3年前にスタッフと共有していた本のリスト。
風越でカリキュラムづくりをする上で、スタッフに「必読ですよ」
と伝えていた本。3年前のリストなので、もうちょっと古い感じもするね。
実際どれくらい読まれたんだろうか。
まだ読んだことがない人はぜひ。
★前提
何度読み返しても発見あり。さらっと読み流していたところが、読み返すと「がつん」と入ってくることがあります。
ちなみにぼくの『教育の力』はもう3代目。
★子ども、幼児教育
子どもの世界をどうみるか 行為とその意味 (NHKブックス)
- 作者: 津守真
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 1987/05/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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しんさん(本城)と岩瀬が最初に共有した本。
★自己主導の学び、学びの個別化
わかりやすいので追加。まずはこれを読むといいかも。
ようこそ,一人ひとりをいかす教室へ: 「違い」を力に変える学び方・教え方
- 作者: キャロル・アントムリンソン,Carol Ann Tomlinson,山崎敬人,山元隆春,吉田新一郎
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2017/03/17
- メディア: 単行本
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ブレンディッド・ラーニングの衝撃 「個別カリキュラム×生徒主導×達成度基準」を実現したアメリカの教育革命
- 作者: マイケル・B・ホーン,ヘザー・ステイカー,小松健司
- 出版社/メーカー: 教育開発研究所
- 発売日: 2017/04/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ライティング・ワークショップ―「書く」ことが好きになる教え方・学び方 (シリーズ・ワークショップで学ぶ)
- 作者: ラルフ・フレッチャー,ジョアン・ポータルピ,小坂敦子,吉田新一郎
- 出版社/メーカー: 新評論
- 発売日: 2007/03/01
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リーディング・ワークショップ?「読む」ことが好きになる教え方・学び方 (シリーズ《ワークショップで学ぶ》)
- 作者: ルーシー・カルキンズ,吉田新一郎・小坂敦子
- 出版社/メーカー: 新評論
- 発売日: 2010/07/10
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★協同
- 作者: リンダダーリング‐ハモンド,Linda Darling‐Hammond,深見俊崇
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2017/05/26
- メディア: 単行本
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★探究
たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」
- 作者: ダンロスステイン,ルースサンタナ,Dan Rothstein,Luz Santana,吉田新一郎
- 出版社/メーカー: 新評論
- 発売日: 2015/09/04
- メディア: 単行本
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作ることで学ぶ ―Makerを育てる新しい教育のメソッド (Make:Japan Books)
- 作者: Sylvia Libow Martinez,Gary Stager,阿部和広,酒匂寛
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2015/03/25
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★学校づくり
アメリカの教室に入ってみた: 貧困地区の公立学校から超インクルーシブ教育まで
- 作者: 赤木和重
- 出版社/メーカー: ひとなる書房
- 発売日: 2017/01/16
