いわせんの仕事部屋

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自動化と無能化

今日は横浜の「りんごの木」の参観。早く家を出たら、ずいぶん早くついちゃったので、カフェで朝ごはん食べながら、心に綴り行く由無し事を。


去年の秋にスバルのインプレッサに乗り換えました。中古です。

 

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 かっこいい。この車、「アイサイト」という機能が付いていてこれがなかなか便利。

前の車に一定の車間距離でついて行ってくれたり、線からはみ出すと「はみ出し注意!」という文字とともに警告音が鳴ったり、前に近づきすぎると「前方注意!」という文字とともに警告音が鳴り、自動ブレーキもついてる。運転者はハンドル操作だけしてればいいというわけです。安全安全。特に高速道路は本当に楽で、ちょっとした渋滞でも、前の車にゆるゆるついて行ってくれるので以前よりずっとストレスがなくなりました。

 


最近軽井沢に通う機会が多く、片道120キロぐらいあるんだけれど、距離ほど負担を感じなくなりました。運転アシスト機能万歳!この車にして本当によかった。

 


で。妻はステップワゴンに乗っているわけですが、先日、家族でちょっと遠くのイオンまで高速に乗って買い物に出かけたときのこと。

久々にステップワゴンを運転。

「あー、運転感覚随分違うなー。ふんふん♩」

なんて運転していたら助手席の妻から一言。

「あなた、車の運転下手になったんじゃない?」

曰く、ブレーキを踏むのが遅くなったし、なんかフラフラしている感じがすると。やたらよそ見をするようになったと。

むむむ。自覚は全くなかったのですが、しばらく運転していると「やっぱり下手になってる。乗ってて怖い!注意が散漫!」

どうやらこの半年で本当に下手になったようだ。

「自動運転に慣れすぎてるんじゃない?」と妻。

いや自動運転じゃないんだけど、という無意味なツッコミは飲み込んで、言われて見るとそうかもしれない。車が注意してくれているから、ちょっとずつそこへの信頼(という名の依存)が生まれて、ぼーっと運転しているのかも。言われてみれば以前ほど気をつけて運転していないなあ。時速も調整してくれるのでアクセルに注意しなくていいし、はみ出しそうになると教えてくれるし。やたら景色を見る余裕が出た気もする。

その機能がない車に乗ったときに、つまり自分の能力で運転しなくてはならなくなったときに、使わずに退化した能力を突きつけられたわけです。


いやあ、おそるべし運転アシスト機能。そういえばナビを使うようになってから、色々な場所での地理感覚や方向感覚もかなり鈍ってるな。

 


そういえば似たような心当たりはまだあるぞ。

我が家は共働きで、子育て3人をしながらのバタバタ生活を長らくしていたので、晩御飯は食材宅配サービスの「ヨシ◯イ」を愛用していました。仕事場を飛び出し、学童にお迎えに行って家に帰ると、今日の夕食分の食材が届いている。食材によってはもうすでに切ってある。

あとは付いてくるレシピ通りに作れば、30分〜40分で夕食が出来上がり。そこそこ美味しくて、栄養バランスにも配慮が行き届いている。

 


我が家はこのヨシ◯イのサービスにどれだけ助けられたか。買い物の時間も調理の時間も短縮できてほんとうに助けられました。ありがとうヨシ◯イ。

妻と交代交代しながら、10年近く晩御飯作りに勤しんできました。家に帰ってテキパキ料理してました。それを続けたらさぞかし料理上手になったと思われることでしょう。

それが全然できるようになってないのだ!!悲しいことに。

 


毎日ひたすらレシピに書いている通りに作っているだけで、何故ここでこの調味料を使うのかよくわからない。書いてある分量通りに「大さじ1と3分の1か」と機械的に入れるだけ。「味付けは大体これくらいだな」とか、「ちょっと味が薄い気がするから調整しよう」とか全然応用が利かないのです。なぜ今日、この調味料を使うのか、なんて考えないので、味付け力が身につかない。。

「食材も測られて、必要な分だけ送られてくる」ので、どの料理に何が必要なのかが全然学ばれていかない。時々一念発起して、今日は買い物してご飯を作ろう!と思っても、「八宝菜に必要な材料は◯◯だから、買い物してこよう」という知恵が身についていない。レシピが必要なのです、レシピが。

なんで中火なのかわからない。強火じゃだめなの?なんて疑う事もなく、書かれている通り中火にするだけ。でも美味しいのができるのです。だから10年間困ったことはありませんでした。

 


そして今、はたと気付くのです。10年も料理を続けてきて、何もできるようになっていない、と。手際だけはよくなりました。包丁使いも上手。

でもレシピがないとだめなのです。食材を選んでもらわないとだめなのです。10年も時間を割いてきたのに、自分のノーミソを使ってこなかったばかりに・・・・・・・応用できない。

そのサービスを手放した今、つまり自分の能力で料理しなくてはならなくなったときに、使わずに伸びなかった能力を突きつけられたわけです。


もっと積極的にこのサービスを活用していればこうはならなかったはず。美味しい料理を作れるようになったはず。意識して自分の「料理力」につなげる方法はあったはずです。勿体無いことしたなあ。

 


個別最適化してくれるサービス、痒いところに手が届き、自動でやってくれるサービスが、人の力を無能化する。

これって気をつけないと、これからの学校教育にも起きかねない。

例えば個別最適化された学習。

「個別最適な問題を自動で選んでくれてその問題を解いていったらできるようになっていく!という学び方」にも同じことが起きる可能性がありそう。自分で自分の学びをデザインしたり、振り返って改善したり、ができなくなる危険性がありそう。

口を開けて最適を待つ子を育てかねない。

このあたりは慎重に考えていく必要があるな、と妻からの叱責から思い至ったわけです。

 

とはいえ、今日は早朝から横浜まで長距離ドライブだったので、運転アシストに助けられてラクラクでしたー。一度知るとやめられません……