いわせんの仕事部屋

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サークルになって話す。

最近教室で、サークルになって話し合ったり、対話したりしている場面をよく見るようになりました。アドラー心理学に基づくクラス会議、イエナプランのサークル対話、てつがく対話など、サークルになるという場のつくり方が一定の認知を得てきたように見えます。朝の会や帰りの会をサークルで行っている、という話もちらほら聞こえてきますし、ぼく自身も現場にいるころ、サークルという場をとても大切にしていました。

 

一方、サークルになることが目的化しているようにも感じています。
「何か民主的でいい感じじゃない?」的な。

 

サークルの場って簡単そうで難しいというのがサンプル数1ながらの経験知です。

 

プレッシャーがかかる
まず30人近くが丸くなって座ると、当然ですがサークルがでかい。正面の人ははるか先です。自分以外の29人の顔が見える。それは良さでもあるのですが、この中で発言するなんて実はプレッシャーがかかります。全員の反応が見えるわけだから。

 

参加度が下がりやすい
どうしても沈黙しやすくなるし、基本的に「1人が話し手で29人は聴き手」という状況になるので、「だまってきく」ことがメインになります。よっぽどそこで取り扱われているテーマに関心がないかぎり、ずっと聞きっぱなしになって参加度はグッと下がります。その内に隣とつつきあったり、意識がサークルの外にふわーっと飛び立っていったり。そうなるのは必然です。

 

一斉講義と変わらない状況
というわけで、初期の頃は学習者同士のやりとりになりにくく、先生を介したコミュニケーションになりがちです。
先生→子どもA→先生→子どもB・・・というように。
なかなか対話が生まれず、焦って先生の発話が増える。先生がつながないとコミュニケーションにならない。これでは一斉講義と何ら変わらない状況です。そもそもなんでサークルなんだっけ?という問いが生まれてきます。

 

何のためにサークルになるの? サークルになることのよさと難しさは?

これらの問いを考えなら、ではどうしていくのがいいかを検討し、試行錯誤したいです。

さらにいうと、場で起きていること、一人ひとりの子どもが、その場で何を経験し、結果として何を学んでいるか?という問いも持っていたい。 サークルで大切にしたい価値とは逆のことが結果として伝わってしまっていることもあり得ます。

 

繰り返しになりますが、人数の多いサークルの場ってなかなか難しい。

誰でもどこでもうまくいく方法はないし、コンセプトがいいからといってうまくいくというものでもない。そこには目的とつながる実践知が必要です。 実践知を磨くには、試行と振り返りのサイクルをグルグル回すこと。フィードバックをいかすこと。

 

ちなみにぼくは、かなり構成的にサークルの場をつくっていく派でした。
小さな足場かけをつくり、成功体験を積み重ねていく派でした。

例えば、毎日たっぷり読み聞かせをすること。「きくって楽しい」という体験を山ほど積み重ねること。ペアで聴きあう体験をたっぷりすること。小さなサークルからはじめること。等々。それでも30人のサークルが自然になっていくには、たくさんの壁が存在します。この続きはまたいずれ。

以下はある日のサークルの様子です。

 

   *  *  *

 

「朝のサークルタイム」
月曜日の朝は、なんとなく子どもたちが疲れて見える。
スポーツ少年団での練習や試合のあった人、
遠出をして帰ったばかりの人、
ついつい夜更かしをした人。

全体的になんとも調子が出ない感じ。
ぼくもまた、ちょっとボーッとしていたりする。

 

そこで月曜朝は決まって「おはよー!」とあいさつをした後、

「土日どんな風に過ごしていた?」
というテーマで、2,3人で対話する。

まずは少人数でたっぷりチェックイン。全員の前で話すのはプレッシャーもかかる。数人ならたくさんの人が話せる。
いろいろあった人もなかった人も、ワイワイと楽しそう。

「野球大会だったんだけどさあ・・負けちゃった−」
「雨降ってたからずっと家にいたよー」
「父の日の準備始めた?」

漏れ聞こえてくる声をききながら、元気かな−、つかれてないかなーと子どもたちひとり一人の様子を見る。

 

3分くらい話した後、数人の人が全体にシェアする。
「だれかみんなに話してくれる?」
「じゃあ、おれが」と、Kくん。

「土曜は朝は10時頃起きて、お母さんに怒られながらパンを食べたんだよね」
 起きるのおっそー!

子どもたちからつぶやきがもれる。
(日頃から「幸せなら態度で示そうよ」と話していた。ウナウナと頷いたり、小さな声で反応したりすると話し手は「ああ聞いてくれているんだなあうれしいなあ」って伝わるよ、と。)

「昼ご飯は食べなくて−、で。部屋の片付けしろって母さんに怒られたから、いやいややって〜」 あはは

「夜ご飯食べて、1日終わった−。」 
わはははは!なんにもしてないじゃん!

さまざなつぶやきがもれる。

「日曜はなにしたっけなー、午前中部屋の片付けして」どんだけ汚いんだ!
「午後は部屋の片付けしてるっていいながらゲームして、夜ご飯食べて終わった−。
雨降っちゃうと野球がないから急にやることなくなるんだよねえ〜 」
ああ、わかるー。

外のスポーツをやっている子達から共感の声。


たわいもないこんなことを、みんなで笑ったり、うなずいたりしながら、クラスの波長をゆっくり合わせていく時間。,こんな感じでゆるやかな1週間のスタートを切る。

 

   *  *  *

聴き手である人たちの反応は、読み聞かせをしているときの反応にちかい。

読み聞かせの経験と、サークルで人の話を聴くことは実はつながっていたりします。

 

サークルにまつわる記事は以下にもあります。

iwasen.hatenablog.comhttp://iwasen.hatenablog.com/entry/2015/10/20/191606

 

iwasen.hatenablog.com

 

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