いわせんの仕事部屋

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振り返りを物語風に。

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ぼくが小学校の担任をしていた頃のお話。

学級では、毎日「振り返りジャーナル」でその日の出来事を振り返ることを日課にしていた。ぼくもまた毎日振り返りを書いていた。子どもたちはノートだったけれど、ぼくは書字があまり得意ではないのでパソコンで。よく考えると子どもだってパソコンで記録していったっていいんだよな。おっと話がわき道にそれました。

「振り返りジャーナル」で子どもとつながるクラス運営 (ナツメ社教育書ブックス)

「振り返りジャーナル」で子どもとつながるクラス運営 (ナツメ社教育書ブックス)

 

ある日の算数。算数は「単元内自由進度の個別学習」で行っていた。その単元の中なら自分のペースで自分の学びやすい学び方え自由に進めていい。もちろんわからないときは友だちに気楽に「ここ教えて!」と聞いていい。

その日の算数はいつにも増して集中した空気に包まれていて、学び合う姿もたくさん起きていた。ぼくも積極的に中に入っていって質問したり、教えたり、見ていたりした。もちろん全部が見えるわけがない。今日、29人一人ひとりの中ではどんなことが起きていたんだろう。ちょっと聞いてみたいなと思った。そこでふと、

「自分を主人公にした物語で書いてたらどうだろう?」と思い立った。

ぼくは〜ではなく、第三者として、「岩瀬は〜」みたいに書く。
ちょっと引いたカメラから自分の物語を、他者の目から書いてみる感じ。作家の時間(ライティング・ワークショップ)を始めたばかりだったし、書くことの楽しさ、人に読んでもらうことの楽しさを味わい始めているときだったので、振り返りを作品のように書くっておもしろいんじゃないかな、と思ったわけだ。
 授業の終わりにぼくの思いつきを提案してみたとき、「うーん、イワセンよくわからないなー」と言っていた人もいたけれど、「ぼくもふと思いついて、うまく行くかどうかよくわからないんだ。試してもいいなーっていう人はやってみてよ。」とお願い。7割くらいの子はやってみたという感じだったろうか。
 
これがなかなかおもしろかった。
自分を客観的(メタ)に見る練習でもあるし、なにより引いて見たることで、自身の再発見があった人もいたようだ。いくつか振り返りジャーナルを紹介したい。名前等は全て仮名で場面も少し変えてあります。
 
まずは、ふうかさん、はづきさん2人の振り返り。この1時間は二人でグッと学び合っていた。同じ時間を共有しても体験していることは当たり前だけれど違う。
 
ふうかさんの物語
キーンコーンカーンコーン。チャイムが鳴った。ふうかははづきの席へ行き勉強を始めた。ふうか、はづき、つかっち、りさで学び合っている。
「つかっち、ここは工夫してやった方が効率がいいよね!」ふうかはいった。
「そうだね!」 つかっちは優しく教えてくれた。
「こうりつってなに?わかる?りさ」
はづきは笑いながら言った。りさも笑いながら首をかしげた。はづきは仕上げの問題を家でやってきていて、わからないところをふうかに聞いた。はづきはわかった振りをして通り過ぎていくところだったから、「はづき、説明してみて。」ふうかは厳しく言った。
「えっとねー、ここはこうだからー・・・」はづきの説明は意味不明。「わかってない!」ふうかが言うと、はづきが、
「先生ーわかんないー」
先生が教えていると、つかっちも一緒にはづきに教えている。ようやくはづきもわかったようだ。はづきがぼーっとしていたので、「ハイクラス問題集やろう!」とふうかは声をかけた。
やっとの事で1問解いた。2問目もなんとかねばって解いた。
はづきはイワセンに自慢げに言う。「ねえ、解けたよ-!」
イワセンも、「力がついたねー!」とふうかをほめる。
ふうかは思った。成長したな−。はづきがもっと力を伸ばしていけるのが楽しみだな-。ふうかははづきにすごく力がついたことをすごくうれしいと思う。
「よーし、もう1問!」
はづきは自分の力で3問目を一生懸命解いていた。そんなはづきの一生懸命の顔はとてもかっこよかった。はづきが解けたときのうれしそうな顔を見て、ふうかもすごくうれしくなった。
 