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イギリス教育の未来を拓く小学校 「限界なき学びの創造」プロジェクト
- 作者: マンディスワン,アリソンピーコック,スーザンハート,メリージェーンドラモンド,藤森裕治,新井浅浩,藤森千尋
- 出版社/メーカー: 大修館書店
- 発売日: 2015/07/01
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★必読まで行かないけど読むといいなという本
- 作者: デボラ・マイヤー,北田佳子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2011/03/30
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作家の時間―「書く」ことが好きになる教え方・学び方(実践編) (シリーズ・ワークショップで学ぶ)
- 作者: プロジェクトワークショップ
- 出版社/メーカー: 新評論
- 発売日: 2008/04/01
- メディア: 単行本
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読書家の時間: 自立した読み手を育てる教え方・学び方【実践編】 (シリーズ・ワークショップで学ぶ)
- 作者: プロジェクト・ワークショップ
- 出版社/メーカー: 新評論
- 発売日: 2014/04/18
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せんせいのつくり方 “これでいいのかな"と考えはじめた“わたし"へ
- 作者: 岩瀬直樹,寺中祥吾,プロジェクトアドベンチャージャパン(PAJ)
- 出版社/メーカー: 旬報社
- 発売日: 2014/09/25
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かかわり方のまなび方: ワークショップとファシリテーションの現場から (ちくま文庫)
- 作者: 西村佳哲
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2014/10/08
- メディア: 文庫
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今なら例えば下の本を足すな。
本当に痛い思いをし続けているのは、その先にいる子どもだ。
ぼくの恩師から学んだこと。
「授業はうまくいっているときが要注意なんだよ、岩瀬さん。」
授業に流れができてしまっているから、その流れの中で、本当のことが言えなくなってしまっている人がいるかも。
授業者が「うまくいってると思っているとき」は、起きていることが見えにくくなっていく。バイアスがかかる。そういう時こそ要注意。
→いやあこれは授業に限らないなあ・・・・
「授業の中で気楽に振り返りをするけれど、それは本当に子どものためになっているのか?」
振り返り(に限らず、授業の中でのさまざまな活動は)、子どもの求めではなく、教師の求めで行われていることが多い。
例えば授業の最後は「振り返り」と定型化すること、帰りは必ず振り返りジャーナルを書くことは本当に意味があるのか?
常に「子どもにとってどういう意味があるのか?」を問いながら、子どもにとって必然性のあるタイミングなら振り返りをやる意味がある。
「振り返る=対象から引きはがす」行為にもなりかねない。活動に没頭しているときに止めるほどの必然性があるのか。たった1時間程度の授業で、毎回振り返る必要があるか。その活動は教師のためなのか、子どものためなのか。活動をとめるとはどういうことなのかを絶えず問うこと。
→確かに振り返りで閉じるのではなく、明日へ続いていく「開いた状態」で終わったっていい。形骸化すると意味がなくなることって多い。目的が手段に入れ替わるから。子どもの必然性からシンプルに考えること。なんのためかに常に戻ること。
「リフレクションは、ある種の自己否定を伴うので痛い。だから避ける人が多いし、フィードバックを嫌う。でも本当に痛い思いをし続けているのは、その先にいる子どもだ。」
→なんと痛烈なことば。プロであり続けるとはどういうことか。人の成長に関わるとはどういうことか。僕自身もリフレクションの質を上げなくては。痛みに向き合わなくては。スタッフ、子どもたちがその先にいる。
