いわせんの仕事部屋

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もくもくリアクター

理論と実践を往還すること。

例えば。

「もくもくリアクター」というものがあります。


http://ci.nii.ac.jp/naid/110009594443


もくもくリアクターは、論文によると、

「ホワイトボードを複数枚用いた非同期的、非集合的なブレーンストーミングシステム」

です。

これを横浜市立高田小学校の今村俊輔さんが小学校で実践され、論文を出されています。

http://ci.nii.ac.jp/naid/40019997957

 

 

このような実践研究は、知見として蓄積されていくので価値が高い。

しかも、企業での学びと小学校での学びに橋が架かっています。

 

ではこれをどのように実践するか。

ボクのクラスには「レク写」という会社がありました。
クラスレクを提案しつつ、日々のクラスの様子を写真で記録し、2ヶ月に1回スライドショーをつくる、という会社。

 

この「レク写」自体を学習プロジェクトと捉えてプランニングしていたので、レク写の人たちは、自主学習などで「カメラの仕組み」などを調べたりもしています。
「写真に短い文章を載せて展示する」
というカメラマンのようなチャレンジもするみたいです。

 


さて、この会社は「クラスレク」も担当しています。
朝のサークルでレクの実施を提案したところ、
「自由に遊びたい人もいるよね」
「でもたまにはそれもいいんじゃない?」
「できるだけ参加してね!ぐらいにしたら?」などなどいろんな意見がでて、

 

・まずは1ヶ月、週1回やってみてそれからみんなで考える。
 できるだけ参加してね。

 

に決まりました。


次は「プログラムは何にするか」です。
そこでボクは「もくもくリアクター」を紹介しました。

論文をかいつまんで説明して、小学校の実践例も見せて。

 

そしてこのように進めることで合意。

 

 

1,真ん中にテーマを設定する。
2,子どもたちは、そのことについて、思いついたことやアイデアを「もくもく」と広げていく。
3,いいねー!などの共感の言葉も大歓迎。
4,一定期間設置しておく。子どもたちは休み時間など隙間時間に自由に書く。
5,ある程度「もくもく」がたまったら、朝のサークルで話し合ったり、整理したり、設置者のこれからの実践のアイデアにしたりする。


こんな感じです。


今回の実践上の工夫としては、

子どもたちがいつでも自由に設置してよい」
「リアクターの終了後の扱いも子どもたちがきめる」

というところ。
運用もすべて子どもたちにゆだねている点です。


これ、すごくいいんですよ。

 

・授業の時間を取らなくても隙間の時間に自由に書けるので、実施しやすい。
・発言が苦手な子も書ける。
・子ども自身が必要に応じて設置できる。
・アイデアが次のアイデアを生んでいく。
・時間をかけられるので、じっくり考えたり、熟成させることができる。
・楽しい。

 

これを機に、ことあるごとに子どもたちが「もくもくリアクター」を設置するようになりました。

子どもたちのツールになったんですよね。

 

・ハロウィンパーティー、なにやりたい?
・運動会のスローガンを次の委員会で提出しなきゃなんだけど、アイデアない?
・手芸会社で作ってほしいもの募集!
・次回の教室リフォームのアイデア


等々。
テーマを何にするか、というのは重要です。
最初は楽しいのがいいですね。

クラスは1年で解散ですが、子どもたちの人生は続いていく。
こういうツールを子どもたち自身が運用できるようになるのはとても大切だなあと思います。

 


ボクはこのもくもくリアクターの論文を、
富士ゼロックスの荒井恭一さんに教えていただきました。
学校や実践を変革するアイデアは学校外にあるなあーとあらためて。

 

実践研究として蓄積していくと、「相互に参照できる知」が貯まります。

教育の知もこのように蓄積していけるといいな。

教師教育も。