに対する懐疑
と書かれていますが、そこ、大事ですよね・・
この実践が子どもにとっても教員にとっても価値のあるものになるためには、教員が自身と学校の権力性を自覚しつつ、その権力性を何に使うのか。
そこが問われます。
その問いは「なぜ先生宛に書くのか?」という問題にもつながっています。
他者と振り返りを共有するときに、その両者の間に必要な関係性とはどのようなものか。学習者である子どもが真摯に振り返りに向き合えるには、その伴走者である教員はどうあるべきか。このあたりはあすこまさんも言及してくださっています。
そう考えると「振り返りジャーナル」は、やり方を越えて、教員自身の「あり方」こそが問われているのかも知れません。その意味では、「わたし」の有り様が可視化されるツールなんですね。
そう考えるとちょっとこわくなりますよね。
ボクも若い頃、
「いわせんのこと、いい先生だと思うけれど、好きにはなれないな」
って書かれて、なかなか整理がつかなかったことがあります…
でも今思うと、それをきっかけにボクは「子どもとの関係性」についてよくよく考えるきっかけとなりました(その時はダメージ受けたけれど…)。ジャーナルというツールがあってよかったなと思うエピソードです。
でもよく考えれば、自身のあり方を振り返る視点を毎日得られるわけですから、ジャーナルを読んで、ボクら自身も振り返ることで、ボクらにとっても成長のツールになります。
子ども→先生→子ども→先生・・・というサイクルが回って初めて、両者の成長につながるのが「振り返りジャーナル」です。
ボクの成長を支えてくれたのは、この振り返りジャーナルでした。
昔からの実践の仲間、青山さんも書評を書いてくださいました。
実践してきて、その難しさを知っているからこその書評に感謝。
「振り返りこそ学び」は、大人も子どもも同じですね。
さあ、今日の振り返りを書こうっと!
最近読んだ本。これから読む本。
すっかりブログをご無沙汰してしまっていました。
仕事が忙しくて(言い訳)。復活します。
今日は久々、最近読んだ本を紹介します。
アメリカの教室に入ってみた: 貧困地区の公立学校から超インクルーシブ教育まで
- 作者: 赤木和重
- 出版社/メーカー: ひとなる書房
- 発売日: 2017/01/16
- メディア: 単行本
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★★★★★
大当たりです。必読です。アメリカの貧困地区の公立学校のルポもさることながら、新しいインクルーシブ教育を展開している私立小学校の紹介を通じて、「インクルーシブ教育の新しいかたち」が提案されている本。
ボクは特に第3部にしびれました。
第3部 インクルーシブ教育の新しいかたち
第1章 小さな私立学校とインクルーシブ教育
第2章 New Schoolの概要
第3章 流動的異年齢教育
第4章 流動的異年齢教育を可能にするもの─個別化・協同化・プロジェクト化
第5章 流動的異年齢教育の意義
第6章 インクルーシブ教育の新しいかたち─違いを大事にしながらつながる
ボクらが軽井沢風越学園で実現しようとしていることとの共通点の多さにも驚きました。現地の情景が浮かぶ読みやすい文体。一見軽いタッチの文章の中に、本質的な問いが浮かび上がってくる。現在の日本のUDへの批判も柔らかく、でも鋭く練り込まれている。いやあ、すごい本だ。
近々お会いしたい方ナンバー1です。
★★★★★
荒木さんからご恵送いただきました。(ありがとうございました!)