お話を伺ったときにノートにメモしておいた言葉なんだけど、今読んでも突き刺さる。
「はじめに子どもありき」という言葉は、言葉としてはシンプルだが、そうあり続けることは本当に難しいことなんだと言うことに何度も立ち戻りたい。
ストレッチゾーン(知的な負荷)
このブログは、軽井沢風越学園のことからはちょっと離れたことを書いていく予定です。風越のことはホームページに書いているので読んでくださいね。
さてさて。
ぼくの公立時代の実践群は全体像としては、
「のんびりしていて自由そう」と伝わることが多い。
楽しそう、は合っていると思う。でも少なくとも「のんびりしていそう」は違う。
例えば「教室リフォームプロジェクト」だけを見ると楽しそうだし、のんびりしてそう。しかしそれは「自分たちの環境をよりよくしていく責任を自分たちで負う」とイコールなので、維持、改善にも自分たちで取り組まなくてはならない。授業参観前になると、いそいそと掃除を始めるのは子どもたち。使いにくかったら変えるのは自分たち。給食便りが貼っていなくて今日の給食を確認できない責任も自分たち。
リーディングワークショップにおいても、例えば6年生では大きなゴールを「好きかどうかは別として、卒業までに『モモ』が読めるようになる」と設定していた。(蛇足だが「大きなゴール」 なので全員に適用しているわけではない)。
『モモ』をよんだことのある人は想像つくと思うが、これはなかなかハードだ。そのためには1年間で相当の量読む必要があるし、実践も相当工夫する必要があるし。なにより伴走者であるぼくもなかなか大変だ。でもたいていはなんとかなるもんだ。
算数においても自由進度の学びの中で、得意な人も苦手な人ものんびりしている暇はなかった。それぞれ「自分のチャレンジ」に向けて常にストレッチゾーンの中にいたと思う。授業は30分過ぎたあたりから集中力がグッと高まっていった。45分ではおさまらない。タイムマネジメントも自分でする。見通しを持ちながら調整していくのは大人だって難しい。「やらされる」ではなく「自分でやる」のだ。
振り返りジャーナルは毎日2ページ書くのは当たり前。毎日さまざまな問いで深めていく。自分をメタに眺める。
楽しいぶん大変。大変なぶん楽しい。
教科融合のプロジェクトにおいても、やりがいがあるぶん、(知的な)負荷もけっこうかかっていたと思う。
「〜したい」という情熱から出発するということは、ややもすると、その人自身が安心できる、手持ちの経験や力でそれなりにできるものを選ぶことにもなりかねない。伴走者である大人は、手持ちの力を超えるチャレンジになるようなサポートが必要だ。それは足場を作ることだし、時には刺激の場面をつくることだし、提案することだし、高い壁になることだし、本物につなぐことだ。
「ヒー、大変だー!」と大変そうに楽しそうに探究する。
ストレートに言えば、Hard funになっていない限り、それは「ゆるい学びごっこ」にすぎない。
本人の成長実感こそが次の「〜したい」を生む。自分への信頼、自分の可能性への信頼を育てる。そのためには大変だけど楽しい!となっているかどうかは鍵だ。
「居心地がいい」だけではあっという間に陳腐化していく。
プロジェクトの学びでここ数年話題のHigh Tech High。
ここで描かれている生徒たちのプロジェクトの学びの様子は、圧倒的にハードであり、ハードであるからこそ楽しく、そして本人が成長実感を感じている。
そこには「なぜ学ばなくちゃいけないの?」という問いは生まれない(生まれにくい)。実感しているからね。このドキュメンタリー、レンタルで見られるのでぜひ見てほしい。学ぶとはどういうことか考えますよ。
この映画を見てハマった人は、この本をどうぞ。
PBL の本の決定版ですね。
「イワセンのクラスは自由で楽でいいなーとかいうやついるんだよ!わたしらこんなに苦労してるのに!だれより勉強してるっちゅうの!」
と吠えていたクラスの子を思い出すな。
学級づくりを考えるシリーズ。関係性のつなぎなおし。
若い先生から、学級経営について相談を受けました。子どもの関係が固定化して、小グループごとに対立している、と。
個人的に返信しようかとも思ったのですが、もしかしたら他にも同じような悩みを抱えている人もいるかも、と思い、せっかくなのでここにまとめて返信とします。
アメリカの経営学者、チェスター・バーナードは組織を成立させる3要素として3つあげました。この3つが円滑だと組織はうまくいき、一つでも欠けると組織がうまくいかない。その3つはなんだと思いますか?
