いわせんの仕事部屋

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草抜きを遊ぶ。

学校の校庭って、雑草がバンバン生えてきて大変。ぼくが勤務していた学校では、2学期の朝会ではよく「雑草抜きの時間」がありました。なかなか不評の時間です。まあそりゃそうですよね。

 

ある年の9月の「学年朝会」の話。

学年朝会は、学年で内容が決められる朝会です。前日の担任3人での話。

「なにやろうか?」「2学期の最初だしさあ、あそんじゃいたいなあー」

「あのー、雨上がりだし,雑草も抜きやすいから校庭の雑草ちょっと抜きたいんですけど・・・校庭雑草多いと困るし、体育的にもやってもらえると・・・・」←体育主任

雑草抜きかぁ・・・この暑いのに・・・正直思ったものの、彼の立場を考えるとこの意見は大切にした方がいいなあと思いました。ココで闘わない。

「じゃあ、そうしようか。話し聴いてるだけよりいいかもね」

「そうしましょう!」

「でも、子どもたちいやだろうなあ・・・・」

 ↑この感覚ってすごく大事だなって思います。これが出るのはいい学年チームだったなあ。

「確かにねえ。。。じゃあ、せっかくなので楽しんでやっちゃおうよ。クラス対抗で抜こうか。笑」←ぼく。

「あ、それいいですね! 笑」

「じゃあ、ぼく進めていいですか?」← ぼく

「お願いします−」 という会話で決まりました。

小さいこともでも必ず3人で話すということを大事にしつつ、全部を決めずに概略が決まったら担当が自由に進める、ということも大切にしていました。

たった2分のインフォーマルな会議。繰り返すと決めるのもスムーズになります。学校の会議って、少人数ベースのこういう形に変えていくのがいいと思ってます。それはまた別の話。

 

 そして当日の朝。 子どもたちは校庭に集まっています。

ぼくはこんな話をしました。

「おはようー!学校始まっちゃったねえ−。夏休み終わって残念だ−って人?ああ、多いね 笑 ぼくも実はそう。7月18日に戻ってクレー!って感じだよね…」

「ちょっと校庭見回してみて。そう、雑草すごいよねえ−!草原みたいな校庭になりかけてるんだよ!このままじゃ体育とかしにくいし,体育大会の練習も大変だよね」

ザワザワ

「あ、気づいた?そう、今日はみんなで雑草抜きたいと思います 笑 6年がやらなくちゃならないみたいなので、申し訳ないけど手伝ってください。お願いします。」

 

エー!さいあくー!

 

「正直な反応ありがとうございます。

ただ抜くんじゃたしかにつまらない。そこで!!  

第68回 クラス対抗雑草抜き合戦をやります!  ルールは簡単!  

①とにかく抜きまくります。  

②抜いた雑草をクラスごとに山にします!  

③制限時間は10分!  

④勝敗は『山の高さ』です!工夫してビックマウンテンを作ってください。」

 

「どうせ抜くなら楽しんでやっちゃおうよ。 楽しんで,結果校庭がきれいになれば、一石二鳥。感謝もされるし楽しい! こうやって楽しみに変えていくワザってけっこう大事なんだよー。 というわけで、ばかばかしいと思いつつもお付き合いください!ではスタート!」

 

しょうがないなあと言う空気がありつつ、思ったよりも盛り上がりました。 すごい勢いで抜いていきます。 途中から体育主任のクラスは、1m近い長い雑草を真ん中に立てようとしています。

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なんたるワル知恵!おもしろい! 「あーあれずるいー!」 「いや、かしこいんだよ 笑」とぼく。 「おれらは、正々堂々と山で抜いてやるぜ−!」と男子A。 10分後。生け花方式は強かったです。 体育主任のクラスの勝ち!

「では優勝賞品です。みなさん、抜いた雑草をゴミ袋に詰めて、『優勝おめでとう!賞品です!』と優勝チームの皆さんに渡してください。優勝チームの皆さん!雑草置き場まで運ぶのよろしくー!」

 

というわけで楽しく雑草抜きをしたのでした。 とはいっても、優勝チームが全部持って行くわけではなくて、そこもちょっとしたお遊び。

「まあ,そうはいっても重いだろうからみんな手伝ってね−」と声をかけ、けっこうな人数が手伝いに行ってくれていました。もちろん全員が行っていなくていい。 そのゆるさって大事です。まあ、なんということはないのですが、こうやって楽しんじゃうのっていいですよ。

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「まんまとイワセンの罠にはまって盛り上がっちまった」とBくん。実践としては全く持ってなんてことないのですが、学校文化が持っている「表向きのストーリー」にはこんな向き合い方もある、ということを書いてみたくなりました。

 

ちなみに、ぼくは無言清掃って苦手です。ぼくは家で掃除するとき,音楽かけて歌いながらやっている。娘と「床ふき競争」とかして楽しみながら、「うわーみて!こんなにきれいになってる!」って一緒に喜ぶ。 そんな日常の楽しみ方、みたいなものって普段の生活の中にあっていい。日常と学校の乖離には敏感でありたい。

すべての場面を「指導」という言葉で埋めることはないんだよな、って思います。