マインドセット眼鏡
キャロル・S・ドゥエックのベストセラーの新訳版がでました。
早速購入。新訳読みやすいです。
「人間の能力は学習や経験によって伸ばせるものなのか、それとも、石版に刻まれたように変化しないものなのか」(P9)。
ドゥエックは、人のマインドセット(知能観)には大きく2つあると言っています。
①「硬直マインドセット=fixed mindset」 自分の能力は石版に刻まれたように固定的で変わらないという信念。自分の能力を繰り返し証明せずにはいられない。
(固定的知能観)
②「しなやかマインドセット=growth mindset」 人間の基本的資質は努力次第で伸ばすことができるという信念。持って生まれた才能、適性、興味、気質は一人ひとり異なるが、努力と経験を重ねることでみな大きく伸びていけるという信念。
(拡張的知能観)
①の人は、「自分が他人からどう評価されるかを気にするのに対し」、②の人は、「自分を向上させることに関心を向ける」そうです。
ふむふむ。
どちらのマインドセットを持っているかで、その後の学習、人生のあり方を決めてしまうとドゥエックは言います。
おもしろいのが理想のパートナーというところ。
硬直マインドセットの若者が理想のパートナーと考える相手
・自分をあがめてくれる人
・自分は完璧だと感じさせてくれる人
・自分を尊敬してくれる人
言い換えると、「自分の資質をそのまま温存してくれる人」が理想の相手なんだそうです。う、ちょっと胸が痛む。
しなやかマインドセットの若者が理想のパートナーと考える相手
・こちらの欠点をよくわかっていて、その克服に取り組む手助けをしてくれる人
・もっと優れた人間になろうとする意欲をかきたててくれる人
・新しいことを学ぶように励ましてくれる人
言い換えると「自分の成長を促してくれる人」。
なるほどなるほど。
以前にこんな記事を書きましたが、ようは成長に関心があるか、評価に関心があるか、の違いなんですね。
もちろんシンプルにどちらか、と二分法で選べるわけではなく、おそらくどちらの要素も人にはあるのでしょう。その時々によっても違うかもしれないし。
ボクも余裕がなくなると、「硬直マインドセット」になっちゃうし。
さてこのドゥエックの理論。
ボクが素晴らしいと思える理由は、日々の実践の見え方が違ってくること。、
この「マインドセット眼鏡」をかけて日々の実践を検証すると、
自身がどのようなマインドセットで実践していたり、
子どもに声かけしているか、
が浮かび上がってくるからなんですね。
日々の実践の今までと違う面が見える。
さらに実践の改善点も見えてくる。
理論って、こんなふうに考えると実践を前に進めてくれるものになりそうです。
この眼鏡のメタファーは、
東大の中原淳さんが以下のブログで書かれていたものです。
NAKAHARA-LAB.NET 東京大学 中原淳研究室 - 大人の学びを科学する: 実務家が必要としている「理論」とは何か?: 「実践」と「理論」のあいだの「死の谷」を超えて!?
中原さんのブログは本当に勉強になります。
実務家が必要としている「理論」、教員養成でもとてもとても重要な考え方ですね。
それにしても。
学校の先生を目指している人、学校の先生をやっている人、つまり「教育に携わる人」は自身がどのマインドセットを持っているかに自覚的になることがとても大切だなあと思います。
自身のマインドセットがベースとなった関わりをしてしまいますから。
ボクらは思った以上に「固定的」に見ていること多いですよ。
いやいや、そんなことはない!という反論が聞こえてきそうですが、
拡張的知能観を持っている!と思いつつ「でもある面では固定的だよな」と留保をつけていることが多い気がします。
だから、授業で余計なことしちゃうんですよね。
余計なワークシートとか、
余計な説明とか、
余計なグループ分けとか、
余計な・・・・・・・・(以下永遠につづく)
あの子はああだとか、
この子はこうだとか、
あの人はああだとか、
この人はこうだとか・・・・・(以下永遠につづく)
希望はマインドセットは変えることができます!
しなやかマインドセットでいきたいぞ、オレ。
読みやすくおすすめの本です。
「マインドセット眼鏡」をゲットしましょう。