学級もそうだし、スポーツチームもそうだし、職員室もそう。どの組織にも共通する大事な要素が3つあるそうなんですよね。
この3要素は、自分の学級を分析する時の視点にもなりますし、職員室がうまくいってるかなを測る視点にもなるし、スポーツチームがうまくいってるかな、を眺める視点にもなります。
単語で3つ。ちょこっとメモしてみてください。
バーナードはこの3つをあげています。
・共通目的(ゴールやビジョン)
・貢献意欲
・コミュニケーション
1つ目は共通目的。ビジョンやゴールと言い換えることもできそうです。これがあるから組織として集うわけです。私たちの組織は何を目指しているのか。私たちの組織にはどんな社会的意義があるのか。その目的は「わたし」とどうつながっているのか。
2つ目は、貢献意欲。この組織がよりよくなるために貢献したいとか、このチームが目指してる共通目的に向かえるように貢献したいという貢献意欲がそれぞれのメンバーにあるかどうか、です。
3つ目はコミュニケーション。その組織の中でコミュニケーションの豊かさはどうか。コミュニケーションの質が高いかどうかで、その組織が良い組織がどうかがわかるですって。言われてみればその通りですよね。対話的な関係が築かれてる組織はやっぱりよい組織。言いたいことが言い合える、何を言っても大丈夫を思える心理的安全性はこのコミュニケーションの質にかかっています。
この三つで組織がうまくいってるかとか、良い方向に進んでるかを分析することができるようです。共通目的がみんなで共有されていて、そこに対する貢献意欲がそれぞれのメンバーの中にあり、そのメンバー間のコミュニケーションが豊かであるかどうか。
その視点で教室をもう一度眺めてみましょう(ついでに職員室も・・・・)。
ちょっと古いですが、ラグビー日本代表はまさにこの3要素の質が高そうに見えました。明確な共通目的があって、それぞれのそこへの貢献意欲ものすごく高く献身的で、しかもコミュニケーションがめちゃくちゃ豊かなんですよね。
教室もこの視点で見ることができます。自分のクラスは共通目的あるけど、そこへの貢献意欲はないな・・・この目的そもそも担任の目標になってるだけかも…とか、コミュニケーションは結構してるけど、そもそもどんな学級になると素敵だとか、そこに自分はどういたいなどの共通目的がないなとか。職員室も同じように分析してみることができそうです(ああ耳が痛い)。
学級でもう少しわかりやすく翻訳してみましょう。
まずはポジティブなコミュニケーションを増やす。貢献意欲のところは、お互いの成長に貢献しあったり、学びあったり、助けあったりする関係性を育んでいこうということ。三つ目は共通目的。こんな学級になるといいよね。こんなコミュニティになるといいよねっていうイメージを当事者である子どもと一緒に共有するということ。この三つが学級を考えていく上で、この視点があると見えてくることがあると思います。
図にするとこんな感じですよね。共通目的があり、そこへの個々の貢献意欲が高く、そこの間のコミュニケーションはとても豊かであるということ。
それを支える、一緒に進んでいく人が、先生と言われる人の役割っていうふうに、僕は考えています。
じゃあ、そのために、具体的な一歩目、どこからいったらいいのか。共通目的からスタートしたらいいのか。貢献意欲を育てるところからスタートしたほうがいいのか。コミュニケーション豊かにするところからスタートしたほうがいいのか。
どこからスタートするのがいいと思いますか?
まず手を付けるべきは、コミュニケーションの量を増やすことです。豊かなコミュニケーションが成立してない学級は、目的を共有することも、そこへの貢献意欲を育むこともできません。
組織づくりの第一歩は、ポジティブなコミュニケーションの圧倒的な量を増やすことです。それは休み時間だけでは無理なので、日々の授業の中でも圧倒的にコミュニケーションの量を増やすことが学級づくりの第一歩になります。
量がたまるとどこかのタイミングで質的な変化が起きます(量質転化の法則)。そのためには、まずは量です。
僕ら教員って最初から質を求めてしまいがちです。
しかし、いきなり学級目標を!とか、いじめはいけません!の話なんて重い。
本音を言えるわけがありません。たくさんのコミュニケーションが貯まってからこそ、少しずつそういう深い話もできるようになっていくのです。
これは大人で考えるとわかりやすい。初めて出会った人に人生の悩み相談とか絶対できない。「最初はどんな食べ物好き?」とか、「そんな映画好きなんだ。俺と同じだ」みたいな話を積み重ねていく中で、「実はさ」って話が少しずつできるようになっていく。
蛇足ですが、それは保護者との関係もそうです。一番最初に保護者と話をするのが子どものトラブルのときだと、仲良くなるの難しいですよね。でも日常的にたくさんのポジティブなコミュニケーションを取っておくと、「実はこんなトラブルがあったんです」「先生、大丈夫ですよ。それぐらいお互い様ですよね」と言えるような関係性ができる。まずは量を増やすということです。
では量を増やすためにどうすればよいか?
