いわせんの仕事部屋

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独断と偏見による、これからの教育を考える20冊。

 

今日は雑誌の原稿を2本何とか書き終えました。やれやれ。

今、軽井沢風越学園準備財団では学校準備を進めています。新しい「普通」の学校、新しい「普通」の教育ってどんなカタチだろう、と日々考え、悩み、対話しています。

そのプロセスはメルマガで配信しています。ぜひ読んでみてください。

お読みいただいて「情景」についていろいろ話したいです。

かぜのーと 第7号(2017年11月15日発行) – 一般財団法人軽井沢風越学園設立準備財団

 

さて、これからの教育のカタチを考えていくときに、

「ここを出発点にしたいなあ」

「この本は読んでおきたいなあ」

「この本をベースに議論・対話したいなあ」

という本があります。

今日は、ぼくの独断と偏見で「これはいいなあ」と思った本を紹介します。

名著は古典にもたくさんあるので、今回選んだ条件としては以下の三点です。

①わりと最近出た本

②わりと読みやすい本(専門書をのぞきました)

③自著はのぞく(自制心)

 

まずはここを出発点にしたい。

0(大前提)

教育の力 (講談社現代新書)

教育の力 (講談社現代新書)

 

どのような教育が「よい」教育か (講談社選書メチエ)

どのような教育が「よい」教育か (講談社選書メチエ)

 

すべてはここから始まります。何度読み返しても発見があります。さらっと読み流していたところが、読み返すと「がつん」と入ってくることがあります。

ちなみにぼくの『教育の力』はもう3代目。1代目には2014年に苫野さんにもらったサインが入っているんですよね。なんだか感慨深い。

  

② 

あそびの生まれる場所

あそびの生まれる場所

 

 あそびとまなびを分けて考えるところから、ぼくらはいろいろ間違えているんだと思います。あそびはまなびでまなびはあそび。教育を考えるならここもまず出発点。学校は今ここに向き合わなくてはだと思う。子どもの育ち、ぼくらはどんな社会をつくりたいのかから考えたいです。

 

★自己主導の学びや学びの個別化を考えるときに。

ようこそ,一人ひとりをいかす教室へ: 「違い」を力に変える学び方・教え方

ようこそ,一人ひとりをいかす教室へ: 「違い」を力に変える学び方・教え方

  • 作者: キャロル・アントムリンソン,Carol Ann Tomlinson,山崎敬人,山元隆春,吉田新一郎
  • 出版社/メーカー: 北大路書房
  • 発売日: 2017/03/17
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

これは書評を書いています。

iwasen.hatenablog.com

 

 ④

オランダの個別教育はなぜ成功したのか イエナプラン教育に学ぶ

オランダの個別教育はなぜ成功したのか イエナプラン教育に学ぶ

 

 今はもはやキンドルでしかないみたい・・・イエナプランは必ず触れておきたいコンセプトですね。

 

ブレンディッド・ラーニングの衝撃 「個別カリキュラム×生徒主導×達成度基準」を実現したアメリカの教育革命

ブレンディッド・ラーニングの衝撃 「個別カリキュラム×生徒主導×達成度基準」を実現したアメリカの教育革命

  • 作者: マイケル・B・ホーン,ヘザー・ステイカー,小松健司
  • 出版社/メーカー: 教育開発研究所
  • 発売日: 2017/04/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る
 

これも書評あります。これからの教育を考える上では必読です。

iwasen.hatenablog.com

 

 

★ワークショップの学び

ワークショップの学び。ぼくの実践の核の1つでした。

訳本を読んだ上で実践編の『作家の時間』を手にとってほしいなあと思います。

国語教育を見直す契機になるはずです。

ライティング・ワークショップ―「書く」ことが好きになる教え方・学び方 (シリーズ・ワークショップで学ぶ)

ライティング・ワークショップ―「書く」ことが好きになる教え方・学び方 (シリーズ・ワークショップで学ぶ)

  • 作者: ラルフ・フレッチャー,ジョアン・ポータルピ,小坂敦子,吉田新一郎
  • 出版社/メーカー: 新評論
  • 発売日: 2007/03/01
  • メディア: 単行本
  • 購入: 7人 クリック: 40回
  • この商品を含むブログ (18件) を見る
 

  ⑦

リーディング・ワークショップ?「読む」ことが好きになる教え方・学び方 (シリーズ《ワークショップで学ぶ》)

リーディング・ワークショップ?「読む」ことが好きになる教え方・学び方 (シリーズ《ワークショップで学ぶ》)

  • 作者: ルーシー・カルキンズ,吉田新一郎・小坂敦子
  • 出版社/メーカー: 新評論
  • 発売日: 2010/07/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 10人 クリック: 53回
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作家の時間―「書く」ことが好きになる教え方・学び方(実践編) (シリーズ・ワークショップで学ぶ)

作家の時間―「書く」ことが好きになる教え方・学び方(実践編) (シリーズ・ワークショップで学ぶ)

 

