いわせんの仕事部屋

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不安定な状態は、大きく飛び立つためのジャンプ台に立っているとき。

不安定な状態にいると不安になるので、

なんとかその状態を解消したくなる。

 

安定した状態にしたくなるので、

そのためにいくつかの妥協をしたり、

言い訳したくなったり、

誰かのせいにもしたくなる。

 

でも不安定な状態って、思っているより悪い状態ではなくて、

先に進むための足場をつくっているところだったり、

「このままじゃいけないぞ」という信号だったりもする。

不安定さに丁寧に付き合うことで、

 

しっかりとした土台ができるんじゃないかな。

 

今のぼくはまことに不安定な状態なのですが、

不安定への耐性をもっていたいな。

本当はその不安定な状態を楽しむくらいの気持ち、その上で軽やかに踊るぐらいの気持ちでいたい。

不安になるけどね。

 

ふと、この本を思い出した。

非・バランス (講談社文庫)

非・バランス (講談社文庫)

 

 小学6年生で実践したブッククラブのときに,子どもと一緒に読んだ本。

読み終えたとき,ある子はこんな感想を書いていた。

 

 

 

一度は座り込んで立ち方がわからなかった2人。でも立てた今、ずっとくっついているわけにはいかない。手を離して今度こそ自分にならなければ・・・
私もいつ座り込んでしまうかわからない。座り込む回数は1回かもしれないし、15回かも知れない。
座りこんでも、すぐ立てるかも知れないし、立ち方がわからなくなるかもしれない。
でも生きている限り、悩むし苦しむ。
でもそんな時どうすればいいの?
一人で立ちあがらなきゃいけないときもある。
でも時には、声を上げることも大切。
その時の練習をこのクラスはしてたんだ。

タイトルの『非バランス』。
「バランス感覚のすぐれたひと」とか「バランスのとれた人格」というのは上級に属するほめことば。でもどうしてもバランスを取れないときがだれにでもある。深い穴に落ち込んだように感じ、もしかすると一生その穴から抜け出せないんじゃないかと苦しむけれど、実はその時、ジャンプ台に立っている。これから大きく飛び立つためのジャンプ台。

魚住さんが伝えたいことは、バランスが取れないとき、失敗した時に大きく成長できる。
だからバランスを取れてない時を大切にしてほしいってことかな。

 

うん、そうだなあと思う。

不安定である時って、ジャンプ台に立っているときなんだな。 

  

しかしまあ、つくづく「子どもだ」と侮ってはいけないなあと。

おとなと同じくらい考え、悩み、学び、成長している。

 

 

    

 

「教師教育を考える会」のメルマガに記事を書きました。

メールマガジン、「教師教育を考える会」に記事を書きました。

「現場の教員が大学の教員になるということ」です。総花的になってしまいましたが、この3年を素直に振り返ってみました。

これを読んだ昨年度の修了生、井久保さんが、こんな感想を書いてくださっていました。感謝。

 

「学びと遊びの原体験の塗り替え」
私は去年これを体感しました。講義で最低限の知識や理論は紹介されました。
しかしそれを覚える、意味なく定着させようとする作業は全く無かった。
たとえば原体験の教育だったら教師が「構成主義と100回書きなさい」と言って生徒に書かせるかもしれません。
学校から離れてみると笑える。でも笑い事じゃなく、学校はこれに近いことをやっている。
では何をしたのか?
講義で紹介された関連文献に芋づる式にあたったり、その理論を現場にどう落とし込むか、仲間や教授と試行錯誤したり、実習でやってみて振り返ったり。たまにお茶を飲みながら話もしました。歌にしてウクレレで弾き語りもしました。そして何と言っても、実際学校に足を運んで授業をみたことも大きかった。

そうこうしているうちに、いつの間にか、それが使える知識になっていました。このいつの間にか、というのも大きなポイントな気がします。さらに次から次へと知るべきことが増えていき、次の学びにつながっていきます。

学ぶとはこういうことなのかな?という気づきと、学ぶというのはまだまだ分からないことが多そうだ!というワクワクを与えてくれる場でした。
その知識は、現場に戻って実践するときの裏付けとして自分を支えてくれています。だから当たり前を問い直して、新たな実践というチャレンジゾーンに踏み出せる。
また4月から楽しむぞ。

 

何より、ぼく自身が学びに学んだ3年間でした。

 

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メールマガジン「教師教育を考える会」77号
            2018年3月20日発行
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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現場の教員が大学の教員になるということ
         東京学芸大学教職大学院准教授    
                    岩瀬 直樹

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 77号は、岩瀬直樹さん(東京学芸大学教職大学院准教授)。

「教師教育初学者」としての丁寧な振り返りと分析です。                   (石川 晋)
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 私は22年間小学校教員を経験した後、東京学芸大学教職大学院の専任教員として3年間を過ごしてきました。大学教員としてどんなスタートを切ったのか。その中で何を感じ,何を考えたのか。何をして,何ができなかったのか、何を課題と感じているのか。このメルマガの執筆の機会に、素直に振り返ってみようと思います。