まずは関係性がまざるきっかけをつくることです。専門的にはリワイヤリングと言います。関係性のつなぎ直しです。
子どもの人間関係は(大人もそうですけど)、実はものすごく固定化されています。
登校したら、仲良しの数人とおしゃべり。授業中は黙って聞いている。休み時間のトイレもその数人と一緒に。授業中また黙っている。休み時間はそのメンバーで遊ぶ。給食のときだけグループにして、他の子ともちょっとしゃべる。今はその時間すらない。掃除は黙ってやる。放課後その友だちと遊ぶ。結局、数人の人としかコミュニケーションをとっていない、ということが往々にして起こっています。
教室のコミュニケーションは、このように小グループのクラスター化しているんですね。偏っているのです。
そこを自分で超えていくのは、年齢が上がれば上がるほどリスクが高い。関係性を編みかえてくことになるので、もしかしたら友達に何か言われるかも・・・と不安になる。それを突破していくのって結構大変です。
僕らは、どんどんいろんな人と関係広げようねって気楽に言うけど、今の関係が壊れるかもしれない。関係広げるのってものすごく大変。大人だってそうです。
職員室で、わざわざ他の学年のところに行って、あまり話したことのない同僚とおしゃべりに、なんてあまりしないのが一般的です。やっぱり不安だから、リスクだから行かない。普段よくコミュニケーションとる人に固まっていくのは、人の習性です。
人間関係の広がりは自然発生しにくい。そう思っておいてよいと思います。本当は自然発生していくといいなと思いますが、最初は難しい。
ですからリワイヤリング(繋ぎなおし)のきっかけをつくるのは、担任の大切な役割なのです。いろいろな関係でたくさんかかわってみる。うっかり関わってみたら「けっこう悪くなかったぞ」「意外とたのしかったぞ」という経験が、人とのコミュニケーションのハードルをちょっとずつ下げていきます。ですからポジティブな経験の中でいっぱい混ざるって経験を用意しましょう。
ゴールイメージとしては、もし4月に学級が始まったとすると、それぞれの子が、1ヶ月後に教室を見回したら、「あれ?きづいたら全員としゃべったことあるな」とか、「全員となんか一緒にやったことあるわ」って思えると、よく混ざったなって感じです。
「混ざりましょう」って言っても混ざらないので、うっかり楽しいことで混ざっちゃったという経験ができる機会を毎日たくさん用意しましょう。プロジェクトアドベンチャーに代表されるアクティビティの引き出しを持っているといいなと思います。
席替えも大事ですよね。今担任に戻ったら、毎日席替えして、やがてフリーアドレスにするかも!
教育心理学者の鹿毛さんは学級の「空気」について、
教室や学校が持つ「空気」は、それぞれに固有の文化や風土を背景として、その場に存在するメンバーの振る舞いを規定し彼らの状態レベルの動機づけに影響を及ぼすことになる。もちろん場に特有な文化や雰囲気は固定的なものではない。それらは、場とメンバーによる現在進行形の相互作用を通してダイナミックに創出されていく。 (鹿毛 2013)
と述べています。ではどうすればよいでしょうか?
