本をだします。「みんなのきょうしつ」。
もうすぐ本が出ます。
『せんせいのつくり方』以来、1年ぶりの新刊です。
ボクのここ数年の振り返りをもとに、ものがたり(フィクション)にした本です。
ものがたりは、2人の先生の「振り返り」のやりとりで進んでいきます。
ものがたりなので読みやすいんじゃないかなあと思います。
そしてなにより、表紙が西原理恵子さん!!
「サイバラ本」に仲間入りです。
大ファンの西原さんに表紙を書いていただけて、それだけでボクにとって家宝です。
装丁もとってもかわいい、手触りのよい本になりま
もしよろしければ手に取ってみてくださいね。
以下、まえがきです!
* * *
この本は、とある普通の公立小学校の1年間の「ものがたり」(事実をもとにしたフィクション)です。登場人物は、教員15年目の担任、岩淵直人先生と、その同僚の中谷亜矢先生。そして、5年生の個性豊かな子どもたち。金○先生のように熱血スーパー先生ではありません。悩み、右往左往しながら、子どもと共に成長していく、そんな「きょうしつ」の記録です。
この「ものがたり」は岩淵先生と中谷先生の毎日の振り返りのやりとりで進んでいきます。その日に起きたこと、考えたこと、悩んだこと、うれしかったこと、感動したこと、後悔したこと、などなど……をまるで交換日記のように、往復しています。
このやりとりを通して、「きょうしつ」の中の子どもたちは、岩淵先生は、どのように成長していったのでしょうか。ぜひ、「ものがたり」に登場する一人ひとりの成長を楽しんでください。
かく言うボクも実際に、毎日振り返りを書いていました。最初はただの自分の記録のために、ぐらいのつもりで書いていました。はじめはとくに効果も感じませんでした。でも、ずっと続けているうちに明らかに自分に変化が起きてきました。ボクは、振り返りによって、先生としてグッと成長した実感があります。
先生にとって「振り返りこそ、学び」だったのです。毎日、よかったことを言葉にして書くことで、「なぜよかったのか」の意味を考え、日常的に意識するようになり、その後に活かすことができました。ときには自分の失敗や思い込みがあらわになり、恥ずかしかったり、苦しかったりもしました。でも、そこに向き合うからこそ、人は成長できる。ボクもその苦しみを超えて成長できたな、と思うエピソードがいくつもあります。振り返りを続けていなかったら、ボクはそのような失敗や思い込みを乗り越えることもなく、同じところでグルグル回っている残念な人のままだったかもしれません。
この本は、そんなボクの振り返りと、それを読んで返事をくれていた中川綾さんとのやりとりを原作にして、いくつかのエピソードを組み合わせたり、何年かの実践を混ぜたりしながらつくった「ものがたり」(フィクション)です。登場人物もすべてフィクション。しかし、そこに起きていることの「ねっこ」は本当です。この本を通して、
「あぁ、振り返りってこういうことなんだ」
「私も毎日、書いてみようかな!」
と思っていただけたら、うれしいです。
学校の先生はもちろん、ぜひ保護者の方にも手にとっていただき、先生の頭の中をのぞいてみていただきたいです。先生もいろいろ考え、喜び、悩んでいます。子どもたちの幸せを願う者同士、一緒に考え、喜び、悩む。そんな仲間になれるきっかけに、この本がなれれば、望外の喜びです。
子どもたちと一緒にボクたちも成長していきたい。ボヤボヤしていると子どもたちにおいていかれる。本気でそう思います。子どもたちと先生が一緒に「居心地がよく成長できる場」を創っていく。先生ひとりでがんばっていてもステキな場所にはなりません。そう、「みんなのきょうしつ」はみんなでつくるのです。さあ、いよいよ1年間の「ものがたり」の幕が開きます。 はじまり、はじまり~!
2015年9月 岩瀬直樹