これまたすごい・・・ゼロから学べるシリーズでも異彩を放っています。
そもそも道徳とは?道徳教育とは?という理論からスタートし、道徳教育の歴史、そして実際の授業づくりまで網羅的に取り上げられています。
一つ一つが知見に裏打ちされていて、荒木さんの授業を受けているような読後感。
わかりやすいのに奥深い。
前述の赤木さんの本とこの本は「研究者による、現場の先生に届く書き方での新しい形」と言えます。この流れは歓迎したいです。
お二人とも現場に精通した(実践もされている)研究者だからこそなのでしょう。
道徳を学びたい!学び直したい!という方に最適の1冊です。井上ひさしのことば、
むずかしいことをやさしく、
やさしいことをふかく、
ふかいことをおもしろく、
おもしろいことをまじめに、
まじめなことをゆかいに、
そしてゆかいなことはあくまでゆかいに
が浮かぶ2冊。
この本の次は、同じく荒木さんの本、
学校における対話とコミュニティの形成―コールバーグのジャスト・コミュニティ実践
- 作者: 荒木寿友
- 出版社/メーカー: 三省堂
- 発売日: 2013/03
- メディア: 単行本
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をお薦めします。ボクはこの本に多大な影響を受けています。
リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは
- 作者: 中竹竜二
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 2009/01/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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とある本の企画で中竹さんと対談させていただく機会があり、その予習に読みました。自身との共通点も多く、刺激的な時間でした。
ご自身の実践を言語化し体系立てる力がすごい方。
暗黙知を徹底して形式知に落とし込み広げていく。大事な仕事をされている方です。
スポーツのチームと学校との共通点と違いは何かを改めて考える機会にもなりました。
- 作者: キャシータバナー,カーステンスィギンズ,Kathy Taberner,Kirsten Siggins,吉田新一郎
- 出版社/メーカー: 新評論
- 発売日: 2017/02/08
- メディア: 単行本
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★★★★
吉田新一郎さん訳の最新刊。彼の目利き力には脱帽です。子どもとの(に限りませんが)コミュニケーションを再考したい人にお薦めです。この本に書かれていることを実践すれば、確実に変わっていくと思います!
★★★★
読みやすいので、1時間もあれば全体像がつかめます。答申と合わせて読みたいです。
今日届いた本は以下の2冊。さあ読むぞ-。
フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術 (PHPビジネス新書)
- 作者: 中原淳
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2017/02/18
- メディア: 新書
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↑
この本まだチラ見ですが、大当たりの予感。高いのが難点。
新しい本が出ました。
新しい本が出ました。
「振り返りジャーナル」で子どもとつながるクラス運営 (ナツメ社教育書ブックス)
- 作者: 岩瀬直樹,ちょんせいこ
- 出版社/メーカー: ナツメ社
- 発売日: 2017/02/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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自己主導の学び
自分の学びを自分で進めていく。
ボクらはそれを「自己主導の学び」と呼ぶことにしました。
「わたし」からはじまる…自己主導
軽井沢風越学園は「わたし」からはじまります。
これまでの学校では、何を、どう、どこまで学ぶかを大人が決めていました。いわば「学びのコントローラー」は大人が持ち、「わたし」よりも「みんな」が優先されていたのです。私たちはそのような学校の姿から一歩先に進みます。「学びのコントローラー」を大人ではなく子ども自身がもつ。それが軽井沢風越学園の目指す学びのスタイルです。軽井沢風越学園では、何を、どう、どこまで学ぶかを一人ひとりの子ども自身が決めて、学んでいきます。そして学びの質を深めるために、自分自身の学びを問います。これを私たちは「自己主導の学び」と呼びます。
<学びを決める>…この時間でわたしはこれを学ぶ。 このことをわたしはこう学ぶ。わたしはここまで学び進める、学び深める。
<学びを問う>…この時間でわたしは何を学んだのか? この学び方は自分にとってどうだったのか? 次に何を学ぶのか? もっと知りたいことは何か?こうして「決める」と「問う」ことを繰り返し、学びを自分のものにしていくのが自己主導の学びです。
ボクは小学校現場でこの自己主導の学びの実践を試行錯誤してきました。
算数でも単元内自由進度で学ぶことをメインとしてきました。
自分で学習計画を立てる。
自分で学ぶ。
自分の学びをふり返って改善していく。
とてもシンプルな学び方ですが、学習の基本だと思うわけです。
新しい指導要領で言われている「主体的な学び」はまさにこれです。
教室で
「先生、次の時間なにするの?」
と聞かれるとき。
きっとそれは、学ぶことが外から「降ってくる」状態。 「学びのコントローラー」を教師が操作している状態。
自分の学びのコントローラーを自分で操作する。
自分で操作するからもちろん失敗もする。
その試行錯誤の積み重ねから「学ぶ」ということが自分のものになっていくと考えています。
では、一人で孤独に学ぶということでしょうか?
