いわせんの仕事部屋

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「職員室から早く帰る」ということ。

ボクは子どもが3人いて、しかも5歳ずつ離れているので、ここ18年間ずっと「子育て期」です。嬉しいやら大変やら・・・・

オクサンも同業なので、保育園、学童のお迎え、晩ご飯づくり等々、怒濤の仕事で「5時半に帰らざるを得ない」という18年間でした。

結果として、家での時間がたくさんあり、子どもたちとたくさんの時間を共有することができました。それは本当に幸せなことだなあと思います。

早く帰らざるを得ないことで、仕事もずいぶん効率的にできるようになりました。

「必要は発明の母」とはよく言ったものです。

必要がなかったら、毎日9時10時までやる日々だったかもしれません。

 

一方、職場の他の皆さんより先に帰るということは、ずいぶん長い間罪悪感がありました。

「みんな仕事しているのに申し訳ないなあ」と・・・・

帰るときは、隠れるように、

「お先に失礼します・・・すみません・・・」 

 

でも、そもそも。

なんで申し訳ないんだろう?

 

 

教員の仕事って際限がありません。

やろうと思えばいくらでもできる。

ですから「遅くまで仕事をする=一生懸命仕事をしている」という思い込みが生まれやすい仕事と言えます。

忙しいのが当たり前。遅いのが普通。「教員の仕事はそういうもの」が常態化しやすい。

 

だからついつい帰るのが遅くなります。自分の時間や家族の時間を後回しにしてしまいます。

早く帰るときはどこか罪悪感が生まれます。

まわりの人は子どもたちのために遅くまで仕事をしているのに、自分が早く帰るなんて一生懸命やっていないように感じてしまう。

 

「 遅くまで働く=えらい」ってどこか潜在的に思ってるかも。

本当は「長い時間働く=よいこと」ではないのに。

 

「オレこんなに遅くまで子どもたちのためにがんばってるんだぜ、べいべー。」

と酔ってしまう。ああ、ボクそのタイプ(涙)。

 

 

本当にそんな働き方でいいのでしょうか?

際限がない仕事だから際限なく仕事をして、身も心もすり減っていく。

自分の時間や家族の時間を後回しにしてしまう。

持続可能な他の道はないでしょうか。

 

こんな問いについてよく考えます。

 

「最も理想的に進んだとしたら、ボクの日常はどんな日常になるだろう?」

「一番自分が幸せと思える生き方ってどんな生き方だろう?」

 

ボクの場合はどうだろう?

 

           *  *  *

 

もちろん仕事は大好きだし、仕事を通して人の成長や幸せに貢献できるるのがうれしいし、やりがいを感じる。

仕事との時間は一生懸命働く。子どもたちの成長に貢献したい。

シンプルにいい仕事がしたい。

同僚といい関係を築きたいなあ。サポートし合いながら楽しく仕事したい。

 

と同時に、自分の時間や家族の時間も大切にしたいなあ。

決められた時間で仕事はおしまい。

夕方には家に帰る。

子どもとちょっと家の前で遊んだりして、夕食はみんなで談笑しながら。

子どもたちが寝るまでは一緒に遊んだり、話したり、お笑いを見て一緒に笑ったり。家事ももちろん。家事に関しては少々イヤイヤだけれど・・・。

「おやすみー!」

子どもが寝たら、読みたかった本を読んだり、映画を見たり、自分のスキルアップのためにちょこっと勉強したり。時には原稿を書くかも。ビール飲んじゃうかもね。そして明日のために早めに寝る。

 

休日は、月に1回は自分の成長のために研修や講座に行って学びたい。

後の週末は、家族や自分、地元での時間に使いたいな。

子どものサッカーの試合を見に行ったり、時には子ども会の役員やったりもいいな。

友だちとの時間もステキだし、ボクは割とひとりが好きなので、カフェに行って本を読んだり、散歩したりするのもいい。

時には社会に貢献できるような仕事もしたいな。講座の講師もたまにはやろう。

本も時々はがんばって書くぞ!