 
○はづきくんの物語
算数の時間がはじまった。先生の「始めてください」と同時に、ふうかが、「今日はハイクラスをやろう」と元気に言ってきた。はづきは驚いた。まだハイクラスなんて一回もやったことないのに・・・・でも、ふうかと一緒にやってみた。予想通りはづきはわかっていなかった。
でもふうかは、あきれながらも先に進めないではづきをサポートし教えてくれた。何とか2問解けた。最初はやる気にもならなかった。でもふうかに厳しく、「すぐにあきらめるな!」と言われた。はづきは必死に「負けるものか!」と思いながら難しい問題を解いた。解けた達成感は最高だ-!!明日もふうかの厳しい指導で励む。
 
         *  *  *
 
おもしろいなあと思う。ぼくには「ああ2人がんばっているなー」ぐらいにしか見えていなかった。こんなエピソードにあふれた1時間だったんだなあ。
つぎはあやの振り返りジャーナル。
 
○あやさんの物語

○2時間目がはじまった。
あやは予定表がみあたらない。(まーいっか!)と思いながら始めた。今日はいつも通りともなと始めた。
ともなとは算数で仲良くなった。算数で友達ができるのは初めてだ。いつも通り算数をしていると、たなっちが校庭から聞こえてくるソーラン節の音でナゾの踊りを始めながら問題を解いている。(バカじゃないの?)と思いながら算数を進めた。
今日はハイクラステストを進めた。イワセンが、「あや、楽勝?」
あやは小さな声で「うん」とうなづいた。なぜかは、すごく集中していたのに話しかけてきたからだ。少しその声がじゃまだった。だから今日は21問しかできなかった。いつもなら30問以上できていたのに・・・。

「あと5分だよ-」のイワセンの声を無視して続けていたら、「キーンコーンカーンコーン」チャイムが鳴った。(もっとやっていたかったのになー。バトンの練習いきたくないなー)と思って、バトンの練習をし始めた。

 

          *  *  *

 ああ、なんと残念なぼくの言葉。よかれと思ってやったことでどれだけ邪魔をしてきたのだろうなあ。それにしてもあやさんの振り返りからは、「学習のオーナーシップを持つこと自体が、学びのモチベーションにつながる」ことが見えてくる。
 

○ナナさんの物語
チャイムが教室に響く。今、算数の時間がはじまった。
ナナは今日、力をつける問題に挑む。今日は隣のそうたと挑戦するようだ。ナナは鉛筆をとるとカリッカリッカリッと音を立てながらノートを数式で埋めていく。となりのそうたが少し問題を険しい顔で見ていた。そうたはナナに質問した。ナナはそうたに解き方を教えた。
ふと前を見ると、さおりがやさしく、たけしに教えていた。たけしはわからないところをしっかり聞く。みんな必死。問題を解いているうちに、みんな集中して教科書にだんだん体が寄ってくる。わからない人は、もう1人でモジモジしてたりしない。説明のうまい人や、わかりやすい人のところへ行って、助けを求める。聴かれた人は快く教えていた。みんなやさしい。時には厳しい・・・・・そんなクラスになってきたのを見たナナはうれしくなった。そんなことをぼおーっと考えていると、さおりのたけしへの説明はまだ続いていた。ナナは我に返る。さおりはまだたけし一生懸命伝えている。
さおりはまるでたけしの家庭教師みたいだ。さおりを見ているとさおりのようにやさしくて、一生懸命に教えられるようになりたいと夢見る。おいおい、夢見てる場合か!と心のナナが言う。
ナナはまた目の前の問題に手を出す、そしていつしかチャイムが響いていた。
 
○そうたくんの物語
今日も算数がはじまった。分数のかけ算。案外いけるかもと思いながらはじめた。そうたは、終わっていない問題に取りかかろうと思った。隣を見ると、ナナがいた。ナナと終わっていない問題が同じだから一緒に取りかかった。何問かやっていくうちに解き方を忘れた問題にであった。うーん。先生に聞いてもイマイチわからない。
「ナナー、ここどうやるの?」「ここはこうしてー」ナナは手を止めて教えてくれた。なるほどね。わかった。「ありがとう、カナ」いやー、わかるの楽しいな−。「あと5分でーす」
イワセンのかっこいい声が響く。やば。ここだけは終わらせたい。必死に解いた。「休み時間だよ-!」イワセンの声が響く。もうちょっとで終わったのに-。算数が大好きだ。テスト100点とりたいからもうちょっとやろう、と思ったけど、学習計画の表を見てこよう。鉛筆を転がし、紙を見に飛び出した。
  
