教員をしていた若い頃、学校には不満ばかりあった。
慣例が多すぎて変化しない。何も変わらない。自由な実践をさせてくれない。認めてくれない。自分だけ頑張っても などなど。
まあ端的に言えば、自分の目からしか世界を見ていないのでそれが全てと思っていたわけだ。「自分は頑張っているのに」「自分には見えているのに」「自分は学んでいるのに」という、どうしようもない自尊心のようなメガネをかけて見ているわけだから、そうにしか見えないのはある意味当然だった。
教員になって10年がすぎた頃。埼玉県の長期派遣研修で大学に戻る機会に恵まれた。
「全国の学校を見にいこう!」と名だたる学校を山のように見に行ったけれど、自分が働いてみたいと思える職員室、教室にはなかなか出会えなかった。
その中で1つだけ、教員が楽しそうに働いている学校があった。
それが新潟県上越市立高志小学校。
なぜこんなに楽しそうなんだ?の謎を知りたくて通いつめた(近くの宿のスタンプがいっぱいになって1泊無料になる程)。そして勝手にレポートを書いた。
http://www1.s-cat.ne.jp/iwase/upfile/kyoudoubunka.pdf
一人ひとりが自由に実践をして、それをレポートにして読み合う。管理職も「学び手の一人」としてレポートを書いてフラットに参加。ひたすらそれを毎月繰り返す。
ただそれだけのシンプルな方法なのに、いい実践が広がり、教職員は実践の話を日常的にし、何より楽しそうだった。
シンプルな方法だけれどその中には、人という存在をどうみるか、組織をどうみるか、という考え方が内包されていた。シンプルな方法と考え方が両輪のようにぐるぐる回ると組織って変わるんだということを体感できた学校だった。
次は自分で実践してみる番。
当然思い描いたようには進まず、あっちへ行ったりこっちへ行ったりの大変な3年間だったけれど、正直たくさん泣いたけど、
「月曜日に来たくなる職員室」をテーマに進んだ組織開発の3年間は、「なんだ、公立の学校だって変わるじゃん!」という、今思えば当たり前の確信を自分の根っこに据えることのできる体験になった。その実感値があるから、小金井三小の研修の伴走にも「大丈夫、絶対自分たちで変えていくよ」というぶれない軸みたいなものが自分の中にあった。
変わらない、と思った時点で変わらないし、「どこから変わっていこうか」と問いで学校を手元に引き寄せたら、できることって山のようにあると思う。
新しい本が出ます。
提案されている方法はシンプルだけれど、その反対側の車輪には「考え方」が一緒に回ってくれるはずです。
いい方法とそれを支える考え方というか、あり方というか。そんなことをあれこれ考えながら書きました。
10年前に書いた処女作を大幅に増補改訂したものです。読み応え、あると思います。
自分で言うのもなんだけど、いい本になったと思います。
職場の皆さんで読書会をして、やれそうなところから、ちょっとずつやってみる。そんなふうに読まれると嬉しいです。
この本はマクロに学校を見る本としたら、以下の本はミクロに実践を見る本に見えますが、
インクルーシブ教育を通常学級で実践するってどういうこと? (インクルーシブ発想の教育シリーズ)
- 作者: 青山新吾,岩瀬直樹
- 出版社/メーカー: 学事出版
- 発売日: 2019/01/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ぼくにとっては、両方同じなんです。アマゾンの学級運営部門で1ヶ月1位をキープしていて、こんなマニアックな本を、とありがたいかぎり。