いえ、けっして孤立して学ぶわけではありません。
ゆるやかな協同性が一人ひとりを支えます。必要に応じて人間関係の濃い薄いを越えて、気楽に他者の援助や協働を求めあいます(自然な学び合い)。
学校が、「学び合うこと、聴き合うことをベースとした実践コミュニティ」として成立していれば、自己主導の学びはいわば、
「みんながちがうことをやっていて、必要に応じて自然に学び合う学習」と言い換えることができます。
そうすれば全員が違うことをやっていても、サポートが必要になれば人間関係の濃い薄を超えて「ちょっと教えて」と気軽に聴くことができる。
援助希求が機能している学習環境をベースに、一人ひとりが学んでいける。
それが1年ではなく、もっと長いスパンで保障されていたらどうなるか。
軽井沢風越学園での大きなチャレンジのひとつです。
そのためには、時間と空間、そして仲間の「さんま」が重要になってくると考えています。
ボクの予測としては、小学校だけを考えても早ければ3年、ゆっくり学んでも6年間で「しっかり学んだ!」といえる状態に、子ども自身が自分で持っていけるようになると思います。
そして探究に没頭できる時間的なゆとりも生まれるはずです。
そのためのカリキュラムづくりがこれからの大きな仕事です。
というわけで、軽井沢風越学園のホームページに「自己主導の学び」、そして校舎の中心になる「ライブラリー」の情景を追加しました。
軽井沢風越学園の情景
軽井沢風越学園での学校づくりのプロジェクトがスタートしました。
想像以上の反響に身の引き締まる思いです。
さて、具体的のこの学校はどのような姿を目指しているのでしょうか?
「目指す学校像」と「大切にする在り方」だけではイメージがわかないかもしれません。
具体的な学校の姿としてどんなイメージになるのか。
その「情景」を描いてみました。
これから少しずつ「情景」を増やしていきたいと思います。
当然ですが、あくまでこれは現時点での情景です。
これからメンバーが増え、そのメンバーと対話を重ね、準備を進めていくうちに、どんどん変化していきます。その変化が楽しみでもあります。
無事開校した暁にも、ずっとその「情景」は変化し続けると思います。
情景を通して、学校の姿を考え続けたいと思います。
第1弾は朝の様子です。
ぜひ感想を教えてくださいね。
学校づくりにチャレンジします。
学校をつくります。
ボクはこれまで、小学校現場で
「幸せな子ども時代を過ごせる学級」
を目指して試行錯誤し続けてきました。
できたことも、できなかったこともありました。
その中で、学級単位を超えて学校全体が変わることの大切さを実感しました。
2年前から教職大学院で教師教育に関わる機会に恵まれました。
昨日のエントリーにも書きましたが、学生の皆さんとの毎日の中で公教育の可能性を日々感じています。
その中でも改めて確信したことがあります。
「学級が変わる」から「学校が変わる」へ。
新たな学校のカタチを考えたい。
幸せな子ども時代を過ごせる学校ってどんなカタチだろう。
あそぶことも学ぶことと同じぐらい大切にされる学校ってどんなカタチだろう。
関わるすべての人が力を発揮できる学校ってどんなカタチだろう。
新しい学校のデザインを考える時です。
本城慎之介、苫野一徳、小川 佳也という志を同じくする人たちと出会い、いよいよそのチャレンジを始めます。
参画、サポート、応援してくれる人たちもいて心強いです。これからも増えていくとうれしいな、と思っています。
公立学校の新たなモデルとなるような学校を目指します。
見に来てくださった方が、子どもの姿と教職員の姿から、
「ああ、この感じかあ。やってみたい!」