          *  *  *
 
ぼくたちは、学級をついつい一つの固まりとして見てしまいがち。でもそこに29人いれば、29通りの物語がある。ひとつひとつの物語がつながったり、ぶつかったり、寄り添ったり、絡まったりしながら日々が紡がれていく。
一人ひとりの物語に耳を澄ませること。
一人ひとりの目から、この場はどう見えているのか、何を体験しているのかに目をこらすこと。
 
もちろん全部がわかるはずもないし、全部わかろうとすること自体がいいこととも言えないし、わからない方がいいこともたくさんある。でも一人ひとりが自分の物語を生きているということは、ちゃんと心に留めておきたい。
 
そんな当たり前のことに気づかせてくれた「物語風振り返りジャーナル」でした。
大人もやってみるとおもしろいかも。ちょっと自分を引いて眺めてみる体験になるかもしれません。

軽井沢風越学園準備財団、メルマガ第5号が発刊になりました。

軽井沢風越学園準備財団のメールマガジン、第5号が発刊になりました。今回の内容は以下の通りです。
【1】わたしたちワークショップ、申込受付開始します
【2】情景「いろいろな人が行き交う学校」更新しました
【3】スタッフインタビュー 甲斐崎博史
【1】、【2】で、ぼくたちが目指している学校像が伝わるのではないかなあと思います。
新しい「普通」の学校ってどんな学校なのか準備のプロセスで何度も立ち戻っている問いです。
 
今回の情景、ぼくは個人的にとても好き。2020年、これが実際に起きているといいなあと素直に思えます。ありたい姿を探究し続け、情景を描いていきます。スタッフインタビューは、盟友KAIこと甲斐﨑博史のインタビュー。もう10年以上一緒に歩んできた彼と一緒に学校づくりに関われているのは本当に幸せです。甲斐﨑は明日から3ヶ月、オランダに旅立ちます。また大きく変化して帰ってくるのだろうなあ。いってらっしゃい!
ぜひ読んでください。そしてぜひ感想をお聞かせください。一緒に、新しい「普通」の学校の姿を探したいです。

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もうひとつ。greenzで取材していたいた記事です。ていねいにていねいに記事にしていただいて本当に感謝です。

greenz.jp

 写真が恥ずかしいけれど、こちらもぜひ。本城とぼくは、共通点もたくさんあるし違いもたくさんある。だからこそおもしろいものが生まれる確信があります。
 
 

増刷が決まりました。6刷感謝。

 ぼくの初の単著本、『クラスづくりの極意』、今日6刷の連絡が来ました。

 

クラスづくりの極意―ぼくら、先生なしでも大丈夫だよ

クラスづくりの極意―ぼくら、先生なしでも大丈夫だよ

 

 もう6年以上読み継がれていることに心から感謝。

今読み返すと「若いなー!」と思うこともしばしばですが、

ぼくの原点の本です。

よかったら手に取ってみてくださいね。

 

写真もたくさん載ってます。

なんと中川綾さん作のチームゲーム「てがみち」が綴じ込み付録でついているという実は豪華な本です。

 

iwasen.hatenablog.com

 

いやあ、何とも嬉しい。

 

 

 

メルマガ発刊されました。サマースクールの報告も!

メールマガジン発刊されました。

サマースクールの報告は以下にあります。

是非お読みください。

ぼくが言うのもなんですが、とてもいい記事です。

この記事が出たので、ブログのまとめは前回までのでオーケーそうだな。

http://kazakoshi.jp/2017ssreport/

サマースクール3日目、4日目 その①

奇跡的に台風がそれて、予定通りサマースクールができることになった。ニコピカくんは台風を近づけなかったらしい。

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予定通り(?)朝早く来て,探究の続きに取りかかる人も。

秘密基地は樹上にできるよう。

まずははしごづくりにとりかかる。興味ぶかいデザイン。

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完成したら取り付けてみる。うん、いい感じみたい。

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この日は1日「○○すぎる△△」の日。

昨日の午前中から、明日の午前中まで,丸々2日間、探究だ。

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ひとり一人が自分のテーマをひたすら探究する2日間。スタッフは子どもの探究に伴走する。いや伴走するというよりも協同で探究する感じ。