日常的なコミュニケーションと相互に関わりあう心地よい体験の積み重ねによって相互理解が深まるとともに信頼感が互いに構築されることによって、自分の存在が受け入れられているという感覚が促され、その場が当人にとっての「居場所」となる。 (鹿毛 2013)
ここで大切なのは、「日常的なコミュニケーションと相互に関わりあう心地よい体験の積み重ね」です。先生が説教したから、語ったから、信頼感が育まれるわけではなく、そこにいるメンバー同士が、心地よいコミュニケーションの積み重ねをすることが重要です。
「より多くの人と心地よいコミュニケーションをとる機会のデザイン」、だからこそ関係のつなぎ直しが必要なのです。
一番ステキだと思うのは、「たっぷり遊ぶ経験が日常にあること」なんですけどね。
いつかに続く。
教員として30歳になるまでに。
教員になって30歳になるまでの8年間(人による)をどう過ごすかは本当に大事だと思う(サンプル数1)。
ぼくは、これまでの本に書いてきたことでもあるけれど、戦後の民間教育運動の残り香の中 の中で過ごした。
学生時代に野外教育と総合学習に出会い、伊那小に何度も何度も通った。高島小、奈良女、神戸大附属明石、緒川小、いいものにたくさんふれ、たくさんの実践記録、ビデオを見る機会に恵まれた。キャンプリーダーをやり、環境教育に出会い、野外教育に没頭した。
教員になって「クラスで牛を飼えない!」ことに気づき、気がつくと手元に何もなく。クラスがガチャガチャになり、救いを求めて毎週のように通った。
法則化にも手を出し「何!本当にこの指示で子どもがゴミをたくさん拾うぞ!うひひ」と悦に入ったりしていた。
なんか違うと思いつつ、偶然紀伊國屋書店で出会ったのが『たのしい授業』という一風変わった小さな雑誌。仮説実験授業だった。雑誌にあったサークル紹介を頼りに3つのサークルに押しかけ、毎回資料を持って行って学ぶこと5年(月3回ペースで資料を持って行っていた)。
この5年で、先人や先行実践から学ぶこと、先輩から学ぶこと、本を読むこと、子どもにきくこと、実践記録を書くこと、をたっぷり体験的に学んだ。
全20時間の授業を全てカセットテープ(時代・・・)にとり、全部テープ起こしをして「授業通信」として子どもに配り、サークルにも持っていった。とにかく記録を全て取ること、それをそのまま共有してまな板の鯉になることを学んだ。
仮説実験授業からは死ぬほど学んだああと、緩やかに離れたけれど、この経験は自分の核になっている。
初任の時、今は亡き大阪よみかたの会の山本正次さんに国語の相談をしているときに、「岩瀬さんなりの読み方のプランをつくればいいんですよ。楽しみにしていますよ」と懇親会で言われたことが、RW、WWに向かっていくときの原点になった。本当は答えが欲しくて聞いた。なのにその答えだったところがありがたい。
その価値は35を過ぎてから実感できた。
山本さん、ぼくなりに実践して発信してみました。ぜひフィードバックいただきたかった。
水道方式、徳島の新居信正さんに「上を向いて歩くのは坂本九だけでいい。我々は子どもに向かって歩くのだ」と言われて痺れた体験。今もなお自分の芯になっている。
新居さん、風越で新たなチャレンジをします。見たら小言をたくさん言われそう。
板倉聖宣さんに「蓄積に学びなさい」と言われた。本当そう。自分がやりたいことなんて、大抵先人がやっている。どこまでぼくは学べただろうか。
自信満々に実践を持っていくと、
「で、一人ひとりの子どもはそれにどう言ってるの?」と仮説実験授業の実践家、田辺守男さんに突っ込まれた。盛った実践はすぐバレた。
「鹿の角折」を何度も何度もやられた。
幸せだったな。
そういえば教員初期は園田雅春実践にも大きな影響を受けた。明治図書、いい実践本出していたよなー。畳とかは彼の影響。
仮説実験授業から離れた後は、フレネ教育、木幡寛、斉藤孝、工藤順一との「BASIC」というサークルでこれまためちゃめちゃ鍛えられた。とにかく勉強し実践するを繰り返すしかなかった。
ぼくは、戦後の民間教育に鍛えられた最後の世代かもしれない。
何度も何度も、自分の角を折られる体験をした。
斉藤孝はその後、『声に出して読みたい日本語』がヒットした。
