いわせんの仕事部屋

Mailは「naoki.iwase★gmail.com」です。(★を@に変えてください。スパム対策です)

サマースクール2日目。

2日目がはじまる。

f:id:iwasen:20170806082026j:plain


フィールドに着くと、7時半に一番乗りした人が,早速秘密基地づくりの続きに取りかかっている。「高すぎる木」の人たちも、さっそく登るチャレンジを始めていた。自分がやりたいことの力はすごい。 

f:id:iwasen:20170807134456j:plain

 

朝のサークルタイムを終え、今日のスタートは「すぎる祭り」から。
オギタカさん(http://oto-asobi.main.jp/)、
さらしなまりこさん(http://saramarinko.wixsite.com/sarashinamariko/profile
によるワークショップ。

自然の中で音であそび、Artであそぶ。
1日目の午前中のアクティビティのこともあり、どうなるかなあと少し不安もあったけれど、いやいや本物の力はすごかった。
潤沢な楽器、潤沢な材料。

f:id:iwasen:20170814074946j:plain

 

f:id:iwasen:20170807112513j:plain

f:id:iwasen:20170807112554j:plain

ジャンベの音が自分にも響いてくる。本物の楽器を自由に使えるってうれしい。 

楽器の音に反応してさえずる鳥の声。森に響くジャンベの音。楽しそうに踊る人々。

 

 ワークショップの中ではつくる時間もあった。さらしなまりこさんの「カオカオフレンズ」。(http://sarashinamariko.blogspot.jp/2017/

f:id:iwasen:20170807103135j:plain

つくることに没頭する姿。

 

気がついたら、幼児も自然に混ざって,一緒につくっていた。太鼓の音に誘われて,演奏を一緒に行っている幼児も。

この自然に「まざる」ことが,軽井沢風越学園で大切にしたい姿。

こんなシーンがいくつもあった。

f:id:iwasen:20170807103814j:plain

 

空を飛べそう。 

f:id:iwasen:20170807110335j:plain

武器を作ったっていい。

f:id:iwasen:20170807110553j:plain

f:id:iwasen:20170807110502j:plain

 

つくるものは人によって全然違う。あらためて学びは個人的なものなのだと確認。学習の個別化というのはある意味当たり前なのだ。それは教科でも探究でも遊びでも。

つくるということは、学びのコントローラーを自分の手に取り戻すことにつながる。つくりたいものをつくる。潤沢な材料と道具を自由に使える。その環境構成こそが重要。その視点から学校を眺めてみると何が見えるだろうか。

自分自身の活動や学びを自分自身の手で受け止める体験。振り返ってみると、この時間がこれ以降の探究するときの根っこになったと思う。

 

         *  *  *

 

探究するって自分からスタートするときもあるし、新たなものに出会ってスタートすることもある。
学校、いや学びにとって、このような「新たなものとの出会い」「本物との出会い」「魅力的な人との出逢い」も大事だなあとその様子を眺めていて思った。未知はアドベンチャーのきっかけになる。もちろん、全員が楽しかったり,没頭するとはかぎらない。でもたくさんの出会いのチャンスの中で、自分でも気づかなかったようなやってみたいこと、学んでみたいことに巡り合うんじゃないだろうか。オギタカさん、まりこさんはそんな未知との出会いを運んできてくれた。

  

この巨大構造物「ニコピカくん」は、スタッフとオギタカさん、まりこさんと作成。大人も大きすぎるを楽しんじゃう。

f:id:iwasen:20170807112435j:plain

この大きすぎるのがステキ。
オギタカさんは、前日の打ち合わせにも来てくださり、初日にも「場の空気感を感じておきたくて」と顔を出してくださった。まりこさんは、結局4日間グループで子どもたちの「すぎる」に伴走してくださった。

ちなみにぼくは「たいくつ王」として、このワークショップのストーリーの一部で参加。

f:id:iwasen:20170814075845j:plain

「たいくつだあー」ばかり言う王様。あー楽しかった!(幼児には「へんたいおう!」と言われたけど…笑)

 

3時間のワークショップ終了後。お昼ご飯と自由遊び。
ご飯が終わると、自由に遊ぶ人と、「○○すぎる△△」の続きを始める人と。「あそび」と「探究」の境目が溶け始めてきた。そもそもこの二つは分かれているものではないんだ。分かれていると感じるときは、どこか学びが矮小化されているときなのかもしれない。そのまま午後は「○○すぎる△△」に突入。