「考える→つくる→改良する」というTMI(Think−Make−Improve)のステップを繰り返していく。ゴールはどんどん先に進む。「○○すぎる」なので、「より○○すぎるには?」とエネルギーが前に向いていく。スタッフは協同探究者として共に試行錯誤する。

 

ぼくは、全体の様子を見ていてサポートに入ったりしていたので、それぞれの人がどんな探究をしていたのか、どんな試行錯誤があったのか、どんな言葉が交わされたのかは、今の段階では全てを詳しくは知ることができていない。ぼくは主に野外の方をみていたので、その中から写真を紹介する形で、3日目、4日目と、どんな探究が行われていたか、いくつか紹介します。

 

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「大きすぎる剣」はひたすら縦にノコギリを進めていく。

「大人が安全を管理するのではなく,子ども自身が管理できるようにしていく」というのは、スタッフミーティングで確認されたこと。どうすればいいか、スタッフは悩み、話し合い、改善し続けた。

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剣先に取りかかる。

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おお!できてきた!

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さらに探究はつづく。つぎつぎに「もっとこうしてみたい」が生まれる。

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最終日、塗装に入る。

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ついに完成!ここまで計9時間の道のり。

 

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「あやしすぎるひみつきち①」のほうは屋根がつき始めた。

 

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真ん中を高くするために、柱(?)を立てようとしているよう。

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柱が立った。なるほど、板で支えているのか。

探究の時間も、自由遊びの時間もひたすら作り続ける。時々いなくなり、飽きてあそびに行ったのかな?と思うと,また戻って続ける。そのサイクルも人によって違う。

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4日目は蝶番を持参。ドアを作るらしい。

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最終日でここまで。お昼ご飯を基地の中で。もっと時間があったら、どんな発展があっただろう。そこでどんなことが学べただろう。教科の学びとどんな風に繋がっただろう。

 

 

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 「ひろすぎる地球」。最初に問いを立てて,パソコンで調べていった(図書館がお休みの日で、本を使うのは断念)。

太陽って地球の110倍の大きさと知って,実際につくってみる。

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太陽でかい。

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次は,地球の重さと太陽の重さを比べてみよう。じっと画面を見つめる。

4日間、一人でじっくり探究。

この後どうなったかは、近々発刊されるメルマガで!

 

 

 

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「あますぎる葉っぱあめ」はハーブをつかった飴作り。1年生1人でチャレンジ。ミントを探して摘んできた。さあ、飴づくり。でもなかなか上手に固まらない。3日間苦労して,最終的にはおいしい飴ができた。「カラスノエンドウでも飴つくれないかな」と発想は広がっていった。

 

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最終日は,お店屋さん。大人気に。自分が作ったもので人が喜んでくれるのってうれしい。べっこう飴づくりにも発展していった。予約注文をとりすぎて、足りなくもなった。大人が先回りしなければ、こんなところにも学びの種はころがっている。

 

続きはまた次回。

 

小さな探究人たちの没頭する様子を見て、スタッフ間で、「この学びを例えばルーブリックで評価するって、何かなじまない感じがするね」。「軽井沢風越学園では評価をどう考えていくか」は、これからもっと深めていかなくちゃと思う。

 

どこまで見守るか、どこまで待つか、どんな言葉を投げかけるか、あるいは投げかけないか。過不足のない関わりってどんな関わりだろう。スタッフにとっても学びと葛藤の連続だった。

今回のサマースクールを起点に、次は教科の自己主導のカリキュラムを深めていこう。

 

 

サマースクール2日目。

2日目がはじまる。

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フィールドに着くと、7時半に一番乗りした人が,早速秘密基地づくりの続きに取りかかっている。「高すぎる木」の人たちも、さっそく登るチャレンジを始めていた。自分がやりたいことの力はすごい。 

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朝のサークルタイムを終え、今日のスタートは「すぎる祭り」から。
オギタカさん(http://oto-asobi.main.jp/)、
さらしなまりこさん(http://saramarinko.wixsite.com/sarashinamariko/profile
によるワークショップ。

