この本がおもしろい。
学習者中心の教育を実現する インストラクショナルデザイン理論とモデル
- 作者:C.M.ライゲルース,B.J.ビーティ,R.D.マイヤーズ
- 発売日: 2020/07/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
特に5章が刺激的。
教科は手段と喝破する。でもこの章だけ読んでいてもよくわからない。
いいタイミングで、こんな論文の紹介がツイッターで流れてきた。
京大、松下佳代さんの「汎用的能力を再考する -- 汎用性の4つのタイプとミネルヴァ・モデル」だ。
repository.kulib.kyoto-u.ac.jp
今は非認知能力等を中心に、汎用的能力があるということを前提に語られているが、それって本当なのだろうか?文脈に依存しない、いつでもどこでも発揮される汎用能力ってあるのか?数学が得意な人は、どんな場面でも論理的思考を発揮するのだろうか?
松下は、汎用能力を以下の4つに分類した。
①分野固有性に依らない汎用性:
分野を越えた幅広い応用可能性としての汎用性
②分野固有性を捨象した汎用性:
分野固有性があるはずのものを捨象して得られる見かけの汎用性
③分野固有性に根ざした汎用性:
特定の分野で獲得・育成された知識・能力が分野を越えて適用・拡張されることで得られる汎用性
④メタ分野的な汎用性:
各分野に固有の知識・能力の特徴をふまえつつ、それを俯瞰・融合することで得られる汎用性
汎用的能力の教育(①)の先端事例としてミネルヴァ大学のカリキュラムの特徴が明らかにされていて、この種の議論をすっきりまとめてくれている。
PBLや評価、非認知能力に関心がある人、実践している人は必読です。
このようなミネルヴァの取組は、これまで日本でぼんやりと「汎用的能力」(あるいは「汎用的技能」「ジェネリックスキル」)と称されてきたものについて、細かい粒度で具体化し、その習得・活用に必要な条件とプロセスをくっきりと描き出した点で、意義がある。また、カリキュラムマップとは異なる方法で、プログラムの学習成果を各科目の学習成果と結びつけ、評価する方法を示した点も参考になる。さらに本稿では検討できなかったが、オンライン授業の方法も学習者によっては有効だろう。
この論文を読んでから、先の本の5章に戻ると、理解度が全然変わってくる。
メモとして。