学習の個別化とテクノロジー
学習の個別化とテクノロジー。
学習計画作成と学習の進捗・形成的評価に、テクノロジーはどれくらい役立つのだろう。
いや、一人一人の学習に丁寧に寄り添っていく伴走者、チューターの役割こそが重要か。だとしたらアナログで十分なのかもしれない。
そもそも、効率的に学びを最適化する必要はあるのか?
自分で行ったり来たりして試行錯誤しながら、自分一人で学ぶ習慣と学び方を身につけることこそが大事なのか。
とはいえAltschoolも気になっている。
A Day in the Life of Lower Elementary (TK-1st grade)
A Day in the Life of Upper Elementary
A Day in the Life of AltSchool's Middle School
Alt School's Personalized Education
動画で見ると、そうでもないかなとも思う。
ワクワクしないな。
×探究スタート。
今日からこんなプログラムがはじまりました。
こんなコンセプトのプログラム。
×探究では「子どもはもともと学びの種を持っている」ということをスタート地点とし、子どもが自分の経験をもとに、新しい経験を重ね、より深く新しい理解レベルへと主体的に学んでいく過程を支援することを“探究する学び”と位置づけます。
その上で、探究する学びの場を広げる人は自らが探究者であるという考えに立ちます。
また、探究は一人ではできません。探究者は協働者でもあるという考えから、関わる人が相互に刺激しあう環境をつくっていきます。
参加者が自分なりの“探究観”を持ち、“探究を探究する場”としてのコミュニティを形成していきたいと思っています。
今日から1年間かけて、大人自身が探究者になる中で学んでいきます。
そう、まずは私たち自身が探究者になることからスタートします。
今回、ご縁があって、プログラムの監修を担当しています。
参加者は学校の教員だけではなく、企業の方、学生の方等多様なメンバー。
多様なメンバーだからこそ、今までにないことが生まれそう。
今日は「探究とは」を考えるワークショップからのスタート。
桐田敬介さんの探究の「理論」とは何か?の講義(探究の理論的系譜がマッピングされ、秀逸)。
「ボクらの実践は歴史的な系譜の中にいる」という桐田さんの言葉は、これから教育に関わるすべての人が心にとめておきたい。
また、佐藤昌宏(デジタルハリウッド大学大学院教授)さんの「デジタルテクノロジーでの学びをどう考えるか」の講演。世界の先進事例をもとに教育デジタルテクノロジーは必要不可欠な手段になるという刺激的な内容でした。
(佐藤先生→
勉強会まとめ:これからのEdTechの話をしようKnowledgeCOMMONS ナレッジコモンズ (ナレコモ))
それを受けての、探究とデジタルテクノロジーについて考えるワークショップと盛りだくさん。
テクノロジーの劇的な進化は止まらない。では、デジタルテクノロジーの導入によって、個人の学び・授業の形態・学校の在り方の何が変わり、どのような変化が起きるか ?不易とは?
あーお腹いっぱい。5時間があっという間でした。来月は1泊2日の合宿です。このコミュニティからどんな「探究」が生まれて来るか、何よりボクが一番楽しみにしています。教師教育における新たなプログラムになる予感で、興奮が止まらない1日でした。来年度に第2期の予定もあるそうです。
すてきな学校。
ステキな学校をつくろう!と思ったときに。
ボクらはついつい、
「授業は〜」とか、
「カリキュラムは〜」とか、
「先生は〜」とか、
「ルールは〜」とか考えちゃうけど、まずは
「そのためのステキな組織」をつくることから。
関わっている大人が幸せな学校じゃないと、ステキな学校にはならないよなあ。
講演会を終えてそんなことを考えました。
保護者と教員が一緒に子どもの幸せについて考える場はすごくよかったな。
元グーグルのエンジニアたちがデザインした「学習の個別化」。
まあ、まずはリンクを読んでみてください。
教員チームをエンジニアリングチームが支える。
個別化に徹底的にテクノロジーを活用する。
これまで個別化は「教師の負担が増える」と言われてきた。「学習者の孤立化」も起きた。
1つの解決策がこれ。どう考えるかが問われますね。
もう1つの解決策は、ゆるやかな協同ベースにすること。
この2つが融合することも可能。
さあ、考えよう。
一般社団法人「こたえのない学校」の藤原さとさんのブログにも書かれています。
興味深いなあ。
日本で活かすことは可能?
参照することで個別化へのハードルが上がる?下がる?
