クラス会議を学び直す
クラスにおける問題解決の方法を見直そうと思い、クラス会議やABCDアプローチを学び直しています。
クラス会議はアドラー心理学に基づいています。
クラス会議で子どもが変わる―アドラー心理学でポジティブ学級づくり
- 作者: ジェーンネルセン,H.ステファングレン,リンロット,諸富祥彦,Jane Nelsen,H.Stephen Glenn,Lynn Lott,会沢信彦
- 出版社/メーカー: コスモスライブラリー
- 発売日: 2000/10
- メディア: 単行本
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ABCDアプローチはプロジェクトアドベンチャーベースです。
プロジェクトアドベンチャーの実践 対立がちからに―グループづくりに生かせる体験学習のすすめ
- 作者: ウイリアム・J.クレイドラー,リビーコウレス,リサファーロン,イラサハイプラウティ,William J. Kreidler,Libby Cowles,Lisa Furlong,IlaSahai Prouty,プロジェクトアドベンチャージャパン
- 出版社/メーカー: C.S.L.学習評価研究所
- 発売日: 2001/12
- メディア: 単行本
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両方とも共通点が多いです。
哲学、方法論とも。
クラス会議は10年ほど前、数年間実践していました。
それからPAに出会い、いろいろアレンジしながら今に至っています。
もう一度基本的な考え方から学び直し、今年どうするか考えることにしました。
上越教育大学の赤坂真二さんに以前いただいた修士論文も読み直します。
今日一気に読み直すぞー!
問題は、時間をどう生み出すか。
週1でいいのか。もっと他に方法があるか。
以前も悩んだ問題です。実践していた頃は朝自習や朝の会の時間を活用してほぼ毎日やっていました。
時間の問題はいつも悩ましいです。
以下は10年前に書いた、クラス会議の本の読書メモです。
以下に「方法」にばかり囚われていたかがよくわかります。
今読み直すと、この本のメッセージは違うところにあるんだと言うことに気づきます。
『クラス会議で子どもが変わる
─アドラー心理学でポジティブ学級づくり』
ジェーン・ネルセン+リン・ロット 他著
会沢信彦 訳 諸富祥彦 解説
より
「いかにして教師と生徒が一緒になって自尊心と学業成績の両方を伸ばすようなクラスの風土を創る上げることができるか」という問いに答えを出す一つの例が、クラス会議である。」
○クラス会議で伸びるとされているスキル
・自己有能感(自己肯定感)
「私は有能だ」
「私は人の役に立っている」
「私は、自分の行動で自分の未来を変えることができる」
・自分をコントロールするスキル(自律?)
・他者との関係のスキル(コミュニケーションスキル)
・責任のスキル
・問題解決のスキル
その他クラス全体としては・・・・・・
・共同体としてのクラスの風土
・「クラスは自分たちのもので自分たちでよくしていける」
という肯定的な感覚
・「クラスのことは自分たちに任されている」という責任感
○クラス会議を成功させる6つの法則
クラス会議の実践者であるニルセンらはクラス会議を成功させるために以下の6つの法則をあげている。
1,毎日クラス会議を行う。
これは「日常的に行われる場合にだけ、効果がある」という前提に基づく。日常的に行うことによって、子どもたちはスキルを伸ばし、クラスのケアリングの雰囲気が作られていく。一日10分でもいいからできる限り毎日行うことがよいとされる。
2,輪になる。
輪になる意味は「輪になって座ると、お互いの顔がよく見える。話す人は語りかける相手の表情や反応を見ながら話せるし、聴く人は話す人の表情や身振りを見ながら話を聞けるので、お互いに適切な反応がしやすく、インタラクティブ(双方向的:岩瀬注)な場になる」し、「その場の雰囲気を作るのは、一人ひとりなのだ」という自覚が促される。すなわち、みんなで参加し共同で作り上げる場となるようにする。
(この輪を作る過程も学びの場となりうる。前掲書p54.55参照)
3,トーキングスティックの活用
これは棒でもぬいぐるみでも何でもよいのだが、「棒を持っている人だけが話し、持っていない人は聴く」シンプルなルールで使用する。これを輪の中で順々に回していく。このトーキングスティックを導入することにより、「途中の介入を控え、お互いを深く聴きあうことで、場がずっと深ま」り、「お互いに深く耳を傾け、『傾聴』しあう場が自然にできてくる」とされる。また、これが回ることですべての生徒が、話すかパスする機会が与えられる。それはすなわち主体的に動き出そうとするチャンスを提供するものになる。
上記の2,3はワークショップの手法においてメジャーな方法であり、広く行われている。
4,結果ではなく、解決に注目する。
非難ではなく、解決に焦点を当てた話し合いをする。これは、「私たちは、お互いに傷付け合うためではなく、お互いに助け合うためにここにいます」(p71)という大切なメッセージである。解決に焦点をあてることにより、話し合いは生産的になる。
5,問題を議題に出した生徒が、自分が有効だと考える解決策を選ぶことを認める