その後吉田新一郎に出会い世界がかわる。2人だけのメーリングリストは1000を超え、死ぬほど実践記録を書き、一緒に出版するようになった。
今思えば幸せだった。当時は辛かったけれど。先人に今もなおたどり着けていないなあと途方にくれる。でも追いかけたい背中があることは幸せなことだ。
今の民間の学びの場やSNSを中心とした教師の学びに、めちゃめちゃ危機を覚えるのは、すっかり自分がおじさんになったということなんだよな。
鍛えられるが死語になった。受け入れられるコミュニティを探し、なければ作る時代になった。ググれば出会える、Twitterやインスタに流れてくる。その質は問われない。
短くつぶやくその実践が、その言葉が、なんだか「優れた実践家」に見えるようになってきた。
その中でも自分を鍛えようとしている人たちがいる。
それにぼくらは応えられていない。
まずは死ぬほど先人に学ぶといいよと思うわけだ。
修行なくして先に行けないと思うわけだ。
対話すればオールOK、振り返ればオールOK、発信すればオールOK、ということはない。
教職大学院に来るというのは、ある意味、「鍛えられる」を実感できる、先人に学ぶということを体感できる場でああった。論文読むとか当たり前になるしね。とはいえ、現場との乖離は激しいし、授業や教員による質のばらつきは正直半端ない。それでもって僕としては、新しい学校づくりに全力を注ぎつつ、校長ビギナーを満喫しつつ。引き続き教師教育に関心を持ちつつ、小学校現場→大学教員→幼稚園・義務教育学校の校長、園長と、なんとも素敵な順番で経験していることを、どう還元していこうかと思ったり思わなかったり、ラジバンダリ。
もう50だしなと思いつつ、
とはいえもっとあたらしい世界も見たいし。
まだまだ先の世界はありそうだし。昨日また面白いこと着想しちゃったし。
遺言のつもりで書いたけど、やっぱりもっと進もう。
というわけでブログ復活。
最近買った本読んだ本memo。
最近買った本、読んだ本のメモ。
★★★★★
立て続けに読んだ2冊。いやあすごくよかった。とくにHello!!workはいまのぼくにドンピシャだった。
★★★
2時間もあると読めます。AIに仕事を奪われる!と大騒ぎしなくて済む本。現状がよくわかります。
★★★
志水さんの本を読んだことがある人は読まなくて良いかも。これまでのレビュー的な本なので、初めて読む人にはオススメです。
★★★★
新書ばっかりだな。サラッと読めますが、今よんでおくべき本。「世間」とは何かに敏感になろう。
★★★★
高い!高すぎる!でもその価値がある。手元に置いておいて辞書的に使う本ですね。
えいやと読もうと思っていたら、とんでもない本が届いた。
★★★★★★
これ、とんでもない本だ。読むしかないが事典だ。これで二千八百円は安すぎる。風越の中学生にはおすすめかも。
こういう本大好き。
読書していると、自分のバランスが取れていくな。
さて読もう。
なんと9刷
ぼくの初の単著本、『クラスづくりの極意』、なんと9刷の連絡が来ました。
- 作者: 岩瀬 直樹,山中 正大,矢島 江里
- 出版社/メーカー: 農山漁村文化協会
- 発売日: 2011/03/20
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もう10年近く読み継がれていることに心から感謝です。
今読み返すと「若いなー!」と思うこともしばしばですが、
エネルギーほとばしっていて、我ながら「いいぞいいぞ」と思います。
ぼくの原点の本です。
よかったら手に取ってみてくださいね。
写真もたくさん載ってます。
なんと中川綾さん作のチームゲーム「てがみち」が綴じ込み付録でついているという実は豪華な本です。
マイナー出版社なので本屋でめったに見ないのですが、まさか10年も読まれるなんて思ってもいなかった。
編集者の伊藤伸介さん、妥協のない人で、何度も教室を見に来たり、原稿も何度も何度も書き直させられたり、人に読まれる文章を書き始めたばかりの僕を思いっきり鍛えてくれました。人に読まれるってどういうことかを教えてくれました。
その出会いがなかったら今はない。