『オルタナティブ教育』読みました。
研究室の学卒院生のNさんに紹介してもらい読んだ本。
横浜市立永田台小学校でもお世話になっている、永田先生のご著書です。ここまで読んでいなくてお恥ずかしい。 オルタナティブ教育や学校づくりに関心がある人は必読。国際比較も興味深いです。
特に筆者が提唱しているオルタナティブ教育の「とらえ方」に注目。永田は、
①市場および国家から相対的に自律し、メインストリームの規範や通念をとらえ直す<公共性>
②伝統的な教育(公教育・私教育の別を問わない)を批判的に、かつ再構築する視座でとらえる刷新性。
③公教育との協働において独自の社会的役割を担う相互補完性。
④近代西欧という特定の時代的・地域的制約にとらわれず、どの時代のどの地域にも見いだすことのできる多様性。
⑤二項対立的な思考様式に依拠しない、ホリスティックな視座を重視する全体性(ホールネス)。
⑥少数派の声に代表される多様な価値や「特別のニーズ」が尊重される多元性。
という6つの特性に整理しています。さらに、
いずれも具体的な教育内容を示すものではなく、むしろ内容を規定するフレームワークとしてとらえるのが相応しいといえよう
とも。
内実を規定するのではなく、ゆるやかで機能としての概念として提示しています。
内容を規定しない、というのは実はかなり重要ではないかと。これを書くと長くなるので改めて。
どちらが正しいかという主義主張ではなく、既存の学校教育への批判としてではなく、社会的な存在意義から常に問い直し続けるようなシステム(筆者はそれを「セルフ・リフレクティブな作用がオルタナティブという概念には内在している」と整理している)を志向していく。
この6つの特性は何もオルタナティブ教育に限りませんね。今の学校教育をとらえ直す視座としても重要だなあ。
教育は引き立てることと取り除くこと。
「教育本来の意義は引き立てることと取除くことだ。すなわち教育は外部からの憂患を除去し、児童固有の本性を発揚することである。かくのごとき作用をする主人公は元来児童自身であるべき筈だが、従来は教師が余り深入りして自分が主人公になった。其のためにかえって教育の効果を十分に挙げることはできなんだ。」
木下竹次『学習原論』より。
大正自由教育のころの言葉。
ボクらはここからどれだけ進んだのだろうか。
リテラチャーサークル 十数年前の原稿。
十数年前に、読書指導法の1つである「リテラチャーサークル」について実践記録の原稿を書きました。
今では広く知られるようになったリテラチャーサークルですが、十数年前の日本では、新潟大学(当時山形大学)の足立幸子さんの論文での紹介があるだけでした。
リテラチャー・サークル--アメリカの公立学校のディスカッション・グループによる読書指導方法 足立 幸子 山形大学教育実践研究 (13), 9-18, 2004-03
この論文を頼りに初めてリテラチャーサークルを実践した時の記録です。
本に載る予定もあったのですが、諸事情により幻の原稿となってしまいました。
その後、リーディング・ワークショップに出会い、ボクはリテラチャーサークルから離れていくのですが、ボクの原点となった実践でした。
最近リテラチャーサークルを実践される方も増えてきていて、
「初めてやるんですけれど」という問い合わせもちょくちょくいただきます。
となると、ボクが初めてやったときの記録もそれなりに役立つかなと思い、ここで共有することにします。教育リソースはオープンソースであるべきだ!が小さい持論なので。
初めての緊張感や興奮が行間から伝わってきてちょっと恥ずかしい。
実践自体も荒くて恥ずかしい。
だって当時30代前半だものね(言い訳)。
もしこれから実践される方は、よろしければ参考程度に眺めてみてください。
★ファイルダウンロード
↓
なお、リテラチャーサークルの実践は以下にまとまっています。
今はこんな文献も出ています。便利な時代です。実践を考えている方はぜひ手に取ってみてください。
- 作者: ジェニ・ポラックデイ,ジャネットマクレラン,ヴァレリー・B.ブラウン,ディキシー・リーシュピーゲル,Jeni Pollack Day,Valerie B. Brown,Janet McLellan,Dixie Lee Spiegel,山元隆春
- 出版社/メーカー: 溪水社
- 発売日: 2013/11
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
ボクにとってはリテラチャーサークルは読書教育の「入り口」でした。もし関心を持たれた方は、ぜひリーディングワークショップを学んでみてください。
読書家の時間: 自立した読み手を育てる教え方・学び方【実践編】 (シリーズ・ワークショップで学ぶ)
- 作者: プロジェクト・ワークショップ
- 出版社/メーカー: 新評論
- 発売日: 2014/04/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (1件) を見る