 

〇戸惑う日々
 
 教職大学院に来ると決まったとき、正直に申せば、現場での実践経験と、研修やワークショップでの講師経験、ファシリテーター経験で何とかなるだろう、と甘く考えていました。しかしいざ学卒院生、現職派遣の院生の皆さんの前に立ち、すぐに「教師教育者としての私の専門性とは何か?」ということを突きつけられたのです。大学院の授業をどうしたらよいのか、研究指導をどうすればよいのか、研究室運営はどうするのか、そもそも教師を育てるとはどういうことなのか。実践経験での自信が吹き飛び,自身の無力さに途方に暮れました。

 そこで私が先ず始めにしたこと、それは同僚、渡辺貴裕さんの授業を参観させてもらうことでした。彼の授業は、彼が研究してきた教育方法を活かした,知的にも方法的にも高度な授業でした。ジグソー法を活かしたグループワーク、論文を一読総合法で読む等、学問と授業方法がリンクしていたのです。生々しくて恥ずかしいですが、当時の私の参観メモを抜粋でご紹介します。(※は私の気づきメモ)

             *  *  *

 授業名「授業研究基礎」

1,講義「授業を研究する上での2つのアプローチ」

 ア,複数の事例の共通点に注目し、規則性を見出す。 法則定立的

 イ,個別の事例に則して、その意味を掘り下げる。  個性記述的

 「アでは規則性の中でそぎ落とされることがある。イでは具体的な出来事を基に『こんな意味があるのではないか』と考えることができる。実践記録は、アにあたる。」

2,算数の「重さ」で10分で模擬授業を考える。

※実際に自分で模擬授業をしてから(予想してから)文献を読む。仮説実験授業的でおもしろい!

※ファシリテーションをいれるといい。渡辺さんの問いで指名していくのは場に緊張を強いるなあ。例えば、「近くの人と話してみてください」とペアトークを入れるだけで違う。

3,実践記録を途中まで読む『体験から学ぶ算数』(算数 重さ)

「みなさんだったらどんな風に展開するかなあ」

1)2分、個人で考えて見てください。Think
2)テーブルで意見交換してください。Pair

※場が和んだ。
※自身で考えてみてから,記録を読むという構造化。

「続きを一人一段落ずつ読んでいきましょう。」
「感じたこと、気づいたこと、疑問を書き込んでいきましょう。」

※なるほど。自分がやってきたブッククラブ方式だ。一人のThinkの時間を重要視している。

※「答えがあるわけではないので気楽に書き込んでください」というインストラクションがとても大切。渡辺さん、優れたファシリテーター。

※院生は学び上手。モチベーションがあるのでグループワークが機能する。より高度なグループワークにいける。

「グループで紹介し合ってください。3分とります。」

※こういうときにぼくの授業では「ファシリテーショントレーニング」にしよう。関わりスキルを共有しておく。ファシリテーターに対してのフィードバックもする。

4,全体で発表 Shere

「発表のために番号を振ってください。どうぞ15秒でやってください」

「3番から行きましょうか」
「発言する人は自分でもグループでいい。その人の責任。」
「一人一つコンパクトに発言する。」
「発言したら座る。」

「グループのこと、しょいこまなくていいですよ!」

※笑 ユーモアは大事だねえ。

※インストラクションが切り分けられていてわかりやすい。このあたりのスキルは学校教員と同様。

 
・ここから発表
「それどんなところから思いました?」
 板書
「ほお、なるほどねえ」
「いい発表のしかたしてくれましたよねえ」

「批判的に読む、いいですねー」
「どこにでてくる?」「うん、うん」

「なるほど、おもしろいですね」

・まとめの話

※シェア大事だなあ。相づちも大事。関わりスキル。

※時間をどう短くするか。ミニホワイトボード使えるのでは?

※ここまでで35分。児言研の一読総合法だ!

※非常によく練られた授業構成。授業記録の読み方のレッスンをした上で課題で実践記録を読んでくるという構造。

※このアカデミックさが自分に必要。学級経営を学問的に整理していこう。

              *  *  *

 毎週、渡辺さんの授業を参観する中で、実務経験と大学での授業をどうつないでいくのかのヒントを得ました。学問知と教育方法をつなぐことで、学習者の学びの体験自身に意味が出てくることがわかったのです。

 目指したいロールモデルが身近にいて、徒弟制で学べたことは、本当に幸運なことでした。また他の先生の授業も参観したり、研究指導の場面に立ち会わせていただいたりと、同僚性の中で自身の専門性を少しずつ伸ばそうとしていきました。

 

 