6,教師と生徒がクラス会議のプロセスをーしばしば失敗を通じてー学ぶまで、トレーニングのための時間を考慮する。
即効性のあるものではないということ。プロセスも学びの大切な過程ととらえていく。
* * *
当時のボクの実践メモをひもとくと・・・
(20代の頃。。。。何だか恥ずかしい・・・)
「一昨年のボクのクラスでは、1ヶ月ぐらいで定着し、3ヶ月を過ぎてからの効果は絶大でした。
ほとんどのトラブルは、自分たちで解決できるようになりました。
★クラス会議の実際
ボクのクラスでクラス会議を行った方法は以下の通り。
1週間のプログラム
基本的には、帰りの会の代わりにクラス会議を行った。それによって時間を確保することができる。そのために次の日の連絡等は他の時間にすませ、最後の授業が終了したらすぐに輪を作って、15分程度クラス会議を行った。
ただ最初の2週間は、この方法になれるために授業時間でも行った。
(クラス会議が定着するまでは、かなり気を遣って時間を確保した)
月 コンプリメントと感謝の言葉
輪になり、コンプリメントと感謝の言葉を言っていく。たとえば、
「今日、忘れ物をしたときに○君が貸してくれました。どうもありがとう!」
「1年生が転んで泣いているときに○○が、そばに行ってなぐさめているのをみて、すてきだなあと思った」
など。
火 ワークショップ
ブレーンストーミングや、演劇系のワークショップなどのコミュニケーションスキルの練習や、プロジェクトアドベンチャーなどのワークショップ、輪になってのゲームなど基本的に楽しい時間とした。雰囲気作りの時間である。
ゲーム、コミュニケーションスキルを伸ばすワークショップについては、以下の本が参考になる。
『総合学習・門外解決能力をひきだすフレンドシップサポートプログラム』
早川和子著 築地書館
水 問題解決
この日は6時間目と帰りの会の15分を合わせて60分確保し、議題を話し合って問題解決していく時間を設定した。
この日に話し合う議題は議題箱に入っているものを順次取り上げていった。議題は子どもたちに、
「自分の悩みや問題でもいいし、『○○をみんなでしてみたい!』のような楽しい提案でもいいよ」
と話しておいた。
議題箱に入っている内容で、「クラス会議にかけるほどでもないなー」と思ったら、本人を呼んで、
「この問題の解決策は、何が一番いいと思う?」
と聞き、話し合うことも多かった。
解決策の案としては、前掲書p136の「選択肢のホイール」参照。
あなたの問題の解決策の選択肢
・クラス会議の議題に出す
・やめてほしいと相手に言う。(これを結構やっていない・・)
・無視する
・相手とじっくり話し合う
・謝る
・落ち着くために時間をあける
・先生に解決してもらう
などなど
木 コンプリメントと感謝の言葉
金 問題解決
クラス会議の流れ
1、輪になる
2,コンプリメントと感謝の言葉を交換する
3,前回の解決策について検討する
4,議題を話し合う
(時間によっては2をカット。これは結構いい時間かかる。でもいい雰囲気になるのでやりたいところだが・・・)
実際に行ってみて
・自分たちの問題は自分たちで解決していけるし、クラスを作っていくのは自分たちであるという自覚が生まれる
・自分は友達の問題解決に役に立つのだという感覚が生まれる
・「自分が困っても誰か助けてくれる」と子どもたちが感じられる。
・教師と子どもの関係、子ども同士の関係が変わってくる
・教師の子ども観、教育観も変容していく
・人と人が共同で何かを生み出す体験
・多様性を実感できる。多元的な価値が共存する合意形成が可能。
問題点
・時間をどう生み出すか
・教師の専門性が問われてくる
・円が大きすぎる。
たとえば30人とすると、1人1分話したらそれだけで30分。
まあ、パスする人も多いのでそれほどはかからないが、感謝の言葉は15分はかかる。
議題によっては、小さい円4つくらいに分けて、それぞれのグループで解決策を話し合い、後で発表し合うのもいいと思う。また、同じような問題(悩み)が議題としてでていたら、
「ここの円は、○○さんの問題について解決策を考えてあげて」
「ここの円は、□□君の問題解決ね」
としてもよい。
運営方法はあくまでもプランなので、臨機応変に。
おまけ
クラス会議(に限らないけどね)に求められる教師の基本姿勢
・子どもを尊敬すること。信頼すること。子どもたちには自分たちの問題を解 決する能力があるし、前向きなエネルギーがあります。
・失敗を認めること。
失敗こそ学びのチャンス。おこってはなんにもならない。(といっても怒ってしまうのだが・・)
「この解決策はうまくいかないなー」と思っても、じっと我慢(人権に関わったり、誰かが傷つくような解決策は除く。そういうときは教師の出番)。
・教師自身がクラス会議を含む仕事全体を楽しむこと。
(教師がどうクラス会議や子どもたち、授業を考えているかは必ず伝わる。)
あとは、本をじっくり読んでください。
ボクが書いたのはあくまでもエッセンスです。
是非本をじっくり読むことをお薦めします。
かなり有用な方法であり、また本も素晴らしい本です。
ボクはもう4度以上読んでいます。
一昨年の4年生では、学級がこのクラス会議を中心に動いていました。
子どもたちが自立していくのを実感として感じました。
* * *
何だかがんばっていたんだなあ。10年前の自分。
負けてられないぞー!