いわせんの仕事部屋

Mailは「naoki.iwase★gmail.com」です。(★を@に変えてください。スパム対策です)

クラスが前に進むとき

土曜日の東北青年塾の振り返りは、もう少し熟成させてから書きたいと思います。
東京から授業づくりネットワークの有名な実践家、田中博司さんがわざわざ仙台まで来て下さったことに驚き、そして感激しました。
2月の発表にも来て下さり、本当に感謝しています。
これから一緒に学ばせていただけることを楽しみにしています。



さて、ボクのクラスでは帰りに1人1人「振り返りジャーナル」を書いて、提出してから順に帰ります。帰るときは、帰る支度をして、提出されたジャーナルにコメントを書いているボクに、


「さよーならー!」

と挨拶してハイタッチして帰るのがいつの間にか習慣になりました。
この

「一人一人とのハイタッチ!」

が実はとっても気持ちがいいです。
アイコンタクトしてハイタッチして挨拶。
これだけでなんだか幸せな気持ちになります。
最近この輪が広がってきています。

友達同士でも「じゃーねー!」とハイタッチしたりする人が増えてるんです。
また男女関係なく教室を出る子に、

「○○、また明日ねー!」

「○○バイバーイ!」


教室を出る子も、


「みんな、また明日ねー!」


なんて声をかける子が日に日に増えてきているんです。


みんなが帰る時間、何とも言えない幸せな空気が教室に広がっています。



         *  *  *



先週の学活では、プロジェクトアドベンチャーで「ヘリウムフープ」をやりました。
ヘリウムフープという課題解決のアクティビティは、グループの一人一人の指がフラフープに触れている状態(フラフープから指を離してはいけない)でフラフープを下におろしていく、というアクティビティです。こう聞くと簡単そうなのですが、これが難しい!
意に反してどんどんフラフープが浮かんで行きます。ヘリウムが入っているような不思議なパワーがあるフラフープなので「ヘリウムフープ」というのです。


大人がやってもなかなかできない、ストレスの高いアクティビティです。

今クラスはとてもいい雰囲気。
でも
「あと一歩相手に踏み込む」
「本音で話す」
「いやなことはイヤだと言う」

と言うところまであと少し、という感じ。
まだ表面上のトラブルを避けている傾向があります。
宇宙一のクラスになるためにはこの壁を越えなくてはなりません。
この壁を意識するため、越えるきっかけをつかむために、このストレスの高いアクティビティを行うことにしました。

このアクティビティを行うに当たって、
「できなくても時間で終わりにする」
を1日目のボクの中の約束にしました。
その方が自分やチームに向き合えると思ったのです。続きをやるとしても次の日以降。
想いを熟成させたいと思いました。



4さてチーム中1チームは1時間で達成。

後の3チームがなかなか達成できず、最後まで達成できませんでした。


「○○のせいだぞ」


「○○下げろよー!」


なんていう攻撃的な言葉が生まれたり、ある一人の子を責めたり。
達成できないストレスから、コミュニケーションがマイナスの方向へ行き始め、中には諦める空気も。
もめて泣いた子もでました。
「もう諦めた!」なんて声も。




でもこれってボクは成長の一段階だと思っています。
今ようやく本音で言い合えることが増えてきた。
だからぶつかることも多くなってきた。
4月はPAをやってももめることはありませんでした。でもこのときは表面上うまくつきあっているだけ。
今は、もっと踏み込んでお互いの違和感などを出せるようになりつつあるのです。


チームの発達段階で言うと、
第1段階のフォーミングから第2段階のストーミング(嵐の時期)に入った感じです。
「諦めた」の声に「何で諦めるんだよ!」と言える人が出てきているのも大きな成長。



ボクは1時間、じっと見ていました。
もう一度どうしてもやりたい、という声で次の日も時間を少し確保しました。
でもそれもただじっと見ていました。
子ども同士の向き合う大切な時間。
信じて待ちました。


最後まで達成しなかったチームは、

「休み時間もう1回チャレンジしてみようよ」


と声をかけて昼休みに自分たちで集まって自主的にやっていました。

「もう無理だよ!諦めた!」

という声にも、必死で説得している子もいました。
クラス目標の「最後まで諦めない」を体現していました。


ボクもこの昼休みばかりは、

「ここまで向き合っているから成功してほしい!」

と実は願いながらじっと見守っていました。
クラスの何人もが気にして見守ってくれていました。


そうしたらこれまでの苦労が嘘のように5分くらいでスーッと達成。
そのうれしそうなことと言ったら!


