いわせんの仕事部屋

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学校の意義。教育課程企画特別部会における論点整理(報告)を読む。

今日のは自分の勉強メモ。

読んでいて楽しいものじゃなくてごめんなさい。

スルーしてください。

 

教育課程企画特別部会における論点整理について(報告):文部科学省

を読みました。今年の8月26日のですね。

実は補助資料がなかなか面白い。こちらはオススメ。

 

 

「学校」の意義が書かれています。(太字はボク)

 

○ 学校とは、社会への準備段階であると同時に、学校そのものが、子供たちや教職員、 保護者、地域の人々などから構成される一つの社会でもある。子供たちは、学校も含めた社会の中で、生まれ育った環境に関わらず、また、障害の有無に関わらず、様々な人と関わりながら学び、その学びを通じて、自分の存在が認められることや、自分の活動によって何かを変えたり、社会をよりよくしたりできることなどの実感を持つことができる。

 

うむ。驚くほど共感。「実感」というところが特にです。そういう学校、教室になるといいよね。

 

そうした実感は、子供たちにとって、人間一人一人の活動が身近な地域や社会生活に 影響を与えるという認識につながり、これを積み重ねることにより、地球規模の問題に も関わり、持続可能な社会づくりを担っていこうとする意欲を持つようになることが期待できる。学校はこのようにして、社会的意識や積極性を持った子供たちを育成する場 なのである。

 いや、ほんとそうだよ。

子供たちが、身近な地域を含めた社会とのつながりの中で学び、自らの人生や社会を よりよく変えていくことができるという実感を持つことは、貧困などの目の前にある生活上の困難を乗り越え、貧困が貧困を生むというような負の連鎖を断ち切り未来に向けて進む希望と力を与えることにつながるものである。

ESD(持続可能な開発のための教育)ともつながる。 

この論点整理の注釈で、アラン・ケイの「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」を引いているんだけれど、学校のデザインにそれを生かせるのか、興味深い。

 

このように考えると、子供たちに、新しい時代を切り拓いていくために必要な資質・能力を育むためには、学校が社会や世界と接点を持ちつつ、多様な人々とつながりを保ちながら学ぶことのできる、開かれた環境となることが不可欠である。

こうした社会とのつながりの中で学校教育を展開していくことは、我が国が社会的な課題を乗り越え、未来を切り拓いていくための大きな原動力ともなる。未曾有の大災害 となった東日本大震災における困難を克服する中でも、子供たちが現実の課題と向き合 いながら学び、国内外の多様な人々と協力し、被災地や日本の未来を考えていく姿が、 復興に向けての大きな希望となった。人口減少下での様々な地域課題の解決に向けても、 社会に開かれた学校での学びが、子供たち自身の生き方や地域貢献につながっていくとともに、地域が総がかりで子供の成長を応援し、そこで生まれる 絆 を地域活性化の基盤としていくという好循環をもたらすことになる5。ユネスコが提唱する持続可能な開発のための教育(ESD)も、身近な課題について自分ができることを考え行動していくという学びが、地球規模の課題の解決の手掛かりとなるという理念に基づくものである。

 

○このように、学校は、今を生きる子供たちにとって、現実の社会との関わりの中で、 毎日の生活を築き上げていく場であるとともに、未来の社会に向けた準備段階としての 場でもある。日々の豊かな生活を通して、未来の創造を目指す。そのための学校の在り方を探究し、新しい学校生活の姿と、求められる教育や授業の姿を描き、教科等の在り方を探究していく。この俯瞰的かつ総合的な視点を大切にしたいと考えている。

 

ここまでは至極納得。このビジョンを共有できることは素晴らしいなあと思う。

では、学校がそれを目指すための条件整備をどうするのか、が問われるよなあ。

条件整備なくしての理念は現場を苦しめる

そこまでを含めての議論を期待したい。

 

学校教育に関わる人は読んでおきたいです!

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/053/sonota/1361117.htm

 

 

 以下はメモメモ。

 

・資質、能力の要素

 

①「何を知っているか、何ができるか(個別の知識・技能)」 

②「知っていること・できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力等)」

③「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか 

(学びに向かう力、人間性等)」

 →ハイパーメリトクラシー。本田由紀参照。

 

 

・アクティブラーニング=課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び

 

 何を学ぶかとともに「どのように学ぶか」に光をあてる。

 

〜指導法を一定の型にはめ、教育の質の改善のための取組が、狭い意味での授業の方法や技術の改善に終始するのではないかといった懸念などである。我が国の教育界は極めて真摯に教育技術の改善を模索する教員の意欲や姿勢に支えられていることは確かであるものの、これらの工夫や改善が、ともすると本来の目的を見失い、特定の学習や指導の「型」に拘泥する事態を招きかねないのではないかとの指摘を踏まえての危惧と考えられる。

 

そうならないために、

 

i)習得・活用・探究という学習プロセスの中で、問題発見・解決を念頭に置いた深い学びの過程が実現できているかどうか。

ii)他者との協働や外界との相互作用を通じて、自らの考えを広げ深める、対話的な学びの過程が実現できているかどうか。

iii)子供たちが見通しを持って粘り強く取り組み、自らの学習活動を振り返って次につなげる、主体的な学びの過程が実現できているかどうか

 

・評価の観点

 「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」

 

 

 パフォーマンス評価についても書かれている。

カリキュラムマネジメントの必要性も。

 

1 各教科等の教育内容を相互の関係で捉え、学校の教育目標を踏まえた教科横断的な視点で、その目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくこと。

2 教育内容の質の向上に向けて、子供たちの姿や地域の現状等に関する調査や各種データ等に基づき、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図る一連のPDCAサイクルを確立すること。

3 教育内容と、教育活動に必要な人的・物的資源等を、地域等の外部の資源も含めて活用しながら効果的に組み合わせること。

 

 

 ひとつひとつは納得も多いが、これらが全部学校に降りてきたらどうなるか。

「よいこと」の足し算で学校は身動きが取れなくなる。

「現場のリソース(時間的、人的、物的)のなさ」をどうクリアするのか?

「校内研修を通じて」とさらっと書かれているが、質の高い校内研修を誰がどのようにデザインするのか?そこへの支援はどうするのか?

 

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http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2015/09/24/1361110_2_1.pdf 2015/10/20取得