『きょうしつのつくり方』前書き。
この絵本。
ぜひリフレクション(振り返り)や対話のツールにしてみてください。
自身の子供時代や、お子さんが通われている教室や、自身が通っている教室や、担任している教室や学校を思い浮かべながら、共感すること、違和感を感じること、気づいたこと、沸き起こる感情、そもそも自分がしたいこと。
自身がいたいと思える場、自身がいたくないと思える場とは。
等々。
ところで、前書きを紹介します。
本の前書きですが、最近のボクの考えをシンプルにまとめてみました。
- 作者: 岩瀬直樹(原案),プロジェクトアドベンチャージャパン(PAJ),荻上由紀子,苫野一徳,寺中祥吾
- 出版社/メーカー: 旬報社
- 発売日: 2015/11/16
- メディア: 単行本
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「みんなの教室はみんなでつくる」。
もし、小学校のクラスを子どもたちが中心で創っていったら、そこはどんな教室になるでしょうか?
この絵本は、そんな、「みんなの教室はみんなでつくる」にチャレンジした子どもたちの1年間の物語です。
教室は小さな社会です。
そこでおきていることは、20年後の未来の社会のありようだと考えることもできます。 では、20年後の社会はどうなっているとステキでしょうか。
例えばボクはこう考えます。
一人一人が自分が生きたいように生きていられる社会。
違いが大事にされてして、ゆるやかにつながっていられる社会。
ひとりでいることも大事にされる社会。
「助けて」と気楽にいえる社会。
自分の力が発揮できる社会。
問題や課題はみんなで相談して解決に向かえる社会。
そんな社会で生きている人々は、
「自分の手元から、自分や社会はよりよく変えていける」と確信して行動しているでしょう。
そのベースをつくるために、まず今の教室からスタートしたいのです。
教室を「自分の手元から変えていける」場に。
そんな未来の社会を試行錯誤する場でありたいと思うのです。
子どもたちには、自分たちの教室を自分たちで創っていく力があります。
これはボクが日々の教室の中で体験してきたゆるぎない確信です。
ボクたち大人が、本気で子どもたちに教室を創っていく自由と責任を手渡せば、びっくりするぐらいのステキな「きょうしつ」が生まれていくのです。
この絵本には、そんな「きょうしつ」をつくってきた子どもたちの 4月のスタートから3月の旅立ちまでの1年間の物語が詰まっています。
フィクションではありますが、ボクが担任していた学級で実際に起きたことを表現したノンフィクションともいえます。
この絵本には、あえて「文字」はありません。
ボクが担任しているきょうしつに、1年間定期的に参観に来たつもりになって、じっくりじっくり見ていただきたいなあと思っています。
いわば、バーチャル授業参観、です。
そこには何が見えるでしょうか?
登場する子どもたちは何を考え、何を感じているでしょうか?
きょうしつはけっして、「ひとつのかたまり」ではありません。
そこにはそれぞれの成長の物語があります。
そこにいる一人一人の「こうしたい!」が重なったり、ぶつかったりしながらカタチづくられていきます。
そこに正解はありません。
そこに偶然集まったメンバーで、まるで粘土のようにみんなでこねて、自分たちの「きょうしつ=未来の社会」を試行錯誤しながらカタチづくっていくのです。
それはもしかしたら従来の「学級」という既成概念を越えていく姿になっていくのかもしれません。
繰り返しになりますが、1ページ、1ページ、じっくり参観して、一人ひとりがなにを考え、なにを感じ、どのように影響しあいながら、「みんなのきょうしつ」をつくっていっているかを想像してみてくださいね。
できれば友人や家族、同僚と対話しながら読んでみてください。絵本を使った対話のワークショップのイメージで。
そしてこの絵本を通して考えたり、感じたり、対話したり、みなさんの「現場」や「わたし」を振り返る機会になるといいなあと思っています。
「もし、私がこの教室にいたら」と、
絵本の世界の登場人物になって、「きょうしつ」を一緒に創っていってみるのもステキです。
そこでなにが起きているかを感じてみてください。
ではきょうしつをつくるアドベンチャーのはじまりです。