○自身の授業を改善していく

 私は単独で「学校づくりと学級経営」という授業を担当していました。同僚から学んだことをもとに,実践経験と学問知をつなげた授業をしようと試行錯誤してきました。しかし学習者である院生の評価を捉え切れません。そこで2年目はティーチングアシスタント(TA)を募集し、4名の院生と一緒に授業づくりを行いました。前年度の受講者であった彼らからフィードバックをもらいながら授業デザインを検討し、授業終了後は、受講者も自由参加の「授業リフレクション」を行いました。私はそこにいないという設定で、自由に授業について振り返ってもらい、その対話をもとに次週の授業を考えたのです。なかなかヒリヒリした時間でしたが(苦笑)、小学校教員時代同様、学習者からのフィードバックでの授業改善を目指しました。自身の授業改善と共に、身をもって学生に示そうとも考えていました。とは言え、学級経営の学問的な整理、学級経営経験のない院生にどのような学びがよいのか等々、課題はまだ山積なのが現状です。

 6人の教員のTTである「カリキュラムデザイン・授業研究演習」では、「対話型模擬授業検討会」を一つの軸に進めてきました。対話型模擬授業検討会の詳細はここでは省きますが(渡辺貴裕、岩瀬直樹「より深い省察の促進を目指す対話型模擬授業検討会を軸とした教師教育の取り組み」
『日本教師教育学会年報』第26号、2017年9月、136-146頁を参照してください)、理論面を研究者教員の渡辺が中心に、実際の場づくりやファシリテーション面を実務家教員である私たちが中心に授業デザイン、実践していくことで、研究者と実務家の役割分担を試行錯誤することができました。ここでも同僚性の中で学べたことが大きかったと考えています。TTであったこと、授業前のミーティング・授業後の協働リフレクションの時間を設定されていたこと等、この教職大学院自体に,教員を育成する仕組みが備わっていたといえるでしょう。
 一方、私自身の課題、それはやはり研究面での弱さです。教師教育に関わる者自身が研究の力をつけることの重要性はこの3年間で痛感しています。教師教育者がどのような研究の力をつけるとよいのか。教職大学院で院生が身につけるべき研究の力とは何か。私自身も大学院で質的研究を改めて学びましたが、今後も向き合わなくてはならない大きな課題だと考えています。

 

○教え手の側から学び手の側へと

 ここまで書いてきて愕然とするわけですが、結局私も「教え手の側」から教師教育を考えてしまっているわけです。知らず知らずのうちに、現在の教員養成のシステムの中に、「なじもう」とする自分を見つけてしまっています。
 これから教育が大きく変わっていきます。
 これから先生になるにあたって、最も重要なことの一つは、「今の学校教育における前提の問い直し」だと考えています。現状の縮小再生産にならないためにも、前提にとらわれることなく、これからの教育を描いていく人になってほしい。

 教員養成も同様です。現在のシステムの問い直しが急務です。
 今のシステムは本当に「先生になる人を育てる仕組み」になっているのか。残念ながら、前提から問い直す必要を感じています。

 そのためにどうすればよいか、と3年間考え続けました。
 そこで辿り着いた暫定的な回答、それは様々な理論や実践に出会うことで視野を広げ、無意識に前提としている学校教育の問い直すことです。今、東京学芸大学教職大学院では、学卒1年生を中心にこの問い直しが起きています。実習校での葛藤のリフレクションに伴走したり、先進的な事例、例えば国立一中の井上太智さん(『授業づくりネットワーク』誌最新号参照)の参観に同行して,協同でリフレクションしたりする中で、自身の被教育者体験を含めた学校教育への問い直しが起き始めています。最初はほんの数人の動きだったのですが,その自立的な学びの姿は他者を刺激し、人数が増えていきました。研究室に本を借りに来たり、先進的な実践の参観に行ったり、対話の場を設けたり、この春には10人近くがオランダに視察研修に行ったりと、自然発生的、かつ自立的な動きが起きています。彼らの姿に日本の教育の未来を感じます。

 視野を広げる機会の提供と、そこをきっかけとする学習コミュニティーをサポートすることを通して、学びを促進すること。これが教師教育者にとって重要な仕事。教師になった後も、この経験は成長し続ける力、学びの場を創る力として生き続けるのではないでしょうか。

 そのために私がすべきことは結局、担任時代と同じく、ひとり一人の院生の学びへの伴走でした。それは極めて個別的なのです。「学び手の側」から教員養成を考えていく。ようやくそこに辿り着き始めている最近です。

 メルマガ71号の中川翔太さんは私の研究室の院生ですが、彼の成長に私が貢献できたとすれば、リフレクションの対話と共に、彼の学びに必要な人や場、本につないだことが一番大きかったと思います。後は彼が自身の「学びのコントローラー」で進んでいきました。頼もしい限りです。

 今はまだ結果としてコミュニティーができはじめた段階で、意図的に設計したわけではありません。自立的な学習者の育成とそのコミュニティーづくりを教師教育者がどう設計していくのかは大きな課題です。

 また、現職院生に対しては,まだ数人ですが、私が校内研究等で講師やファシリテーターをする場面を参観してもらう場を設けています。彼らからフィードバックを受けることで私も学びになりますし,モデルとして立ち続けることの重要性(とその大変さ)を感じています。