 

f:id:iwasen:20170806153715j:plain

「高すぎる木」で、木の上を目指す人たち。ロープの先におもりをつけてなんとか引っかけようとするのだが、なかなか引っかからない。あきらめずにやり続ける。

 

f:id:iwasen:20170807151606j:plain

きれいすぎる花束。

 

しばらくして台風の影響が出てきて雨が降り始めた。

探究している人たちにあまり影響はないみたい。

f:id:iwasen:20170807132416j:plain

あやしすぎる秘密基地づくり。まずはとれすぎるカブトムシの罠をセッティング。「夜の8時に確認に来よう」と相談してる。カブトムシも捕れる基地は一石二鳥。この秘密基地はこの後どのように「すぎて」いくのだろう。

 

「大きすぎる剣」をつくるために、ひたすら木を切る探究人。雨が強くなってきても全く関係なし。ひたすら切る。

f:id:iwasen:20170807152631j:plain

 昨日からずっと切り続けているが、剣先がなかなか二等辺三角形にならない。そろえようとしているうちに、どんどん剣先が小さくなってしまう。

途中で線を引いて(作図して)切り始めたが、うまく真っ直ぐ切れず、やっぱりずれてしまう。何度も試行錯誤を続け、最後は三角形がそろったところで、板を縦に切り始めた。ここから1m以上切らなくてはならない。

f:id:iwasen:20170814081451j:plain

 それでも無心に切る。結局1時間半、どんどん強くなる雨の中ずっと没頭し続けていた。彼の中には成果物のイメージができているんだろうな。明日は丸1日、探究する時間。どんな時間が待っているんだろう。

 

 

繰り返しになるけれど、潤沢な道具と,潤沢な材料。やりたいことを実現できる空間。自由な試行錯誤の保障。たくさんの時間。この森のフィールドが豊かな学習環境になってきている。これは学校でだって実現可能なんじゃないだろうか。

 

f:id:iwasen:20170807143906j:plain

LOGOや、マインドストームで有名なパパートは構築主義をこう定義した。

心理学の構成主義の理論が教えるところにより、私達は学習を知識の伝達ではなく、再構築としてとらえる見方をとります。そのうえで、私たちは取り扱い容易な素材を用いて、有意義な成果物の構築を学習者が経験する活動こそ、もっとも効果的な学習であるとの考えにいたりました。

作ることで学ぶ ―Makerを育てる新しい教育のメソッド (Make:Japan Books)

作ることで学ぶ ―Makerを育てる新しい教育のメソッド (Make:Japan Books)

  • 作者: Sylvia Libow Martinez,Gary Stager,阿部和広,酒匂寛
  • 出版社/メーカー: オライリージャパン
  • 発売日: 2015/03/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログ (4件) を見る
 

「作ること」から学ぶ。それは単にハンズオンであるということではない。軽井沢風越学園のカリキュラムでも、構築主義という学習理論から学ぶことは多そうだ。 

 

子どもたちの姿を見ながら、ぼくは軽井沢風越学園でのICTもこんなカタチになるんだろうなと確信を強めていた。この話はまた改めて。 

 

あっという間に午後の探究の時間が終わった。明日は台風の予報。なんとか中止にならず、おもいっきり探究できる時間になるといいなあ。

台風の影響で,川での活動が中止になってしまった。活動しながら変わっていっている人や合体などもあり、「○○すぎる△△」は以下のように変化してきた。明日もきっと変化していくんだろう。

f:id:iwasen:20170814081647j:plain

f:id:iwasen:20170814081656j:plain

 

終了後、宿に戻って夕食を食べた後は、スタッフミーティング。

それぞれの子が,今どんな感じなのかを情報交換し,明日、どんなふうに関わっていこうかを話し合う。子どもの探究を邪魔しない関わりってどんなカタチだろう。学校現場での経験があると、つい過剰に関わってしまいがち。過不足ない関わりを日々試行錯誤し続ける。

スタッフ間のコミュニケーションも1日目より深まってきた。

 

3日目。子どもたちの「○○すぎる△△」は、ぼくらの発想を遙かに超えて、どんどん「すぎて」いった。