自然の中で音であそび、Artであそぶ。
1日目の午前中のアクティビティのこともあり、どうなるかなあと少し不安もあったけれど、いやいや本物の力はすごかった。
潤沢な楽器、潤沢な材料。

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ジャンベの音が自分にも響いてくる。本物の楽器を自由に使えるってうれしい。 

楽器の音に反応してさえずる鳥の声。森に響くジャンベの音。楽しそうに踊る人々。

 

 ワークショップの中ではつくる時間もあった。さらしなまりこさんの「カオカオフレンズ」。(http://sarashinamariko.blogspot.jp/2017/

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つくることに没頭する姿。

 

気がついたら、幼児も自然に混ざって,一緒につくっていた。太鼓の音に誘われて,演奏を一緒に行っている幼児も。

この自然に「まざる」ことが,軽井沢風越学園で大切にしたい姿。

こんなシーンがいくつもあった。

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空を飛べそう。 

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武器を作ったっていい。

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つくるものは人によって全然違う。あらためて学びは個人的なものなのだと確認。学習の個別化というのはある意味当たり前なのだ。それは教科でも探究でも遊びでも。

つくるということは、学びのコントローラーを自分の手に取り戻すことにつながる。つくりたいものをつくる。潤沢な材料と道具を自由に使える。その環境構成こそが重要。その視点から学校を眺めてみると何が見えるだろうか。

自分自身の活動や学びを自分自身の手で受け止める体験。振り返ってみると、この時間がこれ以降の探究するときの根っこになったと思う。

 

         *  *  *

 

探究するって自分からスタートするときもあるし、新たなものに出会ってスタートすることもある。
学校、いや学びにとって、このような「新たなものとの出会い」「本物との出会い」「魅力的な人との出逢い」も大事だなあとその様子を眺めていて思った。未知はアドベンチャーのきっかけになる。もちろん、全員が楽しかったり,没頭するとはかぎらない。でもたくさんの出会いのチャンスの中で、自分でも気づかなかったようなやってみたいこと、学んでみたいことに巡り合うんじゃないだろうか。オギタカさん、まりこさんはそんな未知との出会いを運んできてくれた。

  

この巨大構造物「ニコピカくん」は、スタッフとオギタカさん、まりこさんと作成。大人も大きすぎるを楽しんじゃう。

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この大きすぎるのがステキ。
オギタカさんは、前日の打ち合わせにも来てくださり、初日にも「場の空気感を感じておきたくて」と顔を出してくださった。まりこさんは、結局4日間グループで子どもたちの「すぎる」に伴走してくださった。

ちなみにぼくは「たいくつ王」として、このワークショップのストーリーの一部で参加。

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「たいくつだあー」ばかり言う王様。あー楽しかった!(幼児には「へんたいおう!」と言われたけど…笑)

 

3時間のワークショップ終了後。お昼ご飯と自由遊び。
ご飯が終わると、自由に遊ぶ人と、「○○すぎる△△」の続きを始める人と。「あそび」と「探究」の境目が溶け始めてきた。そもそもこの二つは分かれているものではないんだ。分かれていると感じるときは、どこか学びが矮小化されているときなのかもしれない。そのまま午後は「○○すぎる△△」に突入。

 

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「高すぎる木」で、木の上を目指す人たち。ロープの先におもりをつけてなんとか引っかけようとするのだが、なかなか引っかからない。あきらめずにやり続ける。

 

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きれいすぎる花束。

 

しばらくして台風の影響が出てきて雨が降り始めた。

探究している人たちにあまり影響はないみたい。

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あやしすぎる秘密基地づくり。まずはとれすぎるカブトムシの罠をセッティング。「夜の8時に確認に来よう」と相談してる。カブトムシも捕れる基地は一石二鳥。この秘密基地はこの後どのように「すぎて」いくのだろう。

 

「大きすぎる剣」をつくるために、ひたすら木を切る探究人。雨が強くなってきても全く関係なし。ひたすら切る。

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 昨日からずっと切り続けているが、剣先がなかなか二等辺三角形にならない。そろえようとしているうちに、どんどん剣先が小さくなってしまう。

途中で線を引いて(作図して)切り始めたが、うまく真っ直ぐ切れず、やっぱりずれてしまう。何度も試行錯誤を続け、最後は三角形がそろったところで、板を縦に切り始めた。ここから1m以上切らなくてはならない。