諦めなくてよかったね、みんな。
ぶつかり合ってよかったね。
2日間に渡って苦労して取り組んできたからこそ、学びも大きかったです。


以下は振り返りジャーナルからの言葉です。



★誰かのせいではなく、自分たちの気持ちの問題


(最初の1時間の振り返り)
このチームもうだめだ。○とか○、○が変な歌うたったりしていた。他の人はふざけたりなんかしていない。3人ふざけたら全然フラフープが下がらない。
(中略)
何回もやっているのに全然下がらない。ストレスたまり放題。何がいけないのかわからない。考えれば考えるほどストレスがたまる・・・・


(次の日のチャレンジの後の振り返り)
今日のPAは、始めたときはちょーいやだった。
だけど、昼休みもやろうということになって、昼休みはうそみたいにものすごくさがった。
ちょーびっくり。
うまくいかないとき、みんなのチームは下がるのにどうしてこのチームだけできないんだろうと思った。途中、○○に強く言われたけど、そのときは「やめて」って言えなかった。


成功したとき(昼休みの時)、みんなの気持ちがフラフープの中心にあった。
□□くんの指の出し方がちがって、そのせいでフラフープが下がらないんだとかいって、みんなで責めた。でもちがった。○○くんの指じゃなくて、みんなの気持ちの問題だったんだ。


気持ちだけであれだけ差があるんだね。



★マイナスの言葉だって大事!


(1日目)
今日のPAで思っていることは、よかったことはあまりありません。その代わりに直した方がよいことが、山ほどあります。たとえば自分が変なポーズで人を笑わせたり、○○がほかのチームにきをとられていて、本気出しているように見えなかった。
全員が本気というか、やる気を出していません。このPAをやっているとき、最悪だった。今度やるときはクリアしたい。


(次の日)
昨日の続きです。僕たちのチームでよかったのはプラスの言葉が言えたこと。できてよかった。
ちょっと最後の方でいらいらしてマイナスの言葉を言ったのが残念。○○が失敗しても失敗してもやり続けていてすごかった。△△がたくさん作戦を出してくれて、□□が「いっせーのーせ!」と声を出してくれ、●●が「大丈夫!」と言ってくれ、○○が最初違うチームに気をとられていたけど、ぼくが注意すると○○が直してくれていいチームになった気がする!
いいチームに必要なことは、助け合い、プラスの言葉、そしてマイナスの言葉も。
なぜマイナスも必要かというと、だれかがマイナスのことを言ったとして、それを注意したら、その人が「あ、ありがとう注意してくれて」と言って、またその人が成長していくので、マイナス発言もいいと思いました。




★2日目の振り返り
今日のPA、とーってもうれしかったです。本当にこのチームでよかったと思います。
はじめて成功して、ただフラフープをおろしただけなのに感動しました!


最後までできなかった○○ちゃんのグループ。昼休みに○○ちゃんがたまたま私の前を通りかかった時に「ぜーーーったい成功してよ!」と声をかけたら、「了解!」のポーズをしてくれました。
そのとき、○○ちゃん、「絶対がんばる!」と言ってくれました。さっきまでは私のところにきて「もう諦める」と言っていたけど、励ましてあげてほんとーーーーーーーーによかったです。
そのチーム、成功してよかった!あきらめなくてよかった!


私のチームももう泣きたいくらい成功したとき感動しました。
○○ちゃんのチームも私のチームもできて本当にうれしいです。
今度はイワセンもいれて28人でやりたい。


プラスの言葉をたくさん使っていて、私たちのチームは昨日よりも今日の方が「ピリッ」っとした空気に変わりました。うれしいです!




★泣けた!

今日のPAほんとに難しかった。みんな責める言葉を言っても「ごめん!」とか言ってくれて、本当にいいチーム。うれしくてうれしくて泣いた。もうノーミングになれるかも。
みんなだんだん信頼関係があがってきた。深まってうれしいね。




★かっこよかった!
今はすごくうれしい気持ちです。だって自分たちのチームもそうだけど、ほかのチームも成功できたんだもん!○○のチームは最後まで諦めないでやっていてかっこよかったです!
もうストーミングに入ってるチームでした。最後にみんなでハイタッチできるのって、気持ちいいですね!すごくうれしかったです。
学んだことは、チームワークの大切さ、最後まで諦めないこと、プラスの言葉、プラスの行動です。マイナスの言葉を言っちゃいがちなんだけど、プラスの言葉でクラスがあふれるといいなあ。




★みんなの気持ちが2日目でやっと一つになったよ。うまくいかないときは気持ちが一つになっていないんだね。私は一生懸命声をかけたりしたよ。最後になってプラスの言葉がいっぱい広がって、一人一人が中心になっていたからよかったよ!




       *  *  *


アクティビティの力を改めて感じた時間でした。
またクラスは一歩前に進みました。