 

         *  *  *

 

そうやって日々を豊かに過ごすこと。当たり前の日常の彩りを大切にすること。

仕事と日常を分けるのではなく、それをひっくるめて「私の人生」なわけだから、ボクが幸せを感じるような日常にしたい、ボクのまわりの人にもできるだけ幸せになってほしい。

 

読み直してみると、どこか夢物語のような気がしてしまいます。

でもボクが望む「仕事のしかた」や「人生」ってこんな感じです。

これはきっと人によって違う。

一人ひとりの「私はこんな働き方をしたい。こんな人生にしたい」があるはずです。

 

それぞれの「こんなふうに働きたい。こんな人生にしたい」を大切にできる社会を子どもたちに残したいなあと思います。

もちろん仕事にたくさんの時間をかけることが私のやりたいことだ、もOK。

放課後の時間を、自分の他にやりたい仕事にかけるのもOK。

でも意志に反して際限なく働いて自分がすり減っていく・・・・

そんな社会を子どもたちに残したくないなあと。

とっても難しいことであるのは100も承知なのですが・・・・

 

 

3年前、オランダの学校に見学に行ったときのこと。その学校に宿題がないと聞いて驚きました。その理由を尋ねるとおおよそこんなことでした。

 

「学校で毎日学習している。決められた時間の中で終える、ということが大切。家での時間は各家庭で豊かに過ごしてほしい。だから家に持ち帰らない。大人の仕事も同じで決められた時間の中で終えるのが有能で、残業や仕事の持ち帰りはしない方がいい。余暇は自分の時間。宿題を毎日持ち帰るというのは、仕事の残りを持ち帰るようなもの。子ども時代から、余暇を豊かに過ごす体験をしてほしい」

 

がーんと頭を殴られた気がしました。

「人生をどう生きていくか」なんだ。

もちろん、働き方は多様で、その人の「こんな風に人生を生きていきたい」

が保障されるといいなあと思います。少なくとも選択できる自由があるといいなあと。

 

 

教員の仕事の多忙さは、個人の努力だけで解決できないことも多く、

制度や仕組みの構造的な問題も多いです。そこは本当に何とかしてほしいと思います。 

でも、だからといってそれを待っていて、たった1度しかないボクらの人生を職員室で疲弊して終える、なんてことにはしたくない。

 

 

遠い道かもしれないけれど、

まず、ボクたち一人ひとりが自分の仕事の仕方をちょこっと変えるところからはじめたい。

その第一歩は例えば、

「5時半に帰る」

ボクは帰らざるを得ないから、だったのですが、

結果としてそれが自分にプラスでした。

 

決められた時間の中でやれることからスタートです。

そのために知恵を絞る。みんなで知恵を出し合って共有する。

カンペキを目指さない。上手に頼り合う。

管理職の人は、その知恵を共有して「持続可能な職員室」づくりをみんなでする。

 

 

私の人生をていねいに生きること、私を大切にすることからスタートしたい。

もしかしたら、教室で子どもに影響を与えていることは、「何を言っているか」「何をやっているか」以上に「どう生きているか」かもしれません。 

 

ボクのバイブルの中で駒崎弘樹さんが「働き方革命」を提唱しています。

思いっきり共感しています。

その一歩を、小さくてもいいから踏みしめたい。

 

働き方革命―あなたが今日から日本を変える方法 (ちくま新書)

働き方革命―あなたが今日から日本を変える方法 (ちくま新書)

 

 ぜひ、この本を読んでみてくださいね。

とは言いつつ。今から言い訳を始めます!

 

ボクもこの春から大学に仕事が変わり、なかなか慣れないし、ついつい遅くなってしまいます・・・・・・(反省)。

やることも多いし、際限がない。この文の冒頭の感じに思いっきり戻っています。

そして遅く帰るのが常態化し始めてました・・・(猛省)。

だがしかし。

ボクもがんばってみます。

 

 

持続可能な社会は持続可能な働き方から。