 最後に私がまだできていないこと、課題と考えていることを書いて終わりたいと思います。

 

1)場に立つ具体的な力をどう身につけていくのか

 一番の課題は、学生が学校現場に立つための具体的な力をどう身につけていくかということです。教科の専門性、具体的なスキル(関わりスキルや授業技術等)をどう身につけていくのか。現状、「経験から学んでね」という丸投げになっている感は否めません。対人援助職としての専門性をどう高めていくか、これはカリキュラム全体の改革も視野に入れる必要があるでしょう。

 

2)実習をどうデザインするのか。
 
 学生が葛藤を感じる大きな原因の一つは「学んだこと,実現したいことと実習校とのギャップ」です。本来は実習を担当する教員にも「教師教育者としての専門性」が求められますが、大学教員においてもこの専門性の議論が深まっていない現状、そのしわ寄せは学習者に向かっています。大学教員、学校現場の教師教育者の育成の検討(教師教育者の専門性を育てる仕組み)、理論と実践の往還の実質化が求められます。

 

3)教師になる人の「研究の力」とは何か。

 教職大学院に進学して身につけるべき「研究の力」とは何か。教師教育者における研究の力とはどのような力か。この課題に言及する力は今の私にはありませんので,課題としてのみ記しておきます。

 

4)学び・遊びの原体験の塗り替え
 
 私たち自身が学ぶことに没頭し、遊ぶことに没頭する。その原体験をもう一度学習者として体験し直していくこと。これこそが教師教育の原点だと考えています。学ぶってこんなに楽しい。人と一緒に探究することはこんなにおもしろい。遊ぶってこんなに豊かなんだ、という腹の底から実感する体験。この学び手としての喜びこそが、核になるのではないでしょうか。

 

 私自身が教師教育者の初任者として,何ができ、何ができなかったのか。
 まだまだ書き切れていないこと、教員養成の「中」に入って見えたことは山のようにあります。改めてまとめる機会をつくりたいと考えていますが、一番痛感したこと、それは「現場経験だけで教師教育者にはなれない」という当たり前のことです。では必要な専門性とはなにか?あらためてこの課題を深めていきたいです。

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 岩瀬さん、ありがとうございました! 大学院での教師教育者指導の経験がない私には、岩瀬さんのお話の細部について言及できないこともたくさんあります。ただ、岩瀬さんご自身が「教職大学院に来ると決まったとき、正直に申せば、現場での実践経験と、研修やワークショップでの講師経験、ファシリテーター経験で何とかなるだろう、と甘く考えていました」と述懐されているところに、重い課題が凝縮されていると感じます。現場で技量を発揮してきた教員が、大学で教師教育に関わっていくという事例はこれまでにも多数ありました。しかしようやく少しずつ認識が共有されてきているように、子ども達を育てるということと、専門職としての教員を育てるということとは、言ってみれば全く違う領域であるわけですね。 岩瀬さんの気付きや驚き、立ち往生が、今後の教師教育者養成の現場で解消されていく、そういう状況が生まれていくといい。私も私の立場からしっかり発言を続けようと思います。
 本文中にもご紹介がありましたが、私と岩瀬さんの対談が巻頭に所収された雑誌が刊行になりました。興味のあります方、どうぞお読みください。
 https://www.amazon.co.jp/dp/4761923911/

 いよいよ本メールマガジンも大詰めです。
次回、3月23日金曜日は、佐藤年明さん(三重大学教育学部教授・教職大学院兼担)
3月27日火  藤原由香里さん(京都府八幡市立美濃山小学校教諭、NPO授業づくりネットワーク副理事長)
3月30日金  塩崎義明さん(浦安市立高洲小学校教諭)
と続きます。お楽しみに!
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メールマガジン「教師教育を考える会」
77号(読者数2648)2018年3月20日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
登録・解除 http://www.mag2.com/m/0000158144.html
(まぐまぐ:教師教育を考える会)
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『授業づくりネットワーク』最新号がいい。

授業づくりネットワークの最新刊が発刊されました。

授業づくりネットワークNo.29―現場発! これからの授業とクラス~ひらく・つくる・つくり続ける~

授業づくりネットワークNo.29―現場発! これからの授業とクラス~ひらく・つくる・つくり続ける~

 

 1988年創刊以来、30周年記念号。

民間教育団体が衰退していく中30年続き、2018年にまた新たな一歩を踏み出すというのは,本当にすごいこと。

ネットワーク誌の編集方針がいい。

 

1988年の創刊以来、『授業づくりネットワーク』は「異質な者どうしの学び合い」を掲げ、強化や校種の枠を越え、新しい授業をつくり交流する取り組みを進めてきました。

本誌は、学校教育と社会とをつなぎ、次代を担う子どもたちのために新たな授業をつくる場として、授業づくりに関心を持つ教師や研究者はもちろん、教育を応援する民間企業やNPO,行政関係の方、一般市民や学生の方にも愛読していただける季刊紙を目指しています。