 なお、リーディング・ワークショップ、ライティング・ワークショップを本格的に学んでみたい方は、あすこまさんのブログがオススメです。

askoma.info

 

ぼくの実践は、このブログの検索欄に「ライティング ワークショップ」と入れていただくといろいろ出てきます。

iwasen.hatenablog.com

パワフル・ラーニング: 社会に開かれた学びと理解をつくる

パワフル・ラーニング: 社会に開かれた学びと理解をつくる

  • 作者: リンダダーリング‐ハモンド,Linda Darling‐Hammond,深見俊崇
  • 出版社/メーカー: 北大路書房
  • 発売日: 2017/05/26
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

ワークショップの学び、 協同の学びについての理論的背景を知りたい方はこちら。

訳本が出て嬉しい限り。

 

 

★探究

学びとは何か――〈探究人〉になるために (岩波新書)

学びとは何か――〈探究人〉になるために (岩波新書)

 

いやあ、これは必読。結局ぼくら自身が<探究人>になることがスタートです。

この本を読んだら以下の本も。

科学が教える、子育て成功への道

科学が教える、子育て成功への道

  • 作者: キャシー・ハーシュ=パセック,ロバータ・ミシュニック・ゴリンコフ,今井むつみ,市川力
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2017/08/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る
 

これは必読中の必読。新指導要領でも「資質・能力」に焦点が当てられていますが、非認知能力への注目度が高いです。

この本で挙げられている6つのC。

コラボレーション

コミュニケーション

コンテント

クリティカルシンキング

クリエイティブイノベーション

コンフィデンス

 この6つのCは、子どもの発達についての研究にもとづいた何十年にもわたる学習科学の成果から生まれているのがポイントです。ただの直感とか経験知じゃないのよね。

このスキルはm持って生まれたものではなく「学ぶことで伸ばすことができる」スキル。これすごく大事。もう一つのポイントは、これは教えるためのスキルではなく、学習者自身に焦点をおいた「子どもがどう学ぶか」であること。この6つはカリキュラムの視点にもなるし、なによりプレイフルに学ぶことの価値を再認識させてくれます。

いやあすごい本です。翻訳もすごく読みやすく(さすが市川さん!)、これからの教育には必読書です。タイトルがキャッチーですが骨太です。

 

 

深い学びをつくる: 子どもと学校が変わるちょっとした工夫

深い学びをつくる: 子どもと学校が変わるちょっとした工夫

  • 作者: キエランイーガン,Kieran Egan,高屋景一,佐柳光代
  • 出版社/メーカー: 北大路書房
  • 発売日: 2016/10/06
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

 現場にいたら必ず実践していたなあと思います。

イーガンの本はどれもいいけれど、まずはこれをオススメします。

 

 

たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」

たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」

 

考え方を「やり方」として昇華した本。やり方の中に考え方が内包されています。

誰でも実践できるけれど、奥深い。

プロジェクトベースの学びに関心がある方は、ここからスタートしてはどうでしょうか。

 

作ることで学ぶ ―Makerを育てる新しい教育のメソッド (Make:Japan Books)

作ることで学ぶ ―Makerを育てる新しい教育のメソッド (Make:Japan Books)

  • 作者: Sylvia Libow Martinez,Gary Stager,阿部和広,酒匂寛
  • 出版社/メーカー: オライリージャパン
  • 発売日: 2015/03/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 「作ることで学ぶ」。シンプルな言葉ですが、人が学ぶってそういうことだなあとしみじみ。学びの真正性は「つくりたいものをつくる」が スタートだなあ。

 この本に載っている教員研修は、ぜひ実現させたい。

 

★学校づくり

 ⑮

アメリカの教室に入ってみた: 貧困地区の公立学校から超インクルーシブ教育まで

アメリカの教室に入ってみた: 貧困地区の公立学校から超インクルーシブ教育まで

 

 

アメリカの貧困地区の公立学校のルポもさることながら、新しいインクルーシブ教育を展開している私立小学校の紹介を通じて、「インクルーシブ教育の新しいかたち」が提案されている本。 ボクは特に第3部にしびれました。

第3部 インクルーシブ教育の新しいかたち

第1章 小さな私立学校とインクルーシブ教育
第2章 New Schoolの概要
第3章 流動的異年齢教育
第4章 流動的異年齢教育を可能にするもの─個別化・協同化・プロジェクト化
第5章 流動的異年齢教育の意義
第6章 インクルーシブ教育の新しいかたち─違いを大事にしながらつながる

 ぼくらが軽井沢風越学園で実現しようとしていることとの共通点の多さにも驚きました。現地の情景が浮かぶ読みやすい文体。一見軽いタッチの文章の中に、本質的な問いが浮かび上がってくる。現在の日本のUDへの批判も柔らかく、でも鋭く練り込まれている。いやあ、すごい本だ。

 

