いわせんの仕事部屋

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日々の振り返りをどう書くか?

で、どう振り返りを書くかという問題ですが(昨日の続き)。

ぼくは今のところこんな風にまとめています。

 

教員版 「振り返りジャーナル」の進め方    2018年9月4日版


○なんのためにやるの?
・自身の実践の記録のため
・自分自身と対話するため
・経験はそのままでは流れていってしまいます。経験を記述して、あらためて眺めてみることで、その時には気づかなかったことに気づいたり、新たな発見、成長のポイントが見つかりますつまり振り返りを続ける理由は経験から学んで成長するためです。
・子どもたちの成長や変化、自身の成長や変化に敏感になります。振り返りを続けることで、自身のアンテナが磨かれていくんです。
・伴走者、フィードバック相手がいることで、一人では得にくい気づきが生まれる(可能性が高いです!)。
・やがて一人で「振り返って成長し続ける力」になるはず。

 

○大切なポイント
①「1日あたりの時間」と「やるタイミング」を決めましょう。(30~1時間ぐらい)
 自身の現実的制約に合わせて「無理なく続けられる時間」と「いつやるか」をきめましょう。
 ちなみにぼくは授業中に「ここ」と思ったところを写真に撮り、またメモもしていました。それを基に放課後、40分で一気に書き上げていました。(後述しますが、写真をとるのはおすすめです。振り返りが貯まり、読み直すときに鮮やかにイメージが蘇ります!実感済み。)「いまここ」を逃すとあっという間に経験が流れていってしまい、無意識の中で解釈が進んで気づきが薄れていきます。


②毎日続けましょう。
 つきなみですが「継続は力」なり、です。
 とにかく毎日です! うまくいかなかった日、感情が揺れた日は、そこを直視するのはつらいのでつい書きたくなくなってしまいます。 そんなときは、あった事実だけでもよいので書いておきましょう。後で落ち着いたときにその時の意味を見直すことができます。
 
③具体的なエピソードを記述しましょう。
後で読み返して情景が浮かぶように書きましょう。 エピソード記述については、参考文献はたくさんあります。『エピソード記述」で検索してみてください。

 
④個人情報に気をつけましょう。
 個人情報の保護は重要です。子どもたちは本名ではなく仮名を使用しましょう。
 記録には写真を撮ることをおすすめしますが、写真を撮ることに関しては勤務校の状況に合わせて許可を得るなどしましょう。
 また、振り返りの記録用には、「子ども(の顔)が映っていない写真」もあわせて撮っておくと、後々その振り帰りを基に資料を書いたり発表したりするときに便利です。

 

⑤「きれいな物語」にしてしまわない!
ついつい美しく書いてしまいたくなる。辛いポイントは目をつぶりたくなる。
自分をできる人に見せたくなる。でもそもそも振り返りは自分の成長のため。読み手に評価されるためではありません。素直に、率直に残しておくことをおすすめします。 自分語りにならないよう、起きているエピソードにフォーカスしましょう。言葉にならないときは事実だけを書いておいて、それについての振り返りは、将来読み返したときにやることにしましょう。


⑥休日には「振り返りの振り返り」を。
土日どちらかには、それまで1週間を読み直し、「あらためて読み直してどんな気づきがあるか」をざっくばらんに書き留めてみましょう。これが意外に効果的!

 

⑦ポジティブとネガティブのバランスを。
ネガティブな面ばかりでは疲れますし、ポジティブな面ばかりでは、大切なことを見失うかも。
バランスを心がけましょう。

 

○書き方
いくつかの書き方があります。ぼくは記録を兼ねていたので1日の流れに沿って朝から帰りまで細かく書いていく、という方法でした。ただし、時間がかかります。
そんなときは自身で「振り返りたいトピックを決めて振り返る」がよいでしょう。

①振り返りの場面と選んだ理由
② その場面・状況を具体的にエピソードとして記述。(読み手に伝わるように具体的に!セリフなどもそのままいれるとよい)
③ そのときの感情はどのようなものであったか? (自分、子ども視点)
④ そのとき、私はどんな行動や判断を行ったか?
⑤その場面を今あらためて振り返るとどんなことを考えたり、感じたりするか。(自分、子ども視点)
⑥振り返りから学んだこと、気づいたこと、モヤモヤしたこと。
⑦明日(以降)に活かせそうなことは?
⑧その他自由に。

 

 

1日の流れに沿って振り返る場合も、
・振り返りとして深める場面 (事実)
と、
・記録として残しておくところ (解釈)
を分けましょう。

 

記録として1日を書き進めていき、気になるトピック場面で上記のように深めていってもいいですね。

自分ひとりで書いていては、視点が固定化します。ぜひ他者と読み合い、フィードバックし合うことを日常化することをおすすめします。自己強化の振り返りほどつまらないものはありません。

『学習する学校』には以下のように書かれています。

振り返り 思考プロセスのテンポを遅くして、どんなふうにメンタル・モデルをつくるかに自覚的に気づくこと

探求 自分の見方を他の人とオープンに共有し、お互いの前提についての知識を高め合う対話をすること

 後者の探求が抜けている振り返りは、自己強化で視野がどんどん狭くなっていくことになりかねません。他者の存在がどうあればいいか、は昨日のエントリーや、以下の本をご覧ください。

みんなのきょうしつ

みんなのきょうしつ

 

 

 

               *  *  *

 

ちなみにいま一般社団法人軽井沢風越学園準備財団で行っている風越コラボでは、この発展版にチャレンジ中。ラーニンググループで振り返りを共有しはじめています。

iwasen.hatenablog.com

 

振り返りこそ学び、は大人も子どもも同じだと思います。

ぼくら自身が日常的にに振り返りを書き、振り返りの良さや価値を実感していないのに、子どもに「ぜひ振り返りを!」とは言えませんよね。

「振り返りジャーナル、クラスの子が書かないんですよね・・・」という悩みの答えは、案外「私がその良さを実感している」にかかっていると思います。

さまざまな振り返りの記述を持ち寄り、ぼくらの成長に寄与する振り返りって?を深めてみたいです。

みなさんは、どんな風に日々を記録し振り返っていますか?