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 それでも無心に切る。結局1時間半、どんどん強くなる雨の中ずっと没頭し続けていた。彼の中には成果物のイメージができているんだろうな。明日は丸1日、探究する時間。どんな時間が待っているんだろう。

 

 

繰り返しになるけれど、潤沢な道具と,潤沢な材料。やりたいことを実現できる空間。自由な試行錯誤の保障。たくさんの時間。この森のフィールドが豊かな学習環境になってきている。これは学校でだって実現可能なんじゃないだろうか。

 

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LOGOや、マインドストームで有名なパパートは構築主義をこう定義した。

心理学の構成主義の理論が教えるところにより、私達は学習を知識の伝達ではなく、再構築としてとらえる見方をとります。そのうえで、私たちは取り扱い容易な素材を用いて、有意義な成果物の構築を学習者が経験する活動こそ、もっとも効果的な学習であるとの考えにいたりました。

作ることで学ぶ ―Makerを育てる新しい教育のメソッド (Make:Japan Books)

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「作ること」から学ぶ。それは単にハンズオンであるということではない。軽井沢風越学園のカリキュラムでも、構築主義という学習理論から学ぶことは多そうだ。 

 

子どもたちの姿を見ながら、ぼくは軽井沢風越学園でのICTもこんなカタチになるんだろうなと確信を強めていた。この話はまた改めて。 

 

あっという間に午後の探究の時間が終わった。明日は台風の予報。なんとか中止にならず、おもいっきり探究できる時間になるといいなあ。

台風の影響で,川での活動が中止になってしまった。活動しながら変わっていっている人や合体などもあり、「○○すぎる△△」は以下のように変化してきた。明日もきっと変化していくんだろう。

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終了後、宿に戻って夕食を食べた後は、スタッフミーティング。

それぞれの子が,今どんな感じなのかを情報交換し,明日、どんなふうに関わっていこうかを話し合う。子どもの探究を邪魔しない関わりってどんなカタチだろう。学校現場での経験があると、つい過剰に関わってしまいがち。過不足ない関わりを日々試行錯誤し続ける。

スタッフ間のコミュニケーションも1日目より深まってきた。

 

3日目。子どもたちの「○○すぎる△△」は、ぼくらの発想を遙かに超えて、どんどん「すぎて」いった。

 

 

サマースクールがおわりました。1日目。

軽井沢風越学園設立準備財団の4日間のサマースクールが終わった。

すごくいい時間だった!

忘れないように小学校プログラムの概略をメモします。

 

今回のテーマは、「○○すぎる世界」。
幼児は思いっきり遊びすぎ、小学生は一人ひとりの「すぎる世界」に没頭するのが目的。

 

本城も書いているけれど、今回のコンセプトが固まるまではけっこう大変だった。

「〇〇すぎる世界」。明日からサマースクールです。 (雑記)

 

 

ひとり一人の「○○すぎる」をどれだけ大事にできるか。

これが今回の4日間の軸。

しかし、前日のスタッフ打ち合わせでは、ついつい不安になって、

「ある程度テーマを大人が絞って,選んでもらう方がよいのでは?」 

「ひとり一人になると、サポートする大人の手が足りなくなる可能性もあるから、今回はグループで探究するって決めた方がいいのでは?」

と、ついつい構成的にしたくなっちゃう。

 

しかし、スタッフ間でのやりとりの末、

「やっぱりひとり一人の探究を大事にしよう」という,軽井沢風越学園で目指すカリキュラムの軸「自己主導」に戻ることができた。4日間おもいっきり「○○すぎる世界」に浸れる場に。それを確認して当日へ。

活動をしょぼくするのはたいてい大人の先回りや不安だったりする。

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いよいよサマースクールスタート。

1〜4年生、40人の子たちが20人ずつの2つのホームグループに分かれた。

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 まずサークルタイム。奥の山からは幼児の楽しそうな声がきこえる。お互いの様子を感じあえるのがいい。

「まずは出会いのアクティビティが必要だな」と、お互いを知り合うアクティビティ、一緒に遊んで関係性を創っていくアクティビティを次々にやっていく。

会場となった場所は豊かな森で、近くには川も流れている。このフィールドで月に2回思いっきり遊んでいる子たちが参加者のうち半分いたので、フィールドを案内してもらったりもした。