イギリス教育の未来を拓く小学校 「限界なき学びの創造」プロジェクト

イギリス教育の未来を拓く小学校 「限界なき学びの創造」プロジェクト

  • 作者: マンディスワン,アリソンピーコック,スーザンハート,メリージェーンドラモンド,藤森裕治,新井浅浩,藤森千尋
  • 出版社/メーカー: 大修館書店
  • 発売日: 2015/07/01
  • メディア: 単行本
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 学校づくりを質的に研究した本。学校組織マネジメントやリーダーシップに関心がある人はぜひ。こんな学校、こんな校長先生は本当にすてき。

 

 

学習する学校――子ども・教員・親・地域で未来の学びを創造する

学習する学校――子ども・教員・親・地域で未来の学びを創造する

  • 作者: ピーター M センゲ,ネルダキャンブロン=マッケイブ,ティモシールカス,ブライアンスミス,ジャニスダットン,アートクライナー,リヒテルズ直子
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2014/01/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 17番目に書いているけれど、本当は1番(いや『教育の力』が1番だから2番だ)。

もう全員に読んでほしい!辞書並みに分厚くてまず見た目に圧倒されますが、中は極めて読みやすいです。事例も多いので興味あるところから自由に読めます。

私たちは自らにこう問わねばならない。
「私のものの考え方が、子どもの学習を妨げているのではないか」
「私のしていることは、子どもを今の状態にとどめているだけではないか」
こうした厳しい問いかけがなければ、本書における「学習する組織」の考え方は、学校での仕事に表面的な変化をもたらすだけに終わるだろう。 (『学習する学校』496ページ) 

 この本を出発点にして学校や教育を考え合いたいなあ。

 

★あり方を考える

 

技法以前―べてるの家のつくりかた (シリーズ ケアをひらく)

技法以前―べてるの家のつくりかた (シリーズ ケアをひらく)

 

教育って結局、ぼくら自身の「あり方」がスタートなんだと思います。

 本を読んだからどうにかなるという問題ではないけれど、でも読んで考えるのって大事。

ちなみに、大学院での「学校教育ファシリテーターの養成」の授業では一番人気の本が「かかわり方の学び方」でした。

 

あなたのオススメの本を教えてください!

 

 

おまけ

今一番気になってる本。注文済み。

「学びの責任」は誰にあるのか: 「責任の移行モデル」で授業が変わる

「学びの責任」は誰にあるのか: 「責任の移行モデル」で授業が変わる

  • 作者: ダグラス・フィッシャー,ナンシー・フレイ,吉田新一郎
  • 出版社/メーカー: 新評論
  • 発売日: 2017/11/17
  • メディア: 単行本
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 自己調整学習の本では一番わかりやすい。学生って書いてあるけれど、全ての学習者に共通することも多い。20冊に入れ忘れたので加筆。
学生を自己調整学習者に育てる:アクティブラー二ングのその先へ

学生を自己調整学習者に育てる:アクティブラー二ングのその先へ

  • 作者: L.B.ニルソン,Linda B. Nilson,美馬のゆり,伊藤崇達,深谷達史,岡田涼,梅本貴豊,渡辺雄貴,市川尚,畑野快
  • 出版社/メーカー: 北大路書房
  • 発売日: 2017/07/14
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

 

番外編 :この本も気になる1冊。子育て世代の方はぜひ。

私たちは子どもに何ができるのか――非認知能力を育み、格差に挑む

私たちは子どもに何ができるのか――非認知能力を育み、格差に挑む

 

「豊かさのなかで育った子供にあって、貧しさのなかで育った子供にないものはなんなのか?」というストレートな問いに答える本。この本もまた非認知能力に焦点を当てています。

「非認知能力は教えることのできるスキルである」と考えるよりも、「非認知能力は子供をとりまく環境の産物である」と考えた方がより正確であり、有益でもある。

 

〜子供たちのやり抜く力やレジリエンスや自制心を高めたいと思うなら、最初に働きかけるべき場所は、子供自身ではない。環境なのである。(p27)

非認知能力が注目されると、それにすぐにストレートにアプローチする=教えるということをしがち。でもこれは間違い。

ということは、学校にできることがある、ということ。

その環境作りの視点として、デシ&ライアンの自己決定理論を論拠に具体的な提案がなされています。ぼくも学級経営の授業ではこの自己決定理論を紹介しているので、その点ではちょっとうれしかった。なにより非認知能力を個別の技能ではなく、「子供たちが学習をしている現場の状況に大きく左右される習慣や態度、ものの見方である」としている点が興味深い。学校でどのような継続的な体験の積み重ねができるかが決定的に重要ということです。

後半で紹介されている学校もチェケラ!です。サイトは英語だけど・・・・・・・

 

ああ、この本入れるの忘れてた。これもいれる!

プレイフル・ラーニング

プレイフル・ラーニング

 

 

『学び合い』の本も1冊入れたいのだが、多すぎてどれがいいのか・・・・

ちなみにぼくが一番影響を受けたのはこの本。

「座りなさい!」を言わない授業―落ち着きのない子、大歓迎!

「座りなさい!」を言わない授業―落ち着きのない子、大歓迎!