と思えるような学校を目指します。
道は簡単ではありませんが、
今はただただ楽しみです。
設立メッセージ
2020年4月に3歳から15歳の学校を軽井沢で…
赤ちゃんは、たくさんの愛情を受け、身の回りのいろいろなものに関心を向けながら、まずは一人遊びをたっぷり楽しみます。豊かな一人遊びの時間を積み重ね、誰かと一緒に遊ぶことの楽しさを知ります。そして、遊びに応じていろいろな人と関わりを持ちます。そうすることで、他者や世界に興味関心を持ち、学んでいくのです。
遊びが学びへとつながっていくこの人間の自然な育ちを大切にした学校をつくりたい。その思いをベースに私たちは、3歳から15歳までが一つの校舎で学ぶ「軽井沢風越学園」の2020年4月開設を目指して動き始めました。
私たちは、一斉授業・画一的なカリキュラム・固定的な学級編成等に代表されるような従来型の学校教育に限界を感じている一方で、子どもがもつ学ぶ力と学校教育の可能性を信じています。軽井沢の豊かな自然環境を活かし、3歳から15歳が共にゆるやかに関係する環境を整え、学校教育の新しい在り方を提示し、公教育のモデルとなるような学校の設置 を目指します。また、軽井沢町との連携を重視し、“しあわせ信州”を学校教育の観点から具現化することで地域に貢献します。
丁寧に丁寧に進んでいきます。ここがスタートです。
「わたし」からはじまる
「わたしたち」で広げる
「わたし」と「わたしたち」で深める
ボクたちだけの力ではつくれません。
知恵を貸してください。力を貸してください。
ぜひホームページをのぞいてみてください。
教職大学院での授業。
昨日は「学校教育ファシリテーターの養成」の授業。
前半での学びを踏まえて、後半では、ひとり一人の関心をベースにチームを作って、オリジナルワークショップをデザインし、実際にやってみる時間となっています。
今日も4本のワークショップ。
「断捨離ワークショップ」「学習の真正性ワークショップ」「OJTワークショップ」「若手育成ワークショップ」。
それぞれのワークショップがまたおもしろい。現職院生、学卒院生が混じって本気で組み立てていて、どれもこれまでにないユニークなワークショップです。
ワークショップが終わると、参加者から、参加者視点の忌憚のないフィードバックをもらいます(時には厳しい・・・)
このフィードバックが貴重。企画・運営と実際のズレが見えてきます。
ワークショップが終わり、フィードバックをもらい、授業も終了後、自主的に残って遅くまで振り返りを行っているチームもいくつもありました。振り返りこそ学び。
起きたことから何を学ぶか。そのことの価値を体感するのが教職大学院の役目の1つです。
さきほど数人からはメールで長い振り返りが送られてきました。その振り返りの深まりに、これからの学校教育の可能性を感じています。
人の力はすごい。
学生の皆さんの姿に、公教育の変わる可能性を確信します。
学び続ける人は、たいていのことはクリアしていくのだろうな。
なによりうれしいのは、この授業を超えて様々な場面でファシリテーションを活かした場づくりが起きていること。
日常になってきていること。授業以外の場面で、「自分たちで場をよりよくしていこう」という動きが見られます。
「場のつくりかた」へのアンテナが高くなっている。
公教育は変わる。なぜなら、人には力があるからです。
結果としての仕事に働き方の内実が含まれるのなら、
「働き方」が変わることから、
世界が変わる可能性もあるのではないか。
この世界は一人一人の小さな「仕事」の累積なのだから、
世界が変わる方法はどこか余所ではなく、
じつは一人一人の手元にある。
(『自分の仕事をつくる』 西村佳哲 晶文社 )