2時間近くのアクティビティで「あそんでいる」最中、衝撃的なセリフが。

「で、いつあそぶの?」

え…今遊んでいるじゃん…けっこう楽しんでるじゃん…

そうか、構成的なアクティビティは「遊ばされている」だけであって、「遊んでいる」んじゃないのか…

もちろん1人で初めて参加した子の中には,このアクティビティでちょっとずつ知り合ったり,関わったりする機会になっている子もいる。だからまったく意味がなかったとは思わない。でもこのセリフは強烈だった。

遊ぶと遊ばされる。

探究すると探究させる。

この違いは大きい。

このままでは「あそぶ」と「探究する」が分かれてしまう。

「探究させる」になってしまうかもしれない。

急遽スタッフミーティングをして午後のプログラムの相談。ここは今回のサマースクールで、ぼくらスタッフにとって一つの山場だったと思う。様々な工夫を用意していたのだけれど、

「小手先の工夫はやめて、ストレートに子どもと話そう」

「ひとり一人のこだわりたい探究テーマを決めよう」

と確認した。

 

昼食の後は2時間の自由あそび。学校の業間休みの6倍。でも2時間ってあっという間。

ここで子どもたちのパワーは爆発する。

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川を下ったり、せき止めてダムを造ったり。川で缶を船にして流す。どうすれば速くなるか工夫し始める。そこにすでに探究ははじまっていた。わざわざ「探究です!」とか言わなくても。

他にも虫を捕まえたり、草木であそんだり、ロープを張った遊具で遊び始めたり。この情景をスタッフと子どもたちと共有できたことは本当によかったと思う。「ああ、この感じ」が共有できた。「○○すぎる」ためには、本人がワクワクすること、没頭することからスタート。そしてそれは人によって違う。「わたし」からスタートしよう。

 

いよいよ午後。

一人ひとりの「○○すぎる世界」を考える時間。

この4日間、どんなことを○○すぎたいか。

「あそび」と「まなび」がどう溶け合うのか。

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この重なりがどれくらい大きくなるのか。

 

まずは「○○すぎる」と「△△」を分けたカードを作り、いろいろなことばをつなげてみる遊びで、イメージをふくらませる。思考のきっかけづくり。思いがけない組み合わせが可能性をひろげる。

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しばらくいろんな組み合わせをゲーム的に作って笑ったあと、いよいよ自分の「○○すぎる△△」を決定。

この時間をたっぷり取った。自由遊びから発展して考える子がいた。持っていた自分のこだわりで決める子もいるし、カードを合わせているうちにおもしろそうなテーマが生まれる子もいる。他の人のテーマに乗ってみる子もいるし、なかなか決まらずスタッフと対話を続ける子も。

決まり方も人それぞれ違う。

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午後2時間の自由遊びが、発想を広げたり、やりたいことを身体がわかる時間になったよう。決まった人からじんわりとスタートすることにした。動いてみないと4日間続けたいテーマかどうかはわからない。だから、途中で「○○すぎる△△」は変わってもOK。

「いっぱいありすぎるダム」に決まった人たちは、シャベルを持って川に駆けていった。

遊具を作り始めた子たちも。

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最終的に1日目にでてきたテーマはこんな感じ。

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なかなか多様な「すぎる」がそろった。

活動中心のテーマの人は、活動しながら問いや「やりたい」が次々に生まれてくるだろう。まだイメージが広がっていない人たちに、ぼくらはどう過不足なく関わっていくのがいいだろう。まだまだこの場にいることに不安のほうが多い子もいる。ぼくらはそこにどういるといいだろう。

残り3日間で、一人ひとりはどんなふうに「すぎて」いくのだろう。

 

1日目終了後、ロジ担当のスタッフが明日の探究に必要そうな道具類を買い出しに回ってくれた。スタッフが泊まった貸別荘ではおいしい晩ご飯をつくって待ってくれていた。それぞれの人がメンバーを想い、動いてくれている。

さあ、ぼくらスタッフにとっても,チャレンジングな4日間がはじまった。

そしてここからの3日間、子どもの「○○すぎる」姿に圧倒されることとなった。