季刊発行の特長を活かし、授業づくりに関して多くの方が関心を持つテーマを、毎号一つずつ取り上げ、学校の教師、研究者、関連する領域のプロといった人たちの取り組みが、1冊で一望できるような誌面作りを心がけています。

 

教育が大きく変わっていく今だからこそ、このように視野が広く,それでいて地に足がついている媒体は重要になってくる。

今日最新号が家に届いた。

久々に一気に読了した。

4月から現場に立つ人必読だ。ノウハウに留まることなく、どんなクラスがよいのか、なぜよいと言えるのかまでを射程に入れながら、新学期のイメージを丁寧に描けると思う。

これからの学びや学校の有り様を問い直したい人にもおすすめ。

巻頭の「誌上レポート 生徒も教師も本気(マジ)で遊べる教室 〜井上太智学級から、これからの授業・クラスの在り方を考える」はすごい。

井上さんの授業の魅力ももちろんだけれど、それを実践記録として描ききった佐内さんがすごすぎる。なるほど、このように他者と共有することができるのか。

このレポートを読むだけでも本誌の価値はあります。

 

ぼくが個人的におもしろかったのは、赤木和重さんの「インクルーシブ授業・クラスのための第一歩」。この記事をパート1の一番最初に置いた編集方針こそが、この本のメッセージだと思う。この記事を読んでから,新学期のクラスや学びを構想したい。

赤木さん、以下の本もぜひ。

2017年の教育書ナンバー1です(当社比)。

アメリカの教室に入ってみた: 貧困地区の公立学校から超インクルーシブ教育まで

アメリカの教室に入ってみた: 貧困地区の公立学校から超インクルーシブ教育まで

 

 

パート2の最初の記事に、青山新吾さんの「子どもたちが安心して新しい出会いを迎えられるために」を置いているのもステキだ。

赤木さんの記事に呼応して、ノウハウに走りたくなる気持ちをグッと引き締めてくれる。

 

昨日修了式を迎えた、東京学芸大学教職大学院の学卒院生にはぜひ読んでほしいし(それだけで4月の迎え方が違うと思う)、ミドルやベテランも改めて、どのように歩んでいくかをじっくり考えるきっかけになる本。

なにより、現場の教師に徹底的に寄り添おうという気持ちが本全体から伝わってくるんだ。

今までの号で一番よかったな,今回。

 

最後に、ぼくは尊敬する友人、石川晋さんと対談させていただいた。深め切れていないなあという後悔も残しつつ、この機会をいただけて感謝。今度は10時間連続ぐらいやって深めてみたい。

ぜひ読んでご批判ください。

「名著に学ぶ」の10冊に、

クラスづくりの極意―ぼくら、先生なしでも大丈夫だよ

クラスづくりの極意―ぼくら、先生なしでも大丈夫だよ

 

 が選ばれていたのは素直に嬉しかったなー。

桔梗さん、山川さんありがとうございます。

2011年の本が7年も読み継がれていることにも感謝です。

メルマガ最新号&学びの場はじめます。

今日は東京学芸大学教職大学院の修了式。

いよいよ院生の皆さんが旅立つ日です。

幸せな子ども時代に貢献する仕事、共に歩んでいきましょう。

 

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さて、軽井沢風越学園設立準備財団のメルマガ11号が発刊となりました。

 

5月に行われる予定の、学校づくり途中経過報告会のご案内、

そして新しく始める、これからの教育を考える場、実践を持ち寄る港のような場、

「風越コラボ」(Kazakoshi Collaboration Laboratory)の案内もあります。

学びの場、スタートします。おもしろい場にしたいなあ。

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かぜのーと第11号(2018年3月20日発行) – 軽井沢風越学園設立準備財団

 

4月28日、ぜひいらしてくださいね。苫野さんと共にお待ちしてます。なお当日は,古瀬ワークショップデザイン事務所 の古瀬正也さんと一緒に場づくりをします。 
こちらも楽しみ!

 

【21時54分、80人に達したので締め切ります!ありがとうございました!】

6月からはそれぞれの実践持ち寄りの場へと変化していく予定。楽しみ楽しみ。

詳しくはこちら↓

http://kazakoshi.jp/e-colab/

 

さあ、では大学院の修了式に出発だ!

