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いわせんの仕事部屋

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書評『チームの力』

西條剛央さんの『チームの力』読了しました。


いやー、夢中になっちゃいました。
苫野一徳さんに授業を見ていただいたり、桐田敬介さんに講座で学ばせていただいたり、と、よくわからないながら、身近に感じていた「構造構成主義」。


「構造構成主義」による組織論は、これからの学校組織、学級経営にも参考になる本質が詰まっていました。
今回は「学級」に当てはめて考えてみます。


「集団とは単なる人の集まりであるのに対して、組織とは『何らかの目的を達成するための有機体』なのである。 〜 まずリーダーがやるべきことは、チーム作りのすべての判断基準になる「目的」を明確にすることである。どういうチームメンバーが必要で、どのような戦略が有効で、どういうリーダーシップが求められるのか、すべてこの『目的』を抜きに考えることはできない。」(p45)


学級もまた同じです。学級の問題点(?)は、スタートが単なる人の集まりである、ということ。目的のもとに集まってくるわけではないということです。
では学級の目的とは?
「本質を包含した目的」をつくるためには、苫野さんのいう公教育の原理を、学級のメンバー全員が納得できる言葉に協同で翻訳することが必要。


ちょっと視点を変えてみます。
「学校」の視点で考えてみると。
その学校の目的、理念。その全体をチームと考える。
学級はそれに派生したプロジェクトと考えてみたらどうでしょう。
学級の見え方が変わってくるはず。
このような学級の再定義も必要かも知れません。



西條さんは、目的と理念も分けています。
目的の明確化はチーム(組織)の理念にもつながっていく、といいます。

「〜目的の抽象度を上げて、その本質を象徴的に言い当てたものであり、そのチーム(組織)の目指すべき方向を端的に示したものだといえるだろう。」(p49)


「ふんばろう東日本支援プロジェクト」では理念(最終目的)は「なくなること」でした。
これは学級を考える時にも非常に大切な本質です。
学級は子ども一人ひとりにとって成長のために通り過ぎる場所。
「私という存在の価値と可能性を成長の中で体感して通り過ぎていくこと」
が最終目的なのかもしれません。


さらに「ビジョン」についても言及しています。

「『ビジョン』とは組織が目指すべき将来像をスケッチした”下書き”と考えればわかりやすい」

簡単に言えば「未来像」です。
学級のビジョンとは?

「この学校・学級が20年後の社会のプロトタイプだ」

と言ったら言い過ぎかな・・・・・・・

そしてチーム作りに役立つ原理が『価値の原理」です。

「価値の原理とは”すべての価値は目的や関心、欲望といったものに応じて(相関して)立ち現れる」(p61)


何をしたいかが明確だから、何がよいかが決まる。そして必要なリーダーシップが決まってくる、ということです。




と、ここまでで2章、価値の原理まで。
この本の一番の価値は(まあこれもボクの関心によるものですが・・)、3章の方法の原理です。
教員、または教員を目指す人はこの「方法の原理」を持っていたい。
ハウツーをバカにするでもなく、
ハウツーに盲信するでもなく、
ハウツーを活用するためにも。

 

「方法の有効性は(1)状況と(2)目的に応じて決まる」。


万能の方法や、これさえやればOKという絶対の方法はない。ある場面でうまくいっていても、状況が変わったり目的が変わったりすることでうまくいかなくなることがある、ということです。。これは言われてみれば当たり前ですが(だから”原理”といえるのだけれど)How-to があふれている教育界だからこそ自覚したいですね。
逆に言えば、この原理を自覚することで、より方法が活きたり、状況や目的に応じてカスタマイズできるので実践の幅も広がります。


校内研修や、職員室の同僚性、学校のマネジメントを考える上では、第4章の「人間の原理」を知っておきたいです。
桐田さんの「契機相関性」には深く納得しました。


リーダーシップの論考に関しては、まだスッキリしていません。
リーダーの人格、その人そのものにフォーカスが当たっていて、
それはその通りではあるのですが、
そう言われてしまうと、ちょっとつらい。
個に焦点を当てすぎないリーダーシップ論、
学級担任にとってのリーダーシップ、をもう少し考えてみたいです。



机上だけではない、実際のチーム運営と学問が往還して鍛え上げられた組織論の迫力から、これからの学級、学校を考える視点をたくさん得ることできました。
ボクたち教育に関わる者は、「原理的に考える」ということを習慣にしていく必要があります。その原理がとてもわかりやすく、読みやすく書かれている本書は、繰り返し繰り返し読みたい必読書です。


何度も読み直して考えていきます。

西條さん、ありがとうございました。