いわせんの仕事部屋

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いい本が増えてきて震える。

8月末から研修などなどで、バタバタバタバタと移動しまくり仕事しまくりで、腰を痛め、でも仕事はなくならず、2つの原稿をようやく書き終え、明日〆切の原稿の目処がつかない、でも来週末の熊本のワークショップのパワポも作らなくてはいけない、という絶望的な状況にいますが、元気です。

 こういうときこそブログを書きたくなるのは、大学受験の勉強をしているときに、なぜ中学の卒業アルバムを見たくなる、あの感じに似ています。

8月、いい本にたくさん出会いました。これはシェアしたい、と思う本に絞ってメモ書きしていきます。 

 

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『なぜ「偏差値50の公立高校」が世界のトップ大学から注目されるようになったのか?』日野田直彦著

 

楽しみにしていた本。昨晩一気に読みました。

いやあおもしろかった。特に1年目の、ある意味泥臭い取り組みは、校内研修の改革に取り組んできた身としては、「ほんとそうだよなあ」と共感しきり。そのプロセスが記述されている本は少ないのでとても貴重です。

興味深かったのは、学校改革を考えると一般には「授業改革」「授業改善」から手をつけたくなるのだけれど、日野田さんは徹底して、教師と生徒の「マインドセット」が変わることにフォーカスしている。

人の力を信じているからこそのアプローチです。教師のマインドセットが変われば自然に授業も変わっていく。その原動力は教師自身の体験であり、生徒の変化。

これは実は学級経営も同じなのですよね。マインドセットが変わるためには、自身の成長を感じる小さな成功体験の積み重ねが重要です。そこを焦らず丁寧に丁寧に取り組み、教職員を当事者にしていくプロセスはぜひ読んでいただきたいところです。

この4月から、武蔵野女子学院中学校・高等学校の校長に赴任されています。ここでまたどんな改革が行われるのか楽しみです。大いに刺激を受けた本でした。

 

 ②

目からウロコ!驚愕と共感の自閉症スペクトラム入門

目からウロコ!驚愕と共感の自閉症スペクトラム入門

 

 今夏ナンバー1です。赤木さんの本は、

アメリカの教室に入ってみた: 貧困地区の公立学校から超インクルーシブ教育まで

アメリカの教室に入ってみた: 貧困地区の公立学校から超インクルーシブ教育まで

 

をもう何度読み返したかわからない、というぐらい読んだ名著があるのですが、新刊がまたすごい。

学校教育に携わっていると、ついつい「今できていないことをどうやってできるようにするか」という視点で見てしまいがち。できないことができるようになることが教育だと。赤木さんはそこをずばっと指摘します。

 

実践において大切なことは「できないことをできるようにする」のではなく、本人が自分で変わっていく力をもっているので、その力を発揮して自分で変わっていくためには何が必要なのだろうかと考えことです。
大人が子どもを発達させることはできません。子供自身が発達するのです。

 

子どもを変えるのではなく子供がかわる。「子供が変わる」土台を作ることであり、その土台は、子どもの今の関心や能力を出発点にすることです。

情景が想像できるエピソードから、ずばずばと今の教育の当たり前を問い直すきっかけを与えてくれる本。個人的には、「手持ちの能力の全面的開花」というアプローチがまさに「目からウロコ」。これまでの自身の実践のよいところも悪いところあぶり出され、問い直す視点となりました。

教えることの原点は、今、子どもがもっている能力が全面的に開花・表現できる土台を創ることです。子どものもっている能力が開いていくさまは、きっとまわりの者の心を揺さぶりますし、その関係の中でこそ、発達の芽が育ちます。

特別支援教育に関心がある人向けのタイトルに見えますが、教育に関わるすべての人が読むべき本だと思います。

あれ、Amazon取り扱っていないみたい。こちらなら買えそう。

honto.jp

赤木さんの、

「気になる子」と言わない保育―こんなときどうする?考え方と手立て (保育実践力アップシリーズ)

「気になる子」と言わない保育―こんなときどうする?考え方と手立て (保育実践力アップシリーズ)

 

 もまたすごい本。この赤木三部作(勝手に命名)は、必読書です。

上記の本は、あすこまさんの書評以上のものは書けないので、ぜひそちらを。

 

askoma.info

 

Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ

Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ

 

これまたすごい本。いやーこれもナンバー①といいたくなる本だな。

人の学びに関わっている人必読。この書評はあらためて書こう。丁寧にノートにまとめながら読みました。授業改善やワークショップのプログラムデザインのヒント満載。様々な学習科学の知見にも触れられていて、概観するのにもお薦めです。

 

成績をハックする: 評価を学びにいかす10の方法

成績をハックする: 評価を学びにいかす10の方法

  • 作者: スターサックシュタイン,Starr Sackstein,高瀬裕人,吉田新一郎
  • 出版社/メーカー: 新評論
  • 発売日: 2018/06/28
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

 吉田新一郎本にはずれなし。成績や評価の概念が変わります。

この本に書かれていることが一般的になると学校での学びは大きく変わるな。さて、どう実装していこうか。

 

⑤前に、

iwasen.hatenablog.com

を紹介しましたが、この本の評価版、

『一人ひとりをいかす評価:学び方・教え方を問い直す』もでました。

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『一人ひとりをいかす評価:学び方・教え方を問い直す』

 

これから読みますが、この本もまた必読なのだろうなあ。原稿できたら読もう。

でもちょっと読んじゃおうかなあ。ああでも・・・・・・・

仕事に戻ります・・・・