選択の余地のない選択肢で迫ってしまう…

ある日の小学校の教室での朝の会。
昨日、友だちとのトラブルから怒って教室から飛び出していったAさんが進行役。
ここんところ、感情が揺れて教室を飛び出していくことが多いので、今日の役割が成功体験になるといいなあと思いながら見ていた。

 

Aさん、出てきた課題をみんなの意見を拾いながら、いい感じでにこやかに司会していた。ああ、Aさんにとって自信になる場面だなと思って見ている。
15分が過ぎ、1時間目の始まりの時間が来てしまったので
「じゃあ、続きは明日やろうね。」と担任が打ち切り1時間目の算数を始めようとした。
するとAさんが怒り始めた。
「あと少し時間があったら決められたのに!」
「でも授業時間始まっているでしょう。」
「もう少しで決まるのに!」
「時間だって言ってるでしょ!やるなら一人でやりなさい!!」
Aさんは椅子をバーンと蹴った。
結局算数に参加せず、ずっと怒っていた・・・
なぜ切りかえられないのだろう。せっかくの成功体験をAさんが自分で台無しにした!

担任も怒りが収まらない。まったくAさんってそういうところがあるんだから!



         *  *  *

 


これをAさんの自分勝手と思うのか、担任の問題と思うのか。
すみません、これぼくの10年くらい前のエピソードを基にした事例です…

 

Aさんの中で何が起きていたのか、何を感じていたのかではなくて、

ぼくが進めたい方向で進めてしまう。
「やるなら一人でやりなさい!!」
と逃げ道のない、選択の余地のない選択肢を示して追い込む
このアプローチをなんとかしなくちゃいけないとわかっているのに、感情でつい反応してしまう・・・そんなことが何度もありました。情けない限り…
自分の中に暗黙の「こう動いてほしい」
がある。
「そうできるはずなのにしていない!」とイライラして、
「じゃあもういいよ」
的な言動で、相手の動きを誘発させようとする。

そういえば初任の頃、こんな残念なこともあった。
係活動で似たようなことがあった。
「一生懸命にやらないなら、もうやらなくていい!」
子どもたちが「ごめんなさい!」と謝りに来たのを「いいぞいいぞ」とほくそ笑み、その顛末を学級通信に書いたりしていた。
冷や汗が出る。

学級での話し合いの時も。任せていると口で言いながら、
「もっと意見言ってもいいんじゃない?」
「もっと真剣でもいいんじゃない?」
と思っているのが顔に出る。毛穴からでる。時には口にしてしまう。
うまくいかなさは、たいていぼくが環境設定をしくじっているのに、勝手なぼくの思い込みなのに、そんな雰囲気をつくることにぼく自身が影響しているのに、そもそもうまくいかなくていいのに、参加者のせいにしているのだ。
大人の場ではありえないのに、子どもにやってしまう残念さと横暴さ。

先生(大人)の「イライラ」は、このような「勝手な期待」に起因することがある。
勝手に欲張って「ここまでいける」を設定し、それにいかないとイライラする。
そもそもの心の置き位置を間違えてしまう。

子どもの側からそこで起きてることを見直してみる。

体験してみる。

その場で何が起きて何を感じているのか。
大人がしたいこと、してほしいことではなく、

相手はどうしたいと思っているのか。
そこが出発点。

大人であるぼくが不安定だから、子どもは仲良しに固まっていくのだ。不安な環境を先生がつくっているのだから。

頭でわかっていても、日々体現していくのって本当に難しい。
自分の感情とどうつきあっていくか。とてもとても大切なテーマ。

常に理想的な教育とか、理想的な関わり、というものは本当はなくて、失敗したり、なやんだりの繰り返しの中で、少しずつ創り上げていくものなんだと思う。

最近読んだ本とこれから読む本。

教職大学院の成果報告会が終わりました。

研究室の2人も立派に発表を終えました。記念撮影。

本当によく学んだ1年間(2年間)でした。学ぶことのたった一つの証は変わること。

変わり続けた1年間だったと思います。

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成果報告会後も、最近授業参観に行った院生たちがラーニングスペースに集まって,対話を重ねていました。探究し続ける実践コミュニティに育ちつつあり,ここからが楽しみです。なぜ実践コミュニティが生まれたのか(しかも同時多発的に生まれています)、その促進要因はなにか、このコミュニティを大事にする文化,生まれやすい土壌はどうつくっていくのか。問いは次々に生まれます。

彼らのこれからの成長がますます楽しみです。若者に教育の未来を感じます。

実践コミュニティはこちら。

コミュニティ・オブ・プラクティス―ナレッジ社会の新たな知識形態の実践 (Harvard Business School Press)

コミュニティ・オブ・プラクティス―ナレッジ社会の新たな知識形態の実践 (Harvard Business School Press)

  • 作者: エティエンヌ・ウェンガー,リチャード・マクダーモット,ウィリアム・M・スナイダー,櫻井祐子,野中郁次郎,野村恭彦
  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 2002/12/18
  • メディア: 単行本
  • 購入: 11人 クリック: 83回
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これ必読。

実践コミュニティが組織内に立ちあがり、大切に育まれると、その組織は進化続けます。

実践コミュニティは、

実践コミュニティ(コミュニティ・オブ・プラクティス)とは、あるテーマに関する関心や問題、熱意などを共有し、その分野の知識や技能を、持続的な相互交流を通じて深めていく人々の集団

です。自主的,自発的であるのが大事で,生まれたものをどう育成するかなんですよね。

「育成する」という言い回しは、適切なたとえだ。種が注意深く植えられたのであろうと、風によって偶然その場所に運ばれてきたのであろうと、植物は自力で成長する。茎や葉や花びらを引っ張っても、成長を早めたり、大きくすることはできない。だが植物が健康に育つように手を貸してやることはできる。地面を耕し、十分な栄養が行き渡るように気を配り、水をやり、適当な時間日に当て、害虫や雑草から守ってやることはできるのだ。その他、やってはいけないと分かっていることもある。たとえばしっかり根付いたかどうか調べるために、引っこ抜いたりしてはいけない。

 

学校の組織開発にも重要な視点です。

http://www1.s-cat.ne.jp/iwase/upfile/kyoudoubunka.pdf

実践コミュニティをメガネに,学校の組織開発について書いたレポートがこちら。

(若い頃のレポートで文章も若々しい!)

学校に実践コミュニティをどう生み出していくか。

 

 

最近読んだ本メモ。

日本再興戦略 (NewsPicks Book)

日本再興戦略 (NewsPicks Book)

 

 ★★★

あまりぼくには響きませんでした。今はタイミングじゃなかったんだろうな。また改めて読むことにしよう。

 

チームのことだけ、考えた。―――サイボウズはどのようにして「100人100通り」の働き方ができる会社になったか

チームのことだけ、考えた。―――サイボウズはどのようにして「100人100通り」の働き方ができる会社になったか

 

 ★★★★★

おもしろかった。働いている人から徹底的に組織を考える。どんどん始めてみて考える。思考から試行だなー。働き方改革が注目を浴びている今、また違う角度でおもしろい。ひとり一人のプロフェッショナルの集まりだからこそ,働き方改革って機能するのだなと思ったり。

「100人いれば、100通りの人事制度があってよい」という方針を併せて掲げた。メンバーを大きな塊として考えず、1人1人すべて違う個性ある存在として扱うということだ。

我々の発想では、まずすでに自社に十分ダイバーシティが存在すると考える。今、目の前にいる従業員がそもそも1人1人まったく違う存在だと考え、彼らの個性を制限している障壁を取り除いていく。すでに社員は多様であり、それを一律的な規則で働かせるのをやめるだけである。

どの 組織に共通する考え方だ。

 

情報時代の学校をデザインする: 学習者中心の教育に変える6つのアイデア

情報時代の学校をデザインする: 学習者中心の教育に変える6つのアイデア

  • 作者: C.M.ライゲルース,J.R.カノップ,Charles M. Reigeluth,Jennifer R. Karnopp,稲垣忠,中嶌康二,野田啓子,細井洋実,林向達
  • 出版社/メーカー: 北大路書房
  • 発売日: 2018/02/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 ★★★★★

昨日読んだ。これは必読。今考えていた具体を整理してくれている。新しい発見はなかったけれど、今考える方向が間違えていないことを確信できた。

(→院生の皆さんお薦めです!!)

これからの学校像が見えてきます。

 

教育の効果: メタ分析による学力に影響を与える要因の効果の可視化

教育の効果: メタ分析による学力に影響を与える要因の効果の可視化

 

 ★★★★★

すごく売れているみたい。新宿の紀伊國屋でも平積みになっていた。こういう本が売れるようになったというのは日本の教育界の変化を感じるな。

現場の教員(←だったぼく)、質的な研究が好きな人(←ぼく)、経験知だけで勝負しちゃいがちな人(←ぼく)、ぜひ手にとってほしいです。冷静な議論ができそう。分析も非常に冷静です。

 

学習に何が最も効果的か―メタ分析による学習の可視化◆教師編◆

学習に何が最も効果的か―メタ分析による学習の可視化◆教師編◆

 

 ★★★★★

こちらも内容はかぶっているけれど、教師向きに整理されている。

 

働く大人のための「学び」の教科書

働く大人のための「学び」の教科書

 

★★★★ 

大人の学びの原理原則、「背伸びの原理」「振り返りの原理」「つながりの原理」。

7つの具体的な行動「行動①タフな仕事から学ぶ」「行動②本を1トン読む」「行動③人から教えられて学ぶ」「行動④越境する」「行動⑤フィードバックをとりに行く」「行動⑥場をつくる」「行動⑦教えてみる」。

非常わかりやすく読みやすいです。

中原さんは,難しいことをわかりやすく書く天才。どの立場の人も参考になる本です。

 

深い学びをつくる:子どもと学校が変わるちょっとした工夫

深い学びをつくる:子どもと学校が変わるちょっとした工夫

  • 作者: キエランイーガン,Kieran Egan,高屋景一,佐柳光代
  • 出版社/メーカー: 北大路書房
  • 発売日: 2016/10/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 ★★★★★

院生との対話の準備として再読。何度読んでも考えさせられる。「学びの深さ」を考えるのにはいいなあー。

 

ネットの高校、はじめました。 新設校「N高」の教育革命

ネットの高校、はじめました。 新設校「N高」の教育革命

 

 ★★★★

再読。ぼくらが考えている以上に学校の形はすごい勢いで変わっていっている。

結構うまくいっていると聞く。既存の学校システムが問われている。

N高は「普通の高校」に通えない不登校児の受け皿としては素晴らしい、と世間から思われていると思うのですが、僕らは「未来の普通の学校」をつくったつもりです。不登校の生徒を救うにも、不登校児は不登校児専用の学校に行けばいいとするのは、いわば社会から隔離しようということですよね。それで生徒は本当には救われないと思います。

この言葉にどう応えるか。 

 

これから読むのはこの3冊。

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

 

 

学習する自由・第3版

学習する自由・第3版

  • 作者: カールロジャーズ,H.ジェロームフライバーグ,Carl R. Rogers,H.Jerome Freiberg,畠瀬稔,村田進
  • 出版社/メーカー: コスモスライブラリー
  • 発売日: 2006/10/01
  • メディア: 単行本
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イラストで学ぶスタディスキル図鑑:自ら学習する力をつける

イラストで学ぶスタディスキル図鑑:自ら学習する力をつける

 

 どれも楽しみ。

これからの1ヶ月は超絶忙しそうなので,移動時間に読むようにしよう。ティール組織は分厚いのでキンドルにしてよかった−。

 

最後に。

 

遊びが学びに欠かせないわけ―自立した学び手を育てる

遊びが学びに欠かせないわけ―自立した学び手を育てる

 

 ★★★★★★

下訳を読んで修正するお手伝いをしました。

3度読み直してしまったほどの良書。

教育に関わるすべての人に読んでほしいです!

 

そろそろバレンタインデー

そろそろバレンタインデーですね。先日、10年前に学校でご一緒した同僚との飲み会でブラックサンダーをもらったので、今年も早々に1個ゲットです(笑)。

グミ好きを公言していたらグミもくれた。

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昔は学校が終わるのが早かったので、放課後にチョコのやりとりしてたなあ。

大好きなあの子がチョコを持って来てくれるかを楽しみに、家の前をやたらウロウロしていました。学校で渡しているのも先生は大目に見てくれていた。っていうか、先生ももらってたよな。

 

今は学校が終わるのが16時近く。習い事も多くて放課後に渡そうと思っても時間的に難しそう。かといって学校に持っていくと「勉強に関係ないものを持って来てはいけません!」というナゾのルールにより怒られる。

欧米ではおやつタイムがある学校もあるのにね。

 

そんな学校でバレンタインデーが近づくと、ぼくの担任していた小学校の教室でよく交わされていた会話。

 

給食中。

「ねえ、明日バレンタインデーだねえ。誰かにあげるの?」

とぼく。

「だって学校に持って来ちゃいけないんでしょ」(そういう決まりがある)
「○○の家は遠いから、学校じゃないと渡すの無理なんだよね」
「ねえ、いわせん…こっそり持ってきていい?」
「聞いている時点でこっそりじゃないでしょ」とぼく。
「いいの?」
「いいか?って聞かれたら、持って来ちゃいけないルールだって答えるしかないでしょうよ」
「じゃあだめなの?」
「だから。聞かれたら持って来ちゃいけないルールだって答えるしかないでしょ」
「じゃあ、聞かなきゃいいのか」
「もう言っちゃってるんだから、こっそりじゃないでしょ」
「いいの?」
「いいかって聞かれたら~ 」

「だめなのかー」

「だから聞くなって」

「じゃあ聞かなきゃいいのか」

以下永遠に続く。

結局こっそりわたしてたみたい。見て見ぬふりって大人の大事な役割。

 

明後日は1年に1度の華やぐ日ですね。

昔は義理チョコなんてシステムがなかったから、チョコもらうだけで、ハートがどっきんこ(死語)。

教室における「表向きのストーリー」(制度のストーリー)と、教室内だけで語られる「秘密のストーリー」。

こんな些細なシーンにも、表向きのストーリーを実践者はどうずらしていっているのか(あるいは表向きのストーリーに同化したり、対立のストーリーを描いたりするのか)が表れますね。こういう一つ一つが実践知で、教室の文化を作っていくのでしょう。

こういうことは子どもと楽しみつつ,ユーモラスにずらしたいものです。

 

とまじめに書いてしまいましたが、まあその華やぎがうれしい一日ですね。

 

うちの三人の子もドキドキ華やいですごすのかなー。

長女はなんかそういうの華やいだりしなさそう。絵に描いたように花より団子だから・・・・

 

追伸

先日、川口のスキップシティに行ったら、NHKのイベントで、プリンプリン物語の「花のアナウンサー」の人形が飾ってあった!小学生の頃見ていたなあ。

楽しかったなあ。子ども時代楽しいって大事!「花のアナウンサー」知ってる